初年次教育、授業改善……全国の進路指導教諭が東京工芸大学を評価する理由

初年次教育、授業改善……全国の進路指導教諭が東京工芸大学を評価する理由

大学通信では、毎年全国の進学校約2000校の進路指導教諭を対象に“オススメの大学”についてのアンケートを行っている。この調査で、東京工芸大学は「面倒見が良い大学」「小規模だが評価できる大学」の2項目で上位にランクインした。では、東京工芸大学のどのような取り組みが評価に結び付いているのだろうか。工学部教授・工学研究科長でFD委員長を務める大嶋正人先生に聞いた。

「学生第一主義」の伝統からくる面倒見の良さ

工学部教授・工学研究科長 FD委員長
大嶋正人先生

―「面倒見が良い大学」は全国の数ある工科系大学の中で13位、「小規模だが評価できる大学」は同じく18位です。こうした評価はどのようなところからきているのでしょうか。

私は20年近く前に本学に赴任してきましたが、その頃から教員と学生の距離が近く、学生への気配りが行き届いている大学ということが謳われていました。2015年にこれを「学生第一主義」としてまとめました。それが伝わりそのような評価を頂けていることは嬉しく思います。

最近では、2019年に工学部を5学科制から1学科5コース制に再編するという大きな改革を行いました。それに合わせて、工学部の初年次教育を拡充し、カリキュラムアドバイザー(CA)という制度を整備しています。入学者を5〜10人程度の班に編成し、各班にCAとなる教員が一人割り振られて学生をサポートするものです。担任制のようなもので、「学修技術と自己管理」という科目の設置が大きな特徴です。この科目では、大学における学修の仕方や設備の活用方法などを具体的に学んでいきます。また、CAとは個別面談を複数回行い、達成度を確認しながら自分の将来を考え、2年次以降の学びの分野を選択していきます。

―入学直後は学生も不安が大きいので、CAが学習の仕方から教えてくれるのはありがたいですね。

工学部生の学習面のサポートでいえば、学修支援センターという施設も挙げられます。主に工学の基礎を勉強する上での疑問や悩みについて、元高校教員や上級生、大学院生などが相談に乗るというものです。カフェのような雰囲気になっており、学生も気軽に足を運びやすくなっています。この施設はとても好評で、21年4月には芸術学部のある中野キャンパスにも学修サポートセンターという同様の施設を設置しました。

また、芸術学部については、就職に関する心配を早めに取り除くために、「芸術学部お仕事BOOK」という冊子を作成し入学時に配布しています。クリエイティブ業界を中心とした業種・職種のほか、企業に所属せずにフリーランスとして活躍する道も紹介するなど、早期からキャリアについて考える機会を提供しています。

学生たちの努力の甲斐あり、コロナ禍にあっても21年春卒業生の就職状況は良好でした。ただ、特にクリエイティブ業界をめざす学生には厳しい状況が続くと予想されますから、大学側としても就職サポートにさらに力を入れていく予定です。

芸術学部の新入生に配布される『お仕事BOOK』

FD委員会(※)による授業改善にも注力

―大嶋先生はFD委員長として授業改善の取り組みにも携わっているとお聞きしました。

私は昨年までは教務部長としてカリキュラムを作る側にいました。それが今年からFD委員長に就任し、カリキュラムをブラッシュアップしていく立場に変わりました。学生目線に立ってより良い授業を提供できるよう、追求しているところです。

まず授業内容について、教員に対しては、単に知識を教えるのではなく、その知識を社会でどのようにして使うのかまで含めて伝えるようにお願いしています。なぜこの科目を勉強するのかという価値を示し、学生の前向きな姿勢を引き出す授業を行えるのが理想ですね。

―学生目線に立った授業改善ということで、何か工夫していることはありますか。

学生対象の授業評価アンケートは07年から実施しているのですが、学生の感じ方をさらに踏み込んで聞けるよう、アンケートの項目を見直す予定です。また、匿名のアンケートだけでは不十分と考え、19年より学生FD委員会を立ち上げています。学生たちの積極的な参加により様々な意見、要望、苦言を集めることができるようになりましたので、アンケートと併せて授業にフィードバックしていきます。いずれも地味なことのように思えるかもしれません。しかし、このような地道な取り組みが授業全体の質を底上げする一番の近道なのだと考えています。

―「学生第一主義」の様々な取り組みについてお伺いしたことで、東京工芸大学が進路指導教諭から評価される理由が分かった気がします。最後に、受験生に一言メッセージを頂けますか。

インターネットによる情報収集が容易になった時代では、知識の有無では勝負になりません。知識や情報を活用し、考える力と伝える力を磨いてください。コンピュータやAIと共存するために必要な力となります。本学ではそのような力を身につけられるよう、サポート体制を整えて待っています。

※FD委員会…ファカルティ・ディベロップメント委員会の略。教員が授業内容・方法を改善し向上させるための組織のこと。

厚木キャンパスの『col.lab(カラボ)ギャラリー』。国内で初の『色』をテーマにした常設ギャラリーで、私立大学研究ブランディング事業に採択された。

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