日本一「面倒見の良い」女子大学、 岐阜女子大学に行ってみた!-後編-

日本一「面倒見の良い」女子大学、 岐阜女子大学に行ってみた!-後編-

「面倒見の良い女子大学ランキング」全国1位である岐阜女子大学の秘密を探る本特集。前編は学生寮という環境から生まれる面倒見の良さを取り上げました。

日本一「面倒見の良い」女子大学、 岐阜女子大学に行ってみた!-前編-

後編ではいよいよ大学の核である「学び」の面に焦点を当ててお送りします。岐阜女子大学に根付く面倒見の良さと得られる学びについて、家政学部生活科学科住居学専攻の大崎教授と副学長の木俣氏に語っていただきました。


女子大ならではの住居学の学びって?

家政学部生活科学科住居学専攻の大崎友記子教授。大崎教授は同大学の卒業生で、一級建築士として民間企業で働いた経験もあるそう。

大崎 本校のキャンパスを歩いてみて、雰囲気はどうだったでしょうか。都心の総合大学とは、全く違うと感じられたのではないでしょうか。本校の特徴は、地方の小さな大学なので、教員と学生の距離が近いということに尽きます。

 住居学専攻は、1学年の定員が20*という小さなものです。教員はみな1年生から4年生まで全員の顔と名前を把握していますし、卒業までに1度は必ず授業を担当することになります。

*2020年より25名に増員。

――それは確かに、総合大学では見られない光景ですね。住居学専攻の特徴的なカリキュラムがあれば教えてください。

大崎 2004年から始まった「特別プロジェクト実習」というものがあります。これは、現地調査→提案→設計→施工→維持管理というものづくりの一連の流れを学生が実際に体験するプロジェクトです。仕事や現場を体験し、即戦力として就職することがねらいです。最近の成果としては、断水時、停電時に使用できる災害時浴室棟の建設を行い、176月末に竣工しました。週に1回、1年生~3年生までが一緒に作業をするので、学年の枠を超えた学生同士の交流が生まれる場にもなっています。

特別プロジェクト実習で建てられた災害時浴室棟。学内で建築実習ができるのは、敷地に恵まれた岐阜女子大学ならでは。

――学内で実際にものづくりができるのはとても貴重な機会ですね。

大崎 住居学専攻の卒業生は建築・インテリア系など、大学で学んだことを生かせる仕事に就く卒業生がほとんどです。

 もう1つ、私たちが推奨しているのは資格の取得です。住居に関する資格には、インテリアコーディネーター、宅地建物取引士、福祉住環境コーディネーター、カラーコーディネーター、キッチンスペシャリストなど、様々なものがあります。資格取得の支援講座を設けていますので、これらの資格を在学中に取得し、卒業後には二級建築士、一級建築士などをめざしていきます。

 これほど資格取得にこだわるのも、就職を見据えてのことです。在学中に順調に資格をした学生は内定を取るのが早いですし、就職してからも資格手当などがつくことがありますから。

また、女子大ならではの事情もあります。結婚して子どもをもうけたとして、建築士の資格などがあれば在宅でも仕事ができますよね。子どもが大きくなって再就職しようと考えたときも、資格は強い武器になります。

――新卒時の就職だけでなく、再就職のことも考えているんですね。

大崎 それはもちろんです。卒業生が遊びに来てくれることも多いですし、転職活動の相談に乗ることもあります。「再就職先を探している」という卒業生と「産休に入るので代わりの人が欲しい」という卒業生をマッチングさせたこともありますし、卒業生のこともいつまでも気にかけています。

――住居に関する仕事に就くには、どんな学生が向いていると思いますか?

大崎 何かを作ることが好きな人はもちろんですが、人を喜ばせたいと思う人が向いていると思います。住居というのはつくり手だけで完結するものではなく、人が使うことによってはじめて意味をもつものだからです。顧客の希望を聞き、顧客がどのようにその住居を使うかを想像しながら住居を設計するので、コミュニケーション力が必要です。

岐阜女子大学のOGとして親身になって生徒を指導する大崎先生

週刊文春の元編集長が教える!デジタルアーカイブとは

 最後に、先進的な学問であるデジタルアーカイブ専攻についてお話を伺いました。

デジタルアーカイブ専攻についてお話いただいた、木俣正剛副学長。2018年まで出版社文芸春秋に40年間勤務。副学長というお立場にありながらとても親しみやすく、チャーミングな笑顔が魅力的でした。

木俣 岐阜女子大学の面倒見の良さについて取材に来て下さったんですね。私は杉山理事長とは大学時代からの友人ですので、そのことについてはよくわかる気がします。まず、理事長室を見るといつでも学生がいますから。

――理事長室に学生が相談に来るというのは珍しいですね。

木俣 大学のトップという立場になると、教育者、研究者、経営者など、様々な顔を持つようになりますよね。そして、大きな大学ほど経営者としての側面が強くなる傾向があります。一方で、本校は小さな大学というのもあって、理事長はとても熱心な教育者でいます。学生の顔と名前を一致させて、面談の内容まで把握している理事長って他にいないですよね。私自身もそんな本校の面倒見の良さに魅力を感じて赴任することを決意しました。

――今は副学長という立場で大学全体を見ながら、主にデジタルアーカイブについての教育をなさっているんですね。このデジタルアーカイブというのはどういう学問ですか?

木俣 元々は、「紙の資料は劣化してしまうので、デジタル化して保存する」というところからスタートした学問です。ただ、実際は紙の資料だけでなく、デジタルのもの、例えば災害時のSNSの発信など、貴重な情報が保存されずどんどん消えていってしまうという現状があります。そういったものも含めて、全て保存しようというのがデジタルアーカイブです。残念ながら、日本はこの分野で非常に遅れをとっています。

――国内では確かにデジタルアーカイブを学べる場は多くないですね。海外のデジタルアーカイブ先進国の例を教えてください。

木俣 例えば北京大学の図書館では、中国全土の文献がデジタルアーカイブしてあり、13億人の国民全員を対象に、ある本のどのページが読みたいという希望があればそれをPDF化して送るという試みを既に始めています。香港大学やスタンフォード大学などにも同様のシステムがあります。日本ではこの辺りは全く進んでいないので危機感があります。

――岐阜女子大学でのデジタルアーカイブはどのような学びになりますか?

木俣 岐阜女子大学では北京大学のような大規模なことはできませんが、まずは岐阜県内の文化をデジタル化しアーカイブし、さらにアーカイブしたものを使ってどう新しいものをクリエイトするかという学びになります。成功例としては、本校で飛騨高山の文化をデジタルアーカイブしたものを、ある程度著作権をフリーにして配信したことです。世界中のYouTubeで日本の文化を見ようとすると、まず飛騨高山の動画が見られているようです。

 そして次のステップは、デジタルアーカイブしたものを人工知能にかけることです。例えば、医療の世界で言うと、治験の結果を全て人工知能にかければ全く新しい薬品ができる可能性があります。

――とても時流にそった学びで、卒業後の活躍の場も広がりそうです。

木俣 今、クリエイティブに活用できる「デジタルスキル」が社会から強く求められています。クリエイティブというと広告や出版など一部の業界を想像しがちですが、最近では一般的な企業でも、お客様向け資料の制作や効果的な商品PRためにそのようなスキルを持った人材を重要視するようになって来ました。

本学の学生はデジタルアーカイブを学ぶ過程でadobeの「Photoshop」や「Illustrator」などの基本的なスキルと著作権に関する知識などを身につけていますから、どんな企業に行っても活躍できると思います。何と言っても、ドローンまで飛ばせちゃうんですから(笑)

敷地内でドローンだって飛ばせちゃう!

――デジタルアーカイブを学ぶには、どんな学生が向いていると思いますか?

木俣 どちらかと言えば読書が好きというような、知識欲の高い学生が向いていると思います。というのは、デジタルスキルを身につけるだけならば専門学校でもできますが、デジタルスキルを大学で学び、クリエイティブに活かすからには様々な知識、教養、常識などが必要になるからです。本校の卒業生には、デジタルスキルを持った人材を束ねるような人材になってほしいと思っています。知識や教養が欠けた結果、デジタルに使われてしまうようなことがあってはいけません。

岐阜女子大学が評価されている理由とは?

「面倒見の良い女子大学」全国トップに選ばれた岐阜女子大学の秘密を探る今回の特集はいかがでしたでしょうか?

短い取材でしたが、その中で聞けたのは、学生と教員が密接に関わりながら運営する伝統的な女子寮、気軽に理事長室に行って話をする学生、卒業生の転職の活動のサポートまでする先生・・・など他の大学ではなかなか出てこないエピソードばかり。また、お忙しい中での取材にもかかわらず、私たちの確認不足による機器トラブルや不備にも快く対応してくださったのも印象に残っています(本当にすいませんでした)。このように「人」との対話やつながりをとても大切にする校風の中で培われてきた信頼関係が「面倒見の良い大学」として自然と評価されるようになった理由なのかもしれません。

その魅力が高校生のみなさんに少しでも伝わっていれば幸いです。

帰り際に目に入った岐阜女子大学前のバス停。沖縄出身者が多いからか南国ムード満点で、ここが岐阜であることをほんの一瞬忘れる。(住居学専攻の学生が描いた、と後から聞きました)

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