横浜市緑区の竹山団地は、JR横浜線の鴨居駅からバスで10分の高台にあります。昭和40年代に建てられ50年以上が経過、住民の高齢化や商店街の空き店舗が問題となっていました。
この団地で2020年、神奈川大のサッカー部が地域活動に関わるプロジェクトが始まりました。部員が団地に住み、地域貢献活動を行います。一部の部員ではなく、約60名の部員全員が団地を生活の場としているのが特徴です。商店街の空き店舗を部員の食堂として利用するなど衣食住がそろい、団地を学生寮のように活用しています。部員たちは、花火大会、防災訓練、イルミネーションの飾りつけなどの地域イベントや、団地の高齢者向けのスマホ教室をサポートするなど住民との交流を深めてきました。
プロジェクトのスタートから4年。銀行が撤退するなど団地内の商店街に空き店舗が増え、その利活用がさらなる課題となっていました。そこで複数の空き店舗を利用した新たな拠点を立ち上げる計画が進み、このほど施設が竣工しました。
新たに誕生するのが「未来研究所 竹山セントラル」と「空気研究所 竹山エアラボ」です。この施設の竣工にあたり、先日内覧会が開催されました。
内覧会には地域の人たちも招待され、お年寄りを中心に大勢の人が参加。大変な賑わいでした。この4年間でサッカー部の学生たちが地域に馴染んでいる様子が見て取れ、「ここはいつから使えるの?」など地域の人たちの期待する声が多く聞かれました。
竹山セントラルは、「健康促進」「生活習慣改善」「コミュニティの場」を目的としています。健康体操やヨガのプログラムが受講できるほか、健康相談や運動指導のサポートも受けられるそうです。
竹山エアラボはダイキン工業の低酸素システムを導入した最新鋭のトレーニング施設。サッカー部員のトレーニングに使われるほか、地域住民にも開放され、お年寄りの健康促進に役立てられます。
団地の高齢化と商店街の空き店舗増加は、竹山団地だけの問題ではありません。今回、神奈川大サッカー部の地域活動の現場を取材し、若者によって地域が元気になる様子を目の当たりにしました。一部の部員だけでなく、部全体で取り組んでいるからこそ地域に馴染み、活動が定着しているのでしょう。団地のお年寄りが新しい施設の営業が始まるのを楽しみにしている様子が印象的でした。
大学が地域課題の解決に貢献する一つの形かもしれません。