コロナ禍が終息し再始動するグローバル系学部

コロナ禍が終息し再始動するグローバル系学部

文系や社会科学系、理工系、学際系―。グローバルという文脈には多彩な学問分野が包摂されている。コロナ禍でいったん停滞したが、グローバル系学部に対する注目度は再度高まっている。多様なグローバル系学部の中から、生徒に適した学部を選ぶポイントについて、入学時に求められる語学力や留学制度などと併せて見ていこう。

文 井沢 秀(大学通信)

幅広い領域をカバーするグローバル系学部
ミスマッチ防止のために知っておきたい学問分野や授業形態、留学制度

新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが第5類感染症となり、アフターコロナの時代を迎えた。停滞した海外留学もコロナ前の状況を取り戻しつつある。例えば上智大は、「新型コロナウイルスが第5類へ移行することに伴い、学生の海外渡航について外務省の海外渡航レベル1以下の国について、原則として制限を課さない」とした。

ロシアのウクライナ侵攻に端を発した世界情勢の混乱を持ち出すまでもなく、世界の国々は緊密につながっている。これからの時代を生きる高校生には、グローバル化がもたらす様々な課題を解決するための能力獲得がこれまで以上に求められている。こうした状況を背景として、グローバル人材を育成する場であるグローバル系学部にかかる期待は大きい。

国際経済なら社会科学系、国際文化なら人文系と、それぞれの学部系統の一分野とされた時代とは異なり、現代のグローバル系学部は留学の必須化や英語による授業など、グローバル社会で活躍することを前提とした学部が中心。これらの学部の特徴は、ボーダレス化が進む社会で求められる高い語学力と異文化理解を深めることによるコミュニケーション能力をベースとして、専門性の獲得を目指すことにある。

コロナ禍で中断されていた海外留学が再開

グローバル系学部を語るとき、外せないのは海外留学。コロナ禍1年目の20年度は、ほぼすべての大学で海外留学が中止になり、留学が必須の学部では、オンライン留学などで代替された。その後、徐々に海外留学の扉が開かれ、前述の通り23年度は大学による海外留学の制限がほぼなくなっている。アメリカ、カナダ、イギリス、韓国、中国など、日本からの留学生が多い国で、学生ビザが発給されるようになっている。

コロナ禍が明けても、海外留学に向けた障壁がすべて取り除かれたわけではない。今、留学希望の学生を悩ませているのが円安による留学費用の高騰だ。

この点について施策を打ち出す大学もある。関西学院大は、円安やインフレ等によるプログラム費の高騰に対応するため、22年度秋学期に留学プログラム参加学生を対象とした経済支援を実施。この支援は23年度も継続される。

このようにグローバル系学部に留まらない全学的な留学支援を行っている大学がある。また、留学費用軽減という面からは、コロナ禍で進んだオンライン留学を継続し、今後も選択できる大学がある。経済的に留学は難しいとあきらめる前に、志望大学の状況を確認したい。

多様なグローバル系は学部内容の十分な精査が求められる

多様なグローバル系学部の中から生徒に適した学部を選ぶのは意外に難しい。専門分野が多岐にわたっており、学部名だけで教学内容を判断しにくいケースが多いからだ。そこで、「主な国際・外国語系学部」では、「人文学系」「人文・社会科学系」「学際系」に分類してそれぞれの主な学部を掲載した。


主な国際・外国語系学部

学部系統 地域 大学〈学部・学群〉
人文学系 関東 獨協大〈外国語〉〈国際教養〉城西国際大〈国際人文〉麗澤大〈外国語〉東京外国語大〈言語文化〉杏林大〈外国語〉上智大〈外国語〉昭和女子大〈国際〉大東文化大〈外国語〉拓殖大〈外国語〉帝京大〈外国語〉東京成徳大〈国際〉目白大〈外国語〉神奈川大〈外国語〉関東学院大〈国際文化〉
北陸・甲信越 北陸大〈国際コミュニケーション〉
東海 岐阜聖徳学園大〈外国語〉聖隷クリストファー大〈国際教育〉常葉大〈外国語〉愛知県立大〈外国語〉椙山女学園大〈外国語※〉名古屋外国語大〈外国語〉〈世界教養〉南山大〈外国語〉名城大〈外国語〉
近畿 京都外国語大〈外国語〉京都産業大〈外国語〉京都ノートルダム女子大〈国際言語文化〉同志社大〈グローバル・コミュニケーション〉〈グローバル地域文化〉大阪大〈外国語〉大阪学院大〈外国語〉大阪産業大〈国際〉関西大〈外国語〉桃山学院大〈国際教養〉神戸市外国語大〈外国語〉大手前大〈国際日本〉神戸学院大〈グローバル・コミュニケーション〉
中国・四国 吉備国際大〈外国語〉
九州・沖縄 九州産業大〈国際文化〉西南学院大〈国際文化〉〈外国語〉長崎外国語大〈外国語〉熊本学園大〈外国語〉宮崎国際大〈国際教養〉鹿児島国際大〈国際文化〉
人文・社会科学系 北海道・東北 北洋大〈国際文化〉北海道文教大〈国際〉東北学院大〈国際〉国際教養大〈国際教養〉
関東 筑波大〈社会・国際〉宇都宮大〈国際〉群馬県立女子大〈国際コミュニケーション〉共愛学園前橋国際大〈国際社会〉共栄大〈国際経営〉東京国際大〈言語コミュニケーション〉〈国際関係〉武蔵野学院大〈国際コミュニケーション〉開智国際大〈国際教養〉神田外語大〈外国語〉〈グローバル・リベラルアーツ〉敬愛大〈国際〉秀明大〈英語情報マネジメント〉千葉商科大〈国際教養〉明海大〈外国語〉麗澤大〈国際〉和洋女子大〈国際〉東京外国語大〈国際社会〉〈国際日本〉青山学院大〈国際政治経済〉〈地球社会共生〉亜細亜大〈国際関係〉桜美林大〈グローバル・コミュニケーション〉大妻女子大〈比較文化〉学習院大〈国際社会科〉学習院女子大〈国際文化交流〉共立女子大〈国際〉国士舘大〈21世紀アジア〉駒澤大〈グローバル・メディア・スタディーズ〉実践女子大〈国際※〉順天堂大〈国際教養〉上智大〈総合グローバル〉〈国際教養〉昭和女子大〈グローバルビジネス〉専修大〈国際コミュニケーション〉創価大〈国際教養〉大東文化大〈国際関係〉拓殖大〈国際〉多摩大〈グローバルスタディーズ〉中央大〈国際経営〉東海大〈国際〉東洋大〈国際〉〈国際観光〉東洋学園大〈グローバル・コミュニケーション〉二松学舎大〈国際政治経済〉日本大〈国際関係〉日本女子大〈国際文化〉文化学園大〈国際文化〉文教大〈国際〉文京学院大〈外国語〉法政大〈国際文化〉〈GIS(グローバル教養)〉武蔵大〈国際教養〉武蔵野大〈グローバル〉明治大〈国際日本〉明治学院大〈国際〉立教大〈異文化コミュニケーション〉〈GLAP〉横浜市立大〈国際教養〉〈国際商〉神奈川大〈国際日本〉東洋英和女学院大〈国際社会〉フェリス女学院大〈国際交流〉グローバルBiz専門職大〈グローバルビジネス〉
北陸・甲信越 新潟県立大〈国際地域〉〈国際経済〉新潟国際情報大〈国際〉公立小松大〈国際文化交流〉山梨県立大〈国際政策〉長野県立大〈グローバルマネジメント〉
東海 静岡県立大〈国際関係〉愛知大〈現代中国〉〈国際コミュニケーション〉愛知淑徳大〈グローバル・コミュニケーション〉桜花学園大〈国際※〉金城学院大〈国際情報〉中京大〈国際〉中部大〈国際関係〉名古屋外国語大〈世界共生〉〈現代国際〉名古屋学院大〈外国語〉〈国際文化〉名古屋商科大〈国際〉南山大〈国際教養〉日本福祉大〈国際※〉鈴鹿大〈国際地域〉
近畿 大谷大〈国際〉京都外国語大〈国際貢献〉京都産業大〈国際関係〉京都精華大〈国際文化〉京都橘大〈国際英語〉平安女学院大〈国際観光〉立命館大〈国際関係〉〈グローバル教養〉龍谷大〈国際〉追手門学院大〈国際〉大阪学院大〈国際〉大阪経済大〈国際共創※〉大阪経済法科大〈国際〉大阪国際大〈国際教養〉大阪女学院大〈国際・英語〉大阪成蹊大〈国際観光〉関西外国語大〈英語キャリア〉〈英語国際〉〈外国語〉〈国際共生〉近畿大〈国際〉摂南大〈国際〉阪南大〈国際※〉兵庫県立大〈国際商経〉関西国際大〈国際コミュニケーション〉関西学院大〈国際〉甲南大〈グローバル教養学環※〉甲南女子大〈国際〉神戸女学院大〈国際※〉天理大〈国際〉
中国・四国 島根県立大〈国際関係〉中国学園大〈国際教養〉ノートルダム清心女子大〈国際文化※〉広島市立大〈国際〉広島修道大〈国際コミュニティ〉山口県立大〈国際文化〉梅光学院大〈国際※〉
九州・沖縄 北九州市立大〈外国語〉福岡女学院大〈国際キャリア〉長崎県立大〈国際社会〉活水女子大〈国際文化〉別府大〈国際経営〉立命館アジア太平洋大〈アジア太平洋〉〈国際経営〉琉球大〈国際地域創造〉名桜大〈国際〉
学際系 北海道・東北 秋田大〈国際資源〉
関東 千葉大〈国際教養〉国際基督教大〈教養〉中央大〈国際情報〉東海大〈国際文化〉東京農業大〈国際食料情報〉早稲田大〈国際教養〉
北陸・甲信越 福井大〈国際地域〉山梨学院大〈国際リベラルアーツ〉
東海 静岡大〈グローバル共創科〉
近畿 神戸大〈国際人間科〉大手前大〈国際看護〉
中国・四国 山口大〈国際総合科〉
九州・沖縄 九州大〈共創〉福岡女子大〈国際文理〉

注)学部系統は各学部のカリキュラム等を参照して編集部が独自に分類
注)学問領域を横断することが多いため、異なる系統の学問を学ぶこともある
注)地域は大学本部所在地で分類。学部所在地と異なることがある
注)※は2024年4月新設予定

「人文学系」は、国公立大では東京外国語大や大阪大。私立大では、外国語学部を新設する椙山女学園大に加え、獨協大、上智大、拓殖大、神奈川大、岐阜聖徳学園大、名古屋外国語大、京都外国語大、西南学院大、熊本学園大などがある。外国語系の学部が多く、語学力を全面に打ち出したグローバル人材の養成が大きな特徴。教学内容が比較的わかりやすい系統だ。

「人文・社会科学系」を見ると、国公立大では、筑波大の社会・国際、宇都宮大・国際、東京外国語大の国際社会と国際日本、新潟県立大・国際地域などがある。

私立大を東日本から見ると、東北学院大・国際、青山学院大の国際政治経済と地球社会共生、学習院大・国際社会科、上智大の総合グローバルと国際教養、昭和女子大・グローバルビジネス、中央大・国際経営、日本女子大・国際文化、武蔵大・国際教養など。

西日本では、愛知大の現代中国と国際コミュニケーション、南山大・国際教養、京都橘大・国際英語、立命館大の国際関係とグローバル教養、龍谷大・国際、追手門学院大・国際、関西外国語大・国際共生、近畿大・国際、関西学院大・国際、立命館アジア太平洋大(APU)のアジア太平洋と国際経営などがある。

24年度に新設される学部は、実践女子大・国際、大阪経済大・国際共創、甲南大・グローバル教養学環、神戸女学院大・国際、ノートルダム清心女子大・国際文化など。

「人文・社会学系」のうち、武蔵大・国際教養の経済経営学専攻には、日本にいながら武蔵大とロンドン大の学位が取得できる「パラレル・ディグリー・プログラム」がある。

武蔵大以外にも、昭和女子大は、上海交通大(中国)、淑明女子大(韓国)、ソウル女子大(韓国)、テンプル大ジャパンキャンパス(米国)、クイーンズランド大(豪州)とのダブル・ディグリー・プログラムがある。立命館大・グローバル教養は、全員が立命館大とオーストラリア国立大の学位取得を目指すなど、海外大学と自大学の複数の学位を取得できる学部もあるので、生徒の希望に応じた指導をしたい。「学際系」は、カバーする分野が広く、文系と理系はもちろん、大学によっては芸術系までフォローする学部もある。

この系統の草分けは国際基督教大。単科大学ながら30を超えるメジャー(専修分野)があり、多様な科目を履修し関心がある分野を見極めた上、3年次になる前の段階でメジャーを選択する。その際、一つのメジャーに絞るほかに、二つのメジャーを同じ比率で履修するダブルメジャー、比率を変えて履修するメジャー・マイナーの3種類の選択方法がある。「学際系」を持つ私立大には、中央大・国際情報や早稲田大・国際教養などがある。

国立大では、千葉大に文理融合型で留学を重視する国際教養がある。同大は、20年度の入学者から、全学部生の海外留学を必須としている。コロナ禍でオンライン留学プログラムの受講などに置き換えられていたが、22年度からプログラムを再開している。

神戸大・国際人間科は、グローバル社会で起こりうる災害や民族対立、経済格差などの課題を解決できる人材を養成。九州大・共創は、文理の枠を超え共に構想して新たなものを創造することから名付けられた学部だ。

全て英語で行われる授業に耐えられるのか見極めが大切

グローバル系学部を志望する上で、次に押さえておくべきなのは、英語による授業の比率。「オールイングリッシュで授業を行う主な国際・外国語系学部」を見てほしい。全ての授業をオールイングリッシュで展開する大学には、国際教養大や上智大・国際教養、法政大・グローバル教養、明治大・国際日本、早稲田大・国際教養、立命館大の国際関係(国際関係学専攻を除く)、関西外国語大・国際共生などがある。

一般的な日本の高校を卒業した学生にとって、全ての授業が英語というのは大きな負担となる。そこで、低学年次に徹底的に英語を学び、徐々に英語中心の授業にシフトする学習院大・国際社会科のように、国際的な活躍を望みながらも英語の能力が追いつかない学生の語学力を伸ばした上で、専門性を身に着けたグローバル人材を養成するケースもある。

愛知淑徳大のグローバル・コミュニケーションも低学年次に英語力を育成した上で専門科目を英語で行うなど、英語による授業の実施状況は大学によって異なる。オールイングリッシュの授業頻度と語学力向上プログラムのバランスを見ながら、授業についていけるのか判断した上で志望校を選択したい。


オールイングリッシュで授業を行う主な国際・外国語系学部

大学 学部 内容
秋田大 国際資源 語学、2年次以降の専門科目
国際教養大 国際教養 全授業
学習院大 国際社会科 3年次以降・専門科目
学習院女子大 国際文化交流 英語コミュニケーション学科の専門演習科目群
上智大 国際教養 全授業
創価大 国際教養 専門科目
中央大 国際経営 設置科目の7割以上
法政大 GIS(グローバル教養) 全授業
明治大 国際日本 English Trackの全授業
明治学院大 国際 国際キャリア学科の全授業
立教大 GLAP(Global Liberal Arts Program) 全授業
早稲田大 国際教養 全授業
愛知淑徳大 グローバル・コミュニケーション 専門科目
名城大 外国語 語学
立命館大 国際関係 国際関係学専攻を除く全授業
グローバル教養 全授業
関西外国語大 国際共生 全授業
兵庫県立大 国際商経 グローバルビジネスコースの全授業
神戸女学院大 国際 (2024年4月新設予定) 専門科目の99%

期間、内容、奨学金制度ー大学によって異なる留学制度

グローバル社会で活躍することを前提としたグローバル系学部は、語学力と共に専門性や多様な価値観を理解するために海外留学が大きなウエートを占めるが、各大学によって留学の時期や期間などは異なる。

「留学が必須となっている主な国際・外国語系学部」の留学期間を見ると、国際教養大や東洋大・国際(グローバル・イノベーション学科)、立教大・GLAP、早稲田大・国際教養、京都橘大・国際英語、同志社大のグローバル・コミュニケーション、関西大・外国語、近畿大・国際など、1年間が多くを占める。


留学が必須となっている主な国際・外国語系学部

大学 学部 留学必須の対象 期間
秋田大 国際資源 全学生 4週間
国際教養大 国際教養 全学生 1年
千葉大 国際教養 全学生 定めなし(最低1回の留学)
秀明大 英語情報マネジメント 英語キャリアコース 5カ月
千葉商科大 国際教養 全学生 2週間~約9カ月
青山学院大 地球社会共生 全学生 半期
亜細亜大 国際関係 国際関係学科 5カ月が基本
桜美林大 グローバル・コミュニケーション 全学生 1学期
学習院大 国際社会科 全学生 4週間以上
学習院女子大 国際文化交流 英語コミュニケーション学科 半年
実践女子大 国際※ 全学生 3カ月以上
昭和女子大 国際 全学生 1学期以上
創価大 国際教養 全学生 半期(1セメスター)
帝京大 外国語 全学生 1学期
東京成徳大 国際 全学生 1年
東洋大 国際 グローバル・イノベーション学科 原則1年(卒業要件は1セメスター)
国際地域学科国際地域専攻 5週間程度
日本女子大 国際文化 全学生 2週間
法政大 国際文化 全学生 1学期
武蔵野大 グローバル グローバルコミュニケーション学科 5カ月
目白大 外国語 全学生(日本語・日本語教育学科を除く) 1カ月~1年
立教大 異文化コミュニケーション 全学生 1学期
GLAP(Global Liberal Arts Program) 全学生 1年
早稲田大 国際教養 母語が日本語の学生 1年
山梨学院大 国際リベラルアーツ 全学生 1年
愛知淑徳大 グローバル・コミュニケーション 全学生 6~10週間
桜花学園大 国際※ 全学生 未公表
金城学院大 国際情報 全学生 1~3週間
中京大 国際 全学生(GLS専攻除く) 1学期
名古屋商科大 国際 全学生 定めなし(最低一度の海外研修)
日本福祉大 国際福祉開発 全学生 約2週間
京都産業大 国際関係 全学生 約3週間
京都橘大 国際英語 全学生 1年
京都ノートルダム女子大 国際言語文化 英語英文学科 Global Liberal Arts Course 半年
同志社大 グローバル・コミュニケーション 英語コース、中国語コース 1年
立命館大 グローバル教養 全学生 1年
龍谷大 国際 グローバルスタディーズ学科 1セメスター以上
大阪経済大 国際共創※ 全学生 未公表
大阪経済法科大 国際 全学生 約1週間~約1カ月
関西大 外国語 全学生 1年
関西外国語大 英語キャリア 全学生(小学校教員コース除く) 1年
英語国際 全学生 1学期を2回
近畿大 国際 全学生 1年
関西学院大 国際 全学生 1カ月~1年
甲南大 グローバル教養学環※ 全学生 1週間~1年、2カ国以上
神戸学院大 グローバル・コミュニケーション 英語コース、中国語コース 1学期
吉備国際大 外国語 全学生 6週間~2カ月
山口大 国際総合科 全学生 1年
梅光学院大 国際※ 全学生(国際ビジネスコミュニケーション専攻を除く) 半年~1年

注)※は2024年4月新設予定

これらの大学の中で留学時期に特徴があるのは近畿大。一般的な大学では、語学力や一般教養を修得した後、2年次以降に留学をするケースが多いが、同大は1年次後期から留学に送り出す。2年次前期までの1年間をかけて語学や、コミュニケーション、文化について学び、国際的なビジネス社会で通用する人材育成を行う。

留学期間以外にも、語学留学なのか深く専門分野を学ぶのか、また、留学費用に対する奨学金支給対象者の人数や支給額など、大学によって留学制度は千差万別なので、志望校の状況を押さえておきたい。

留学で気になるのは単位不足による留年だが、多くの大学は単位の読み替えにより4年間で卒業が可能だ。さらに、就活も気になるところ。3年次に1年間留学すると、就活スケジュールに乗り遅れることを危惧する生徒もいるだろう。しかし、留学経験者を対象に選考する企業は数多くあるので、留学がデメリットになることはない。むしろ、企業は留学経験者を求めているほどだ。

日本語禁止の学内留学施設でコミュニケーションカを磨く

授業や留学以外に、グローバル人材を養成する環境整備に力を入れている大学もあるので注目したい。

そうした大学をまとめたのが「主な学内留学施設」。大半の施設が日本語禁上で、外国人留学生やネイティブ教員と一緒に語学力やコミュニケーション能力を養う。東洋大のECZも英語が公用語で日本語は禁止。読書や昼食、テレビ・DVD鑑賞などを留学生とともに楽しむことができる。様々なイベントの他に、毎日決まった時間に交換留学生が英会話スタッフとして常駐しているので、英会話力に磨きをかけることができる。


主な学内留学施設

大学 学内留学施設
北海道文教大 GCC(Global Community Center)
秋田大 多文化交流ラウンジ
筑波大 スチューデント・コモンズ
流通経済大 Community Learning International Plaza (CLIP)
白鷗大 国際交流ラウンジ
千葉大 イングリッシュ・ハウス
神田外語大 ELI(English Language Institute)
青山学院大 青山学院チャットルーム
桜美林大 Brown Bag Café
成城大 成城グローバルラウンジ
創価大 SPACe(Student Performance Acceleration Center)
中央大 異文化交流ラウンジ「Gスクエア」
帝京大 OUCHI COMMONS
東京理科大 インターナショナルラウンジ
東洋大 ECZ(English Community Zone)
東洋学園大 Global Lounge
文教大 Language Garden
文京学院大 チャットラウンジ、ランゲージサロン
法政大 Gラウンジ(Global Lounge)
武蔵大 Musashi Communication Village(MCV)
明治大 国際交流ラウンジ
立教大 グローバルラウンジ
早稲田大 ICCラウンジ(Intercultural Communication Center)
横浜市立大 Practical English Center
神奈川大 English Lounge
北陸大 Communication Oasis MOGUMOGU
山梨大 グローバル共創学習室「G-フィロス」
岐阜聖徳学園大 外国語ラウンジ「Lounge MELT」
愛知淑徳大 Global Lounge
南山大 World Plaza、多文化交流ラウンジ「Stella」
日本福祉大 Global Lounge、English Lounge
名城大 グローバルプラザ
京都産業大 グローバルコモンズ
同志社大 国際交流ラウンジ
立命館大 Beyond Borders Plaza (BBP)
龍谷大 グローバルラウンジ、マルチリンガルスタジオ
追手門学院大 English Café at Otemon(E-CO)
関西大 Mi-Room (Multilingual Immersion Room)
近畿大 英語村E³[e-cube]
関西学院大 フジタ・グローバルラウンジ
甲南大 グローバルゾーン「Porte」
立命館アジア太平洋大 SALC(Self-Access Learning Center)〈言語自主学習センター〉

学内留学施設は、全ての学生が異文化コミュニケーション能力を鍛えられる場であり、オールイングリッシュの授業についていけるよう、学生を個別にフォローするスペースとして活用する大学もある。こうした施設は、秋田大や千葉大、成城大、東京理科大、法政大、明治大、岐阜聖徳学園大、立命館大、龍谷大、関西学院大、甲南大など数多くの大学が用意している。

留学生と一緒に寮生活をすることで、多様な文化背景の人とのコミュニケーション能力を身につける大学も増えてきた。APUは半数が海外からの留学生。キャンパスライフが留学と同じ効果を生むと同時に、1年次に敷地内の学生寮(APハウス)で留学生と同室の寮生活も可能なことが、異文化理解力を深める。学生寮を留学生との交流の場として積極的に活用する大学には、国際教養大や早稲田大、国際基督教大、流通科学大などがある。

新型コロナ禍で国境を越えた往来が厳しく制限されていたことから、グローバル系学部の人気は下がっていたが、23年度は変化の兆しが見え始めてきた。外国語系と国際系ともに志願者の減少が下げ止まったのだ。海外留学がコロナ前の状況に戻ったことに加え、これまでの志願者減で有名大でも倍率が下がっていることから、24年度入試では志願者が増加に転じる可能性もある。

将来を見据えた時、グローバル系学部を目指す意義は大きい。学問分野や授業形態、留学制度など、各大学の教育環境を十分に理解した上で、最適な志望校を選びたい。

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