チャレンジできる環境と熱い支援が業界を超え、優良企業で活躍する力を養うー関西学院大学

チャレンジできる環境と熱い支援が業界を超え、優良企業で活躍する力を養うー関西学院大学

99.6%という高い就職率を誇る関西学院大学。本シリーズでは、進化するキャリア教育、理系のキャリア支援、学生ニーズに寄り添った多様な支援、そしてアントレプレナー育成と、「キャリアの関西学院大学」と呼ばれるゆえんを多角的にひも解いてきた。今回は、最新の就職実績に注目。データを読み解きながら、その背景にある同学の強みや特色を考察する。

取材 井沢 秀(大学通信)   
文 松本守永(ウィルベリーズ)

大学通信では有名企業400社の就職者数を毎年集計している。400社は、日経平均株価指数の採用銘柄や会社規模、知名度、大学生の人気企業ランキングなどを参考に毎年選定。400社における就職者数の業界別対10年前比率を関西学院大学と全大学で並べたのが下のグラフだ。まずはこのグラフを元に、注目すべき業界について、関西学院大学の評価の理由を読み解きたい。

メーカーへの就職が増加。就職先の裾野が広がる

グラフを見ると、化学、電気機器・電子、機械・機器が全大学を大きく上回る伸びを示している。ほかにも食品、鉄鋼・金属、自動車が全大学よりも高水準だ。特に、電気機器・電子と機械・機器については、グラフには示さなかったが、5年前の比較と3年前の比較でも全大学より高水準となっている。メーカー系において、幅広い業種へと就職先が広がっていることが見て取れる。また、就職者数の上位企業を見ると、三菱電機(28名)、キーエンス(16名)、日本電気(15名)など、大手メーカーが並ぶ。各業界のリーディングカンパニーへ幅広く活躍の場を広げているのが、近年の同学の就職状況だと言えそうだ。

この背景にはまず、充実した留学制度や学部を越えた全学プログラムなど、学生が広い視野を得られるカリキュラムの成果がある。キャリアセンターの村田晋作氏はこう語る。

「留学についても、本学では単に語学留学ではなく、海外でボランティア活動をしたり、ビジネスに携わったりできるプログラムを実施しています。それらに参加した学生を、企業は高く評価することが多いです」

これらの環境を生かして多角的に物事を見つめられる姿勢や柔軟な思考を身につけた学生は、グローバル展開を進めるメーカー系企業の求める人材像とマッチしていると言えるだろう。

さらに、キャリアセンターが学生に対して、「視野を広げよう」と常に呼びかけ、イベントやガイダンスで業界研究の重要性や具体的な方法を伝えていることも下支えになっている。

2021年4月に理系4学部を新設するなど、同学では理系人材の育成を全学的な重点施策の1つとしている。理系学部が拠点を置く神戸三田キャンパスでは、学びや研究内容と社会とのつながりについて企業が学生に語りかける「BiZCAFE」を開催。従来以上に社会を意識しながら大学時代を過ごす学生が増加することが期待される。

伝統の強さが発揮される銀行・生損保業界

銀行業界は昨今、採用人数を減らす「厳選採用」に転換した。グラフの通り、就職者の10年前比率は、100%を下回り減少傾向となる。関西学院大学も例外ではないが、同学の就職者数上位を見てほしい。銀行業界では、三井住友銀行(23名)やみずほフィナンシャルグループ(18名)といったメガバンクが名を連ねる。さらに、生保・損保業界ではグラフの通り、大学全体よりも高止まりをしている。日本生命保険(31名)や住友生命保険(19名)といった業界のリーディングカンパニーへの就職者数が、全大学中で1位となっていることにも注目したい。

2022年 関西学院大学の就職状況(大学院含む)

同学は伝統的にこれらの業界への就職に強さを発揮し、業界内での認知度も高い。企業が行う厳選採用には、組織の中核となる人材に的を絞って採用したいという狙いがある。そのようななかで同学が依然として、高い就職実績を実現していることは、学生に対し、「コア人材」としての期待を示しているとも言える。

顕著な伸びを示す通信・サービス業界

10年前との比較で、200%を超える比率を示したのが通信業界とサービス業界だ。グラフには示していないが、通信業界では5年前と3年前の比較でも全大学を上回る。またサービス業界では10年前との比較だけでなく、コロナ禍前の2019年との比較でも全大学以上の比率に。両業界は近年の就職先として、大きな潮流の1つになっている。関西学院大学では、女子の就職が増えている業界でもあるという。

これらの業界を牽引するのはIT企業だ。さらに、サービス業界には、楽天グループ(14名)、外資系企業のアクセンチュア(11名)など、グローバルにビジネスを展開する企業も少なくない。このような企業は、前述の同学が実施している国際教育プログラムに参加した学生との親和性も高い。

主体性や協調性を育む「挑戦できる環境」が充実

ここまでは、業界ごとの就職動向を軸に、その背景について考えてきた。ここからは、企業が求める人材像を軸にしながら、同学への社会的評価について考えてみたい。

日本経済団体連合会(経団連)が2022年に行った調査によると、企業が大卒者に求める人材像のトップには、「主体性」が挙げられた。2位にはチームワーク・協調性・リーダーシップ、3位には実行力が続いた。いっぽう、関西学院大学が企業に対して行ったアンケートによると、同学学生の「優れている力」として、大多数の企業が「チームで働く力」を挙げた。「チームで働く力」は、経団連調査の2位と相性が良い。では1位の主体性や3位の実行力を育む環境についてはどうか。その答えとなり得るのが、学生の興味や意欲を支えるさまざまな取り組みの成果だ。

例えば海外に興味がある学生に対しては、短期の語学研修から長期にわたる現地でのボランティア活動まで、さまざまなプログラムが用意されている(※1)。大学という学びの場を最大限に生かし、最短4年で2つの学位を取得できる「マルチプル・ディグリー制度」もある。本誌で今まで行った、同学の学生インタビューの中でも、多くの学生が「やりたいことがあれば、必ずチャレンジすることができる。応援してくれる仕組みがある」と口をそろえて答えてくれた。この環境が、チームで働く力はもとより、主体性や実行力を育む土台になっていると言えるだろう。

※1:円安やインフレなどの社会情勢の変化は、留学にかかる費用の高騰を招いている。関西学院大学では2022年度秋学期に実施される海外派遣プログラムに参加する学部生を対象に、総額約9,000万円の緊急経済支援を実施。

真剣に向き合う大人との関係性が、豊かな人間性を育む

主体性や協調性をはじめとした人間性を重要視しているのは、何も日本企業に特有のことではない。成果主義やジョブ型採用が象徴するように、実務能力をひときわ重視するイメージがある外資系企業であっても、根底には共通する考え方を持っている。例えばGAFA(※2)のある企業は求める人材像として、「good natured person」という言葉を用いている。あえて日本語にするなら、「優れた性質の人」あるいは「善い人」と言えるだろう。ここには、学業の成績をはじめとした定量的には測ることのできない、人としての資質の高さや、共に働く仲間としての信頼感などが込められている。主体性や協調性、素直さや利他の心もその一部だ。

※2:Google、Apple、Facebook、Amazonの4社の頭文字をとったもの。

関西学院大学では、キャリア教育・支援だけでなくあらゆる取り組みにおいて、教職員が「学生のためになることを」という思いでプログラムの企画や運営にあたっている。学生と接する際には、学生と教職員という垣根を越えて本音でぶつかり合うこともあると言う。キャリアセンターの川原鉄平課長補佐は、「自分たちのために教職員が一生懸命になっているということが伝わると、学生は素直に受け止めてくれます。その経験が、大人や社会に対する信頼、ひいては素直さや利他性につながっているように思います」と語る。good natured personを育てているのは各種の支援制度だけではなく、そこに込められた、学生を支える教職員の思いであり、学生との間で築かれた信頼関係なのかもしれない。

このような関係性のなかで学生生活を過ごした結果、同学の就職満足度は97.1%と、大規模大学としては驚異的な高さを誇る。就職に対する満足感は、「次は自分が後輩を支えたい」という思いへとつながる。OB・OG訪問や学内イベントでの講師としての協力など、卒業生が後輩のキャリア教育・支援に積極的なのは、同学の大きな特徴だ。

制度を作るだけならすぐにできる。しかし、制度に魂を吹き込み、実りあるものにするには計り知れない時間と労力がかかる。連綿と受け継がれた、「学生のために」という思い。それこそが、「キャリアの関西学院大学」として社会から認知され、確固たる評価を寄せられる根源と言えるだろう。

企業が期待するのは素直さと献身性。関西学院大学の気質と共通している―採用担当者インタビュー

櫻井修治さん
パナソニックオペレーショナルエクセレンス株式会社
経済学部卒

複雑さと多様さを増す社会のなかで企業が確かな存在感を発揮し続けるためは、人材採用は最重要テーマの1つだと言える。今、企業はどのような人材に期待しているのか? 関西学院の学生は、企業の目にはどのように映っているのか? パナソニックで技術系採用部門のリーダーを務め、自身も関西学院大学の卒業生である櫻井修治氏に話を聞いた。

パナソニックは2022年から、持ち株会社であるパナソニックホールディングスと8つの事業会社、そして国内外の関連会社で構成される企業グループになりました。私が所属するパナソニックオペレーショナルエクセレンスは、グループ全体の人事や総務といったバックオフィス業務を受け持つ会社。そのなかで私は人事部門に所属し、技術系採用のリーダーを務めています。

主に担当するのは企画業務です。大学生をはじめとした求職者に対して、いつ、どのような情報発信を行うのかを考えたり、求める人材像の定義付けを行ったりしています。高校生や高専生の採用も受け持っているので、高校へ足を運んで先生方とお話しする機会もあります。

当社で働く上で大切なのは、「素直さ」です。素直さとは、物事にバイアスをかけて見るようなことはせずに、あるがままに見る力のことです。経験や既成概念、自分の価値観などに固執せずに、目の前のことをそのままに受け止めることができる力とも言えます。こういった力を備えた人は、入社後に大きく成長することができます。

献身性も重要です。ここで言う献身性は、人のために自分を押し殺すということではなく、「何のための仕事なのか」という意味付けができて、その仕事をすることに喜びを感じられるということです。このマインドは、他者や社会に貢献できる人になるために自分を磨くという意味の、関西学院大学のスクールモットー「Mastery for Service(奉仕のための練達)」に通じるものがあると思います。

関西学院大学の学生は、この2つの要素を備えている人が多いです。私自身も関西学院大学の卒業生なのですが、献身性こそが「関学マインド」だと感じています。「誰かのために」「何かのために」という意識をもって行動している人が非常に多いです。関西学院大学という場所で過ごす時間が、自然に献身性を培ってくれたように思います。

関学生は総じて、がつがつしていないように思います。これは、物事に固執せず、柔軟に対応したりありのままを見つめたりする力である「素直さ」を持っているという意味です。

実は、当社にいる採用担当者のうち、関西学院大学の卒業生が私以外にも多く活躍しています。パナソニック以外を見てみても、関西学院大学OB・OGはいたるところで活躍しています。多くの素晴らしい先輩たちのおかげで、私たちは「関学の卒業生なら大丈夫」と信頼を寄せてもらえます。また、「関学の卒業生としての期待に応えたい」という責任感が生まれ、仕事の質が高まります。その結果、関学卒業生への信頼がさらに高まります。そのような循環が生まれているのではないでしょうか。

私はメーカーの一員として、かつて「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われた強さを必ずや取り戻したいと考えています。そのために、メーカーの素晴らしさをひとりでも多くの学生に伝えるとともに、若年層のキャリア教育にも力を入れています。実現したいのは、就職に向けた面接のない社会です。現在のような就職のためのインターンシップではなく、学びながら社会と接点を持ち、仕事や社会を理解できるようにしたいのです。そうすることが学生にも企業にも利益をもたらし、ひいては日本の国力を高めることにつながると考えています。

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