学部系統別実就職率ランキング2022
不透明な経済状況でも高い就職率の資格系と理系学部

学部系統別実就職率ランキング2022<br>不透明な経済状況でも高い就職率の資格系と理系学部

学部系統により、平均実就職率は大きく異なる。実際、就職に強い資格が取得できる学部と、それ以外の学部で差があることは事実。それでも、個別の大学を見ると、全体的に就職に弱い系統でも実就職率が高い大学があれば、その逆のパターンもある。そこで、学部系統別に就職に強い大学を検証してみた。

文 井沢 秀(大学通信)

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不透明な経済状況でも高い就職率の資格系と理系学部

志望校選びにおいて、就職を重視する受験生は多い。大学通信が進学校の進路指導教諭を対象に行っているアンケートでは、「生徒に人気のある大学」について聞いている。その回答を集計すると「就職に有利な大学」は常に上位にくるのだ。

ただ、本当の就職力は大学全体の実就職率からは見えにくい。同じ大学でも学部により実就職率が異なるからだ。例えば、明治大の2022年卒の場合、最も実就職率が高い農学部(93.2%)と低い国際日本(81.9%)では、10ポイント以上の差があるのだ。

実際、学部系統別の平均実就職率を見ると、農学系の89.0%に対し国際系は83.1%と6ポイント近い差がある。企業の採用担当者は学部で選ぶことはないというが、学部の特性から実就職率は大きく異なるのだ。ちなみに、平均実就職率が最も高いのは看護系の95.4%で、最も低いのは芸術系の67.3%。主な学部系統の平均実就職率は、理工系89.6%、経営系87.1%、経済系85.8%、法学系84.2%、文・人文系83.1%、外国語系81.9%など。就職に有利な資格が取得できる学部系統と、理系学部の実就職率が高い傾向にある。

もっとも、これは平均値であり、平均値が低い学部系統にあっても、実就職率が高い大学は数多くある。「学部系統別実就職率ランキング」で、個別大学の状況を見ていこう。

文・人文・外国語系を見ると、平均実就職率が低い系統ながら、名古屋女子大・文、昭和女子大・人間文化、九州ルーテル学院大・人文など、16大学が実就職率90%を超えている。社会科学系の中で平均実就職率が低い系統の法学系では、日本文化大・法や大阪工業大・知的財産、名城大・法など9大学が90%を超えている。

文・人文・外国語系の学生は、他の系統と比較して就活より専門の学びを重視する学生が多いこと。また法学系は、公務員を目指し卒業後も資格試験に向けて頑張る学生が一定数いることが実就職率が上がらない要因になっている。そうした中でも、学生を就職に導いている大学があるということだ。

PBL(課題解決型学習)を積極的に進めるなど、文系学部の中では、企業が求める能力が身につきやすい経済系や商・経営系は、文系学部の中では就職率が高い大学が多く、経済系、商・経営系ともに、掲載大学すべてが90%を超えている。

経済系では、ノースアジア大・経済、大和大・政治経済、富士大・経済。商・経営系では長野県立大・グローバルマネジメント、安田女子大・現代ビジネス、中部大・経営情報が上位にランクインしている。

資格取得をメインにしない学部系統で平均実就職率がもっとも高いのは、理工系と農学系。授業や研究を通じ、論理的な思考力が身に付くこと、さらに、情報化社会の進展に伴い、あらゆる企業が理系的な知識をもった人材を必要としていることから、理系学部の就職状況は好調だ。

理工系では、豊田工業大・工、金沢工業大・建築、富山県立大・工。農学系では、中部大・応用生物、三重大・生物資源、茨城大・農、徳島大・生物資源産業などが上位にランキングされている。

学部系統別の平均実就職率が最も高いのは、看護師や作業療法士、理学療法士などの資格が取得できる看護・保健・医療系。この系統では、自治医科大、京都橘大、神戸女子大、安田女子大の看護が100%の実就職率となっている。

就労環境の厳しさから人気はないが、福祉系も平均実就職率が89.7%と就職に強い系統。関西福祉科学大・健康福祉や岩手県立大・社会福祉、群馬医療福祉大・社会福祉など、ランキング上位大学は100%に近い就職率となっている。

就職に有利な資格が取得できる学部系統でも、薬学系は平均実就職率が84.2%と低い。薬剤師国家試験の合格率が低い大学の実就職率が上がらないことが背景にある。それでも、ランキング上位大学の実就職率は高く、昭和大・薬、星薬科大・薬、名城大・薬などが高い実就職率で上位に名を連ねている。

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学部系統別実就職率ランキング

●表の見方
卒業生のいない新設大や医科・歯科大等を除いた大学へのアンケート調査を基に作成。
実就職率(%)は、就職者数÷〔卒業生数-大学院進学者数〕×100で算出。同率で順位が異なるのは、小数点2桁以下の差による。卒業生数が80人に満たない小規模な学部、通信教育学部、二部・夜間主コースのみのデータは掲載していない。所在地は大学本部の場所を表すため、学部キャンパスの所在地と異なることがある。
各系統は、主に学部名称により分類した。したがって、法学科をもつ大学・学部でも学部名に「法」が付かない場合、法学系に掲載していないことがある。未掲載の大学でも学科構成や教育の内容が似ているものもあるので注意。
設置の※印は国立、◎印は私立、無印は公立を示す。

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