自発的な学びと成長を後押し
人生における「価値観」と出会うキャリア教育-関西学院大学

自発的な学びと成長を後押し<br>人生における「価値観」と出会うキャリア教育-関西学院大学

実就職率89.7%と、学生数5,000人以上の大学で全国トップの実績※1を誇る関西学院大学。学生の就職満足度が97.1%※2、就職把握率が99.6%※2という高い数値は、教職員が一体となった支援の充実ぶりを物語っている。加えて、国内外のさまざまな分野で活躍する卒業生の姿も、同学で過ごす時間の豊かさを示している。就職にとどまらず、“その人なりの幸せな人生”までを見据える同学は、「キャリアの関西学院大学」とも言われる。その取り組みに迫る本シリーズの第1回は、キャリアセンター長の森隆史氏に、同学のキャリア教育についてうかがった。

※1:2021年3月卒業生。大学通信調べ ※2:2022年3月卒業生。関西学院大学調べ

―2022年度から、キャリアセンターにキャリア教育が移管されました。その狙いをお教えください。

本学のキャリアセンターは、「キャリア教育」と「キャリア支援」の2つの役割を担っています。これらをシームレスに連携させることが移管の目的です。移管によって学生には、「キャリアのことは何でもキャリアセンターに相談すればいい」というわかりやすさが生まれます。

キャリア支援はいわゆる就職のサポートで、各種の説明会を開催したり、学生からの相談に応じたりしています。多彩なキャリア支援も行っているのですが、本学ならではと言えるのがキャリア教育の充実ぶりです。キャリア教育とは突き詰めて言えば、「その人なりの幸せな人生を送るための学び」と言えます。「生きていくための価値観に出会うための学び」とも言えるでしょう。これは低年次に取り組んでおくことが大切です。1年次にキャリア教育の科目を受講し、自分が人生の中で大切にしたいことや、何のために学び働くのかを考えると、その後の学生生活が大きく変わります。履修する科目や取り組む課外活動などを、キャリア教育で出会った「価値観」に基づいて考えることができるからです。もちろん、学びや活動へのモチベーションも大きく変わります。そうやって2〜3年次を過ごしたうえで、具体的な就職活動を迎えるのです。ここで、キャリア教育からキャリア支援へとバトンが渡されます。キャリア教育を充実させ、なおかつキャリア支援と連携していることが、満足度の高い進路決定には大切だと考えています。

「卒業生が現役生のために協力し、それを経験した現役生が卒業後に後輩のために尽力する。そういった本学の伝統が、キャリア教育を実りあるものにしている1つの要因です」と、キャリアセンター長の森隆史氏は語る。

―2022年度からは、「KGキャリア入門」という科目がスタートしました。

「KGキャリア入門」は、社会で活躍している本学卒業生に登場いただき、学生時代や現在の仕事について語っていただくというオンデマンド型の動画授業です。登場いただくのは14人。週替りで1人ずつ配信され、学生はそれを視聴して課題を提出します。そして学期末にレポートを提出するという仕組みになっています。受講者は1000人程度を想定していたのですが、予想を大きく上回り、今学期は7400人にものぼりました。本学学生のおよそ3人に1人が受講していることになり、反響の大きさに驚きつつ、嬉しく思っています。

登場いただく14人は、年齢も職業も経験されてきたことも、本当に多種多様です。ここに「KGキャリア入門」の狙いがあります。14人のまったく異なるお話を聞くことで、「自分は何を大切にして生きていくか」を考えてもらいたいのです。つまり、自分なりの価値観に出会うきっかけとなるのがこの授業です。

14人に共通することもあります。それは、自分の利益のためではなく、「社会のため、他者のため」という気持ちで仕事や事業に取り組んでいることです。14人はそれぞれに、苦しい時や辛い時を経験されています。それを乗り越える原点となっているのは、まさにスクールモットーである「Mastery for Service(奉仕のための練達)」の精神なのです。受講生のみなさんには、14人の体験を通して本学で学ぶことの素晴らしさや、スクールモットーについても考えを深めてもらいたいです。

―キャリアセンターではその他にも様々な科目を開講しています。

2007年度にスタートした「キャリアゼミ」では、講義やグループワーク、ビジネスプランの立案など様々なスタイルの学びを通して、大学生活の意義や今後のキャリアについて考えを深めていきます。この科目は私自身が指導を担当しており、「予期せぬ出来事に出遭ったとき、それをどう捉えるか・どう行動するか」を考えてもらうことをテーマにしています。この力は、学生生活、ひいては後の人生に大きな影響を与える非常に重要な力です。

基本的に対面・少人数で行う「キャリアゼミ」に対して、前述の「KGキャリア入門」はオンラインで数千人規模の学生が受講します。その中間的な立ち位置の科目が「ライフデザインと仕事」です。授業では、企業や自治体に勤務する方を講師として招き、自身の仕事やキャリアについて語っていただきます。それを踏まえてディスカッションなどを行い、学生が生涯を通じたキャリア形成について考えを深めます。企業・自治体と学生、そして教員の三者が一体になってつくる授業と言えるでしょう。

職業に特化した科目もあります。その1つが国家公務員についての理解を深める「霞が関セミナー」です。霞が関で合宿形式で行われるこのセミナーでは、現役官僚による講義やディスカッションなどのプログラムが実施されています。また、教育学部の学生を対象にした「聖和未来塾」では、教員としての能力を体験を通して身につけるプログラムや、採用試験に向けた対策プログラムが、1年次から体系的に実施されています。

これらの授業やプログラムには、数多くの卒業生が協力してくれています。「後輩の役に立ちたい」という思いが強いことが本学卒業生に共通する点であり、そのことが、本学ならではのキャリア教育の充実を支えていると言えます。

―関西学院大学のキャリア教育は、大学が一丸となって「自分たちでつくり上げる」、すなわち“手づくり”で行っているように思います。それはどうしてでしょうか。

キャリア教育を専門にしている企業などもあり、そういった外部機関のサービスを導入するという選択肢も確かにあります。しかし私たちは、大学には、「その学校でしか学べないこと」があるべきだと考えています。仮に外部機関のサービスを導入したとすると、そのプログラムは本学以外でも履修できることになります。それでは関西学院大学に入学した意義が薄れてしまいます。キャリア教育が、「関西学院大学で学ぶ意義」の1つであってほしいという願いから、私たちは手づくりにこだわっています。

もちろん、このやり方には多くの労力が必要です。それを支えるのは、少し格好をつけた言い方をするなら、「愛」です。「学生に幸せな人生を送ってもらいたい」「関西学院大学が素晴らしい場所であってほしい」という、関わる人すべての愛が、ここでしか学べない手づくりのプログラムを支えています。

「KGキャリア入門」より。関西学院大学卒業生で元日本テレビ放送網報道局キャスター兼解説委員の小西美穂氏との対談

―キャリア教育の各科目は、講義に加えてグループワークやディスカッション、実習などがふんだんに取り入れられています。この狙いについて教えてください。

生きていくうえでは理論と実践の両輪が不可欠だからです。先ほど、自分の価値観や生きていくうえで大切にしたいことに気付くことがキャリア教育の目的だとお話ししました。価値観に出会うと、関連する様々な知識を自ら学んで身につけ始めます。すなわち、学部の学びにつながっていくのです。専門的な理論や歴史的な背景と変遷などを知り、「こうあるべきだ」という自分なりの理想像を描き出していくでしょう。

いっぽうで現実の社会は、様々な問題や事情が複雑に絡み合っています。それらを見据え、対応する力が必要です。実践者とは、答えのない中で問いを立て、自ら学んでいく人のことでもあります。そういった心構えを在学中に養うために、実践的な学びも豊富に取り入れています。

―キャリア教育の今後の展開について教えてください。

「KGキャリア入門」を全学生に受けてもらえるようにしたいです。さらに言えば、受験生にもこの科目の魅力が伝わり、「KGキャリアの科目を受講したいから関西学院大学に入学した」と言ってもらえるような日が来ることを夢見ています。学生時代とは「もやもやする時期」です。まして現代のような先行きが不透明な時代では、学生が感じているもやもやは私たち大人の想像以上でしょう。そんななかで、本学のキャリア教育が将来に対する希望を持つきっかけになることも、私たちの願いです。

―話は変わりますが、今年はコロナ禍での就職活動が3年目となります。就職活動、さらにキャリア支援全体において、今年はどのような取り組みを考えているでしょうか。

私は2020年4月、コロナの最初の感染拡大とともにキャリアセンター長に就任しました。このとき、「とにかく学生の不安に寄り添おう」という方針を掲げました。具体的な施策としては、キャリアセンターの全職員が携帯電話を持ち、学生からのあらゆる相談に応える仕組みを導入しました。

コロナ禍3年目となった今年も、基本的な方針は2020年度から変わっていません。就職活動については、企業は対面とオンラインの選考を併用するという傾向が見られるようになってきました。この2年間でわかったことの1つに、オンライン選考には特有のノウハウが必要ということがあります。会話の間の取り方やカメラ越しでの見え方など、テクニカルな部分で対面とは違いがあるのです。それらを学生に伝え、オンライン選考にも十分に対応できるようにサポートしていこうと考えています。

―最後に、高校の先生方や受験生へメッセージをお願いします。

本学は、教職員が一丸となって学生の幸せを考えています。そして本学には、みなさんを幸せへ導くための「装置」がたくさん用意されています。

装置の代表例がキャンパスです。「KGキャリア入門」に登場いただいた卒業生の方々は誰もが、キャンパス内に思い出の場所を持っておられました。その場所の景色を見ると、一瞬で気持ちが学生時代に戻り、思い出を生き生きと語ってくれました。社会人になると、様々な場所で様々な経験をするでしょう。もちろんそのなかには、苦しいことや辛いことも含まれます。そんななか、「戻れる場所」があることは、とても幸せなことです。キャンパスへ物理的に戻ることによって、心も学生当時へと戻り、「頑張ろう」「前へ進んでいこう」という気持ちになるのです。本学は必ずしも都心へのアクセスが抜群な立地とは言えません。しかし先人は、あの場所、あの建物にこそ価値があることを知っていたのだと思います。自然の中に佇むヴォーリズ建築のキャンパスは、まさに幸せのための装置だと言えます。

スクールモットーも装置の1つです。生きていくうえで、そして仕事をしていくうえで、悩み苦しむ場面は必ずあります。そのとき、「Mastery for Service」が指針となってくれるのです。私は本学のスクールモットーは、一生ものの財産であり、生涯にわたるみなさんの「お守り」だと思っています。

キャリアセンターによる授業や各種の支援はもちろんのこと、留学や課外活動など、学生のチャレンジを後押しする様々な仕組みもまた、みなさんを幸せへと導く装置です。きっと、みなさんにとって使い勝手のいい装置があるはずです。それらを使うことで、おもしろい学生生活、おもしろい人生が待っているはずです。みなさんと本学でお会いできることを楽しみにしています。

予期せぬことの受け止め方次第で、人生は大きく変わる

森センター長から受験生のみなさんへ

私が指導を受け持つ「キャリゼミ」のテーマは、「予期せぬ出来事への対処」です。予期せぬ出来事には2種類あります。1つは文字通り、予期していなかったことが起こるという場合です。自然災害がこれにあたります。コロナ禍も同じだと言えるでしょう。もう1つは、「予期していたことが起こらなかった」というケースです。例をあげるなら、「第1志望の大学に合格できなかった」という出来事があります。実はこちらの出来事への対処こそが、生きていくうえでは大切だと私は考えています。

考えてみてください。私たちの人生は、「予期していたことが起こらない」に満ちているのです。仮に予期していたことがきちんと起こるのであれば、誰もが初恋の人と結ばれているはずです。でも実際にはそんなことはありません。思うに任せないことのなかで、それでも私たちは生きています。

大切なのは、予期していたものとは違う現実をどう受け止めるかです。大学で言えば、第1志望ではないものの、進学した大学でどう過ごすかを考えるのです。私は、その大学で「そこでしかできないこと」をすればきっと、大きな財産を得ることができると考えています。

本学には、「関西学院大学でしか体験できないこと」がたくさんあります。ぜひキャンパスに足を運び、「本学ならでは」を感じてみてください。

関西学院大学のキャリア支援

納得できる進路決定のための施策として、キャリア教育と並んで欠かせない役割を担うのがキャリア支援です。
関西学院大学ではキャリアガイダンスやキャリアアドバイザーによる個人面談に加えて、さまざまな特色ある取り組みを行っています。

K.G.キャリアチャンネル
いつでも、どこでも視聴できる、オンデマンド型の動画コンテンツ。就職準備講座や業界・仕事研究セミナーなど、就職活動に役立つ情報が豊富にラインナップされています。ライブセミナーも実施されており、チャットを通して質問をすることも可能です。

KGキャリアChatbot
最新のAI技術を活用したチャットボットが、24時間365日、いつでもどこでも学生の質問に答えてくれます。過去の膨大な相談事例に基づいてAIが導き出す回答は、正確かつ詳細。履歴書やエントリーシートの作成方法、面接対策、就職活動の進め方など、様々な情報を提供してくれます。

受講学生インタビュー

キャリアセンター開講科目を受講

高橋瑞姫さん | 商学部3年

目指すのは「代替不可能な人材」
高校時代からは
想像もつかない自分と出会えた

1年生の夏休みに、5日間の集中講義で「キャリアゼミ」を受講しました。授業では、「AIが導入された時代のビジネスプランを提案する」というテーマで、講義やグループワーク、そしてプレゼンを行いました。

この授業は、学年も学部も異なる様々な学生が受講していました。コロナ禍が始まった年に入学し、オンライン授業しか受けたことがなかった私にとって、“学生経験”を持った先輩たちと一緒に学ぶこと自体がチャレンジでした。そんな私の様子に配慮してくれてか、グループディスカッションの際には「お互いをニックネームで呼ぼう」「学年に関係なく敬語は使わないでおこう」という約束事を設けてくれました。初対面の人と授業内だけではどうしてもお互いの理解が深まらないため、LINEでグループを作成し、授業外の時間にも意見交換をするようにしました。それらの工夫自体が私にとっては新鮮で、「グループワークっておもしろい!もっとチャレンジしたい!」と思う毎日でした。

ビジネスプランの立案にあたっては、多くの人が「AIによって暮らしは便利になる」という前提でプランを考える中、私は「本当にそうだろうか。何か見落としてないだろうか」という視点でプランを考えました。そこで提案したのが、「AIのおかげで働く必要がなくなった結果、むしろ人は働くということに憧れの気持ちを持つはず。仕事体験ができるエンターテインメント施設にニーズが生まれるだろう」というプランでした。人とは違った考え方をし、盲点を見つめるという発想が自分にあったことは、自分ですら知らなかった発見でした。

この体験はとても強烈で、「さらに学びを深めたい」という気持ちが生まれました。そこで2年次もキャリアゼミを受講。1年次に経験したことを活かして、今度はグループのサブリーダーとしてメンバーのコミュニケーションをサポートしたり、議論を推進する役割を担当しました。「盲点を見つめる」をここでも活かし、ポストコロナ時代に求められるビジネスプランを提案しました。このときの提案は先生から非常に高い評価を受け、授業が終わった今もプロジェクトとしてブラッシュアップを続けています。SDGsの取り組みの一環として、企業の協力を得ながら事業化を目指しています。

商学部では3年次からコースを選択します。私はファイナンスコースを選択しました。キャリアゼミでマーケティングに近い領域を学んでいたことから、「商品化や事業化には資金が必要だ。ファイナンスがマーケティングを支えている」ということを感じていました。そこで、ファイナンスの専門知識を身につけることで自分をさらに高めていこうと考えたのです。

ファイナンスを学び始めると、経済のこと、税金のこと、政治のこと、国際関係のことと、あらゆることがつながり合っていることを知りました。そのすべてに興味が広がり、今は「知りたいことがいっぱい! だらだらしている時間なんてない」という状態です。本もあらゆるジャンルのものを読むようになりました。それぞれの分野でしっかりとした知識を身につけて、自分なりの考えを持った大人になりたいと考えています。そして、キャリアゼミで教えてもらった「代替不可能な人材」、すなわち、いろいろな立場から物事を考え、自問自答しながら自分なりの答えを出すことができる人材になりたいです。

今の自分は、高校時代からは想像もつかないほどの成長ぶりです。それを可能にしてくれたのは、関西学院大学という環境です。チャンスがたくさんあって、やる気次第でそれまでとは違った自分になることができる学校なのです。私にとっての“チャンス”は、キャリアゼミでした。ぜひ、受講をおすすめします。

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