フィールドワークでの実体験とアカデミックな知見の相乗効果により“チェンジメーカー”としての資質が育まれる―清泉女子大学 地球市民学科

フィールドワークでの実体験とアカデミックな知見の相乗効果により“チェンジメーカー”としての資質が育まれる―清泉女子大学 地球市民学科

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清泉女子大学の地球市民学科は、日本初の学科として2001年に開設されて以来、学外でのフィールドワークや社会と連携したプロジェクト型学習での実体験を重視。学内における理論的な学びとのシナジーが生まれ、社会に変革をもたらす“チェンジメーカー”に相応しい資質が磨かれていく。韓国留学での経験をもとに、帰国後も多様なフィールドで精力的に活動する3年生の窪田夏菜美さんと、ゼミの指導教員である辰巳頼子准教授に、日々の取り組みや学科の魅力をうかがった。

構成 東久世克樹(大学通信)
 文 鈴木秀一郎      

フィールドに出るからこそ“意識”が更新されていく

地球市民学科 専門は文化人類学
辰巳頼子准教授

地球市民学科3年 横浜市立戸塚高等学校出身
窪田夏菜美さん

―窪田さんは、なぜ地球市民学科を選んだのでしょうか。

窪田 私は高校時代から社会問題に興味があり、地球市民学科の特色であるフィールドワークをとおして、特に環境問題を専門的に学びたいと考えたからです。一方で、K-POPや韓国ドラマをきっかけに韓国語への興味が高まったため、2年次が終わる2022年3月から8月まで、半年間の韓国留学に挑戦しました。現地では日韓問題や環境問題について意見交換を行い、韓国ならではの考え方や価値観に触れたいと考えました。また、留学中はフィールドワークの一環として、ゴミ拾いとランニングを融合させた「プロギング」という活動に参加し、ソウル市内や釜山の海岸などで清掃活動を行いました。

辰巳 事前に相談もしてくれましたし、窪田さんにとっては大きな決断だったんですよね。

窪田 留学のために2022年度は休学したため、当初は不安もありました(※)。ただ、現地で韓国人の大学生や留学生仲間と話をすると、休学は特別なことではないことに気付きました。人生経験のために休学という選択をした人たちに出会えた結果、“大学は4年間で卒業すべき”という固定観念にとらわれていたことを実感しました。世の中には多様な考え方があって当然であって、それは環境意識にも当てはまりました。日本人と韓国人で意見が違っても、角度を変えれば“共通項”が見つかるもの。留学では多角的に集めた情報を主体的に取捨選択し、発言や行動に活かす大切さを学べました。

※清泉女子大学では、長期留学制度を利用すれば、休学せずに4年間で卒業可能。

辰巳 留学で環境意識が更新されたことで、帰国後の活動に活かされていますよね。

窪田 コロナ禍でパーテーションとして使われ、現在は“お役御免”となりつつあるアクリル板について考えたときに、廃棄するのではなく、私にできることをしたいと思ったのです。こうして立ち上げたのが、アクリル板を学生主導で回収し、アクセサリーメーカーが商品として販売するプロジェクトで、まずは今年度中に回収から販売までの仕組みを確立させたいと思っています。

対話を経て“自分らしい”研究テーマを設定

―ゼミでの活動についても教えてください。

辰巳 私のゼミでは、3年次から個々が研究テーマを設定し、たとえ狭い範囲でも深くフィールドワークを行うことを重視しています。そこから社会全般にも当てはまる知見を導き出し、人類の営みを解き明かすことが目標です。まずは興味のある対象について10分程度のドキュメンタリー映像を制作するのですが、それが本当に自分が突き詰めたいテーマなのかを自問自答する機会になるほか、学生同士でコメントし合う中で、潜在的な自分の興味に気づいていく学生もいます。

窪田 私の場合は、発表して仲間と対話を重ねることで自分の考えが整理され、さらに理解を深めるべきポイントを認識することができました。その結果、私は人々の消費行動を変え、サステナブルかつエシカルに買い物ができる世の中にしたいと考えるようになりました。「買い物は投票である」ともいわれ、企業や社会に訴えるアクションの一つが買い物なのです。私は入学後にヴィーガンを自認するようになりましたが、日本ではヴィーガンにとっての選択肢が少ないのが実情。「プラントベース」と呼ばれる植物由来の食品は市場規模が拡大しつつあるものの、現状を踏まえ、消費者が行動を変え、企業に需要を認識してもらう必要があります。対して韓国ではヴィーガンコスメの普及が進み、ソウルにはヴィーガンレストランやカフェが多く、日本で暮らしていた時よりも生活しやすく感じました。また、環境負荷が少ないパッケージの商品も多く、マーケティング戦略として環境面での取り組みを前面に押し出す企業が目立ちました。しかし、日本では化粧品メーカーがヴィーガンコスメに本格的に取り組むことはレアケース。だからこそ私は、韓国ブランドの輸入販売を手がける企業でのインターンシップに参加しており、ヴィーガン対応商品の認知度を高めようと“営業活動”を行っています。

―窪田さんはとても精力的に活動されていますね。

辰巳 地球市民学科が目指すゴールは、社会にインパクトを与える“チェンジメーカー”になることです。ゼミでは「10年後にどんな社会に生きていたいのか」をひとりひとりが考え、現在とのギャップを埋めるための新たな一歩を踏み出してほしいと伝えています。その際に肝心なのは、課題の背景やこれまでの経緯のほか、類似する事例や先行研究から得られる知見も把握しておくこと。アカデミックな素養を備えた上でアクションを起こすことも一つの方法ですが、地球市民学科では実社会でのアクションをベースにしてアカデミックな理解を深め、アクションを補強していく順序でも構わないというスタンスです。

窪田 この進め方が私にはマッチしていて、チェンジメーカーになるために“飛び立つ勇気”をもらえている印象ですね。

“自分像”を進化させチェンジメーカーに

―窪田さんの今後の目標を教えてください。

窪田 卒業までには、ヴィーガン市場が急成長しているアメリカの実情を自分の目で確かめたいと思っています。英語は得意ではないのですが、韓国では世界中から集まった留学生と交流する際、英語力があればより深く情報交換できると感じたため、今年の夏には「国際協力のための外国語」という集中授業を履修する予定です。

辰巳 大切なのは「韓国やアメリカはどうだった」で完結させず、日本とは異なる理由にまで思いをめぐらせることです。ヴィーガンの位置づけは国や社会によって違う可能性もありますので、世界というフィールドでの経験をもとに日本社会を見つめ直し、卒業論文にまとめてくれることを期待しています。

窪田 そうですね。消費行動のチェンジメーカーになるためにも、世界を見て、人々が消費に至るまでの思考プロセスを探究した成果を卒業論文にまとめたいと思っています。

―最後に辰巳先生から受験生にメッセージをお願いします。

辰巳 大学生活は知識を得るためだけでもなければ、就職先を見つけるためだけでもなく、ゼミ活動やフィールドワーク、卒業論文の執筆などをとおして、“自分らしい生き方”を見つけるための時間だと考えています。少人数でのゼミにしても、テーマに沿って学びを深める一方で、周囲と意見交換をしながら自分の生き方を考える場になります。また、フィールドワークは想定外の結果になることも多いですが、自分の考えが的外れだったと認識することも大きな収穫であり、成長のカギ。それまで自覚していた自分像が更新され、進化していく喜びを、この地球市民学科で感じてくれることを願っています。

韓国留学時に観光で訪れた済州島にて

韓国留学時には現地の環境団体に参加。海岸でのゴミ拾い活動などを行った

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