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不透明な社会情勢やDX(デジタル・トランスフォーメーション)の加速などを背景に、理系学生への人材ニーズが高まり続けている。「売り手市場」とも言える状況だが、そのことは必ずしも、学生にとっての納得の就職、ひいては真に豊かな人生に結びつくというわけではない。自身の興味や目標を見定め、人生を通じて情熱を注ぐことができる仕事や会社と出合うには、何よりも学生時代の過ごし方が大切だ。就職にとどまらず、“その人なりの幸せな人生”までを見据えた関西学院大学のキャリア教育に迫る本シリーズ。第2回は、学部や教職員の垣根を越えてキャンパス全体が一体感をもって取り組む、神戸三田キャンパス(KSC)を舞台にした理系学生に対する支援について、2人のキーパーソンにうかがった。
聞き手 井沢 秀(大学通信)
文 松本守永(ウィルベリーズ)
教職員との近さが、学生の悩みや希望に応じた丁寧な支援を可能にする
―理系のキャリア・就職支援に関して、特徴的な取り組みをお教えください。
岡本 理系のキャリア支援は、3つの「近さ」が土台になっていると私たちは考えています。すなわち、「学生と教職員の近さ」「学生と企業の近さ」「学生同士の近さ」です。
キャリア支援の具体的な施策については、学生と教職員の近さが力を発揮しています。理系学部では、研究室単位で研究を進めるため、自ずと教員と学生の距離が近くなります。したがって、教員は学生の教育・研究だけでなく、キャリア及び就職支援にも深くかかわっています。そこでKSCでは、理系学生のキャリアを支援するため、毎月、教員とキャリアセンター職員が情報交換や課題の検討を行っています。授業や研究、キャリア支援というそれぞれの立場で近い距離から学生を見つめている教員と職員が情報を共有し、連携・協力していることが、理系支援の大きな特徴だと言えます。教職員が一体となって学生を支えているのです。
理系の就職支援の取り組みとして、2つ紹介します。学部3年次に実施する「進路なんでも相談会」では、学部卒又は院卒で就職するかによって、就職先や職種に違いがあることを説明するほか、学生個別の疑問に丁寧に答え、学生の適切な進路選択をサポートします。そして、大学院生対象の「研究内容棚卸講座」では、自らの研究内容を見直すとともに専門分野外の担当者にも分かりやすく伝えるポイント等を解説します。両講座は、理系学生の課題に対応することを目的として実施しています。
―就職先に特徴はあるでしょうか。
國頭 学生時代に取り組んだ研究と関連の深い企業や業界に就職する学生が多いです。その傾向は専門分野の学びを深めた院生のほうが強いです。理系のキャリア支援においては、学生のニーズを汲み取った、きめ細やかな対応が重要です。これは、理系の学問分野別に身につく知識や技術が大きく異なるだけでなく、学部生と大学院生では専門性の深さに大きな違いがあるからです。
岡本 理系学生に対する人材ニーズは大きいため、比較的早期に内定を得られるという傾向があります。それは裏を返せば、エントリーする企業数も少なく、企業選びや業界選びの視野が狭いままで進路が決まるという意味でもあります。実際、早く決まったがゆえに「これで就職活動を終えてしまっていいのだろうか」と不安になる学生もいます。そこで私たちは、しっかりと自己分析をし、自身の興味や目標を見つめるようにアドバイスしています。
―2021年度から、理系は4学部体制になりました。キャリア支援において、これまでとの違いなどはあるでしょうか。
國頭 理学部・工学部・生命環境学部については、従来の理工学部が細分化されたことで学びや研究の特色もさらに明確になりました。それらを企業に対してしっかりと伝えていきたいと考えています。新たなスタートとなる建築学部は、どのような支援が大切になるかを関係教職員が議論しているところです。学生のニーズを把握しながら、丁寧な支援体制を構築したいと考えています。
いずれの学部においても、教員と私たちキャリアセンター職員が一体となり、密接な連携のもとで支援を行うという従来からの姿勢を継承・発展させていくことは間違いありません。
企業との近さが、学生に卒業後をイメージさせ学びの意欲を高める
―企業や社会との接点となるBiZCAFEとBiZCLASSがスタートしてから2年目となります。現在の状況や学生の変化をお教えください。
國頭 BiZCAFEでは、KSCの学生団体がアウトドアのトップブランドであるスノーピークと共同開発したマイボトルを持参することで、無料のドリンクサービスを利用できます。これはキャンパス内でのペットボトル削減を目指した取り組みであると同時に、BiZCAFEの活動に協賛いただく企業の情報を発信したり、企業の方に来ていただいて学生と直接話せる場を作り出す取り組みでもあります。BiZCAFEを通して学生は、自身の研究とビジネスとのつながりを知ることができたり、理系職種として働く自分の将来の姿をイメージすることができます。それが結果として、日々の学びへのモチベーションを高めるという効果を生んでいます。
BiZCLASSは、企業から提示された課題に対して、グループワークやディスカッションを行いながら自分なりの答えを出していくという学びの場です。学生たちは講師を務める企業の方たちの言葉を通じて、働くということや、現場での仕事の進め方へのイメージをつかむことができます。講師から学生に対しては、厳しいコメントもしばしば飛び出します。でもそれが学生には好評なんです。「実際のビジネスではそこまでできないといけないんだ」「卒業までに、そういう考え方を身に付けておく必要があるんだ」という気付きにつながり、学生時代を過ごすうえでの目標設定に役立っています。
岡本 BiZCLASSには、製造業に加えて、IT企業や金融機関にも参加してもらっています。幅広い業種の企業に参加いただくことによって学生は、理系と一見無関係と思われる企業でも理系での学びや経験が活きるという気付きを得ています。学生が自身のキャリアを考えるうえで、BiZCLASSは非常に有意義な場になっています。
学生同士の近さが、多様な視点と深い学びによる人間的成長を後押しする
―スノーピークと包括連携協定を結ぶなど、企業とのパートナーシップによる取り組みも活発に行われています。学生のキャリア形成という点において、どのような効果が現れているでしょうか。
國頭 この取り組みもまた、学生と社会の近さを物語るものです。スノーピークとは共同でイベントを開催したり、社員の方にキャンパスにお越しいただき、学生と対話をしてもらうなどの活動を行っています。
ユニークなのは、KSC内の生きた学びの場であり学生同士の交流の場である「アカデミックコモンズ」内に、スノーピークのテントを設置している「Camping Campus」という取り組みです。学生はテントの中で勉強したりディスカッションしたりすることができます。テントという非日常の空間は、日常の障壁から開放された新たな学びの場と言えます。想像力や知的好奇心が育まれ、人としての成長に大きく貢献しています。
岡本 Camping Campusは、学生同士の距離が近いというKSCの性質を象徴している取り組みでもあります。テント内の特殊な空間で学び、意見を交わすことは、学年や学部の垣根を越えて学生同士の距離をぐっと縮めてくれるのです。
そもそも、テントが設置されているアカデミックコモンズは、学生がともに学び合うという「距離の近さ」を後押ししている場所です。ここでは、学生グループが自分たちの掲げた目標にチャレンジする「アカデミックコモンズ・プロジェクト」という取り組みも行われています。また、BiZCLASSでも学年や学部の垣根を越えて学生同士が近い距離でともに学んでいます。学生が刺激し合いながら成長できるというKSCの環境が、キャリア形成にも大きな役割を果たしています。
國頭 KSCには文系学部である総合政策学部も拠点を置いています。文系・理系の学生同士が近い距離で学び合える環境は、学問領域の垣根を取り払った交流を後押ししています。文理が一体となり、多様な視点を得て自身の学びを深めることは、キャリア形成に好影響をもたらします。それを可能にするのが、「Be a Borderless Innovator」を掲げるKSCという環境なのです。
―高校の先生方、そして受験生の皆さんへメッセージをお願いします。
國頭 低学年時のガイダンスや就職・進学の見極めにあたっての支援、そして学部・院それぞれでの就職に向けたサポートなど、私たちは入学時から卒業時まで、1人ひとりの学生を丁寧に支援していきます。安心して関西学院大学で学生時代を送ってください。
岡本 関西学院大学の魅力は、分野を越えた学びにチャレンジできることです。社会と連携して興味あるテーマに打ち込むことができる「プロジェクト」も、多種多様なものが行われています。美しいキャンパスで、密度の濃い学生時代を送ることができるはずです。みなさんとKSCでお会いできることを楽しみにしています。
学生インタビュー
河合勇祐さん
工学部1年
広島・修道高等学校出身
関学に入学して未来の自分がイメージできるようになった
入学後、さっそくマイボトルを購入し、毎日BiZCAFEを利用していました。そんな中でスタッフから教えてもらったのが、BiZCLASSでした。「企業から学ぶ機会に1年生のときから参加しておくと、後になってきっと役立つよ」と勧められたことが決め手となり、参加することにしました。
受講した講座は「ITで世の中の課題を解決する」というテーマで行われました。グループに分かれてアイデア出しやディスカッションをし、最終的にプレゼン発表をしました。この中で衝撃を受けたのが、グループのメンバーになった文系の総合政策学部の先輩が、自分とはまったく違う広い視野を持っていたことです。私は趣味の野球観戦から着想したアイデアしか出せなかったのですが、先輩たちは国全体や世界を視野に入れたアイデアを出していました。また、課題の定義から解決策まで論理立てて考えていました。その様子を見て、「関西学院大学で学ぶとこんなふうになれるんだ」という憧れが生まれてくると同時に、「自分も先輩のようになりたい!頑張ろう!」という意欲がわいてきました。
講座を担当してくれた企業の講師からは、新しいビジネスやサービスを始める際の考え方や苦労の乗り越え方を教えてもらいました。そこからは、「どんな会社も、社会貢献が求められている」ことがわかりました。そして、社会に貢献するために努力している人こそが、世の中から求められていることがわかりました。これは、スクールモットーである「Mastery for Service(奉仕のための練達)」に通じるものだと思いました。
私は「KGキャリア入門」を受講しました。この授業に登場していた卒業生の方たちも、Mastery for Serviceをすごく大切にしていました。入学前にはよくわからなかったスクールモットーのことがなんとなく自分の中で理解できたことは、これからの学生生活を送るうえで大きな財産になった気がします。
実は私は、高校時代はやりたいことがまったくわかりませんでした。理系を選んだのも、苦手科目を避ける消去法の結果です。そんな私が、BiZCLASSを受講することで、理系には研究・開発職のほかに多様な進路があることを知りました。おぼろげですが、未来の自分がイメージできるようになりました。これからの学生生活で、徐々に具体的なキャリアをイメージできるようになると思います。希望の進路が見つかったとき、成績が理由でその道へ進むことができないようでは悔しいので、今はまず、目の前の勉強に打ち込みたいと思います。
将来のイメージが生まれると、こんなにも前向きな気持ちで今を頑張れるということを知りました。高校生の皆さんにもぜひ、ほんの少しでもいいから、将来の自分をイメージすることをおすすめします。きっと、何かが大きく変わり始めますよ。
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