なんとかなるから大丈夫!大ケガを乗り越えて就活を成功させた男子学生と全身全霊で彼を支えた大学職員のお話ー中央大学キャリアセンター

なんとかなるから大丈夫!大ケガを乗り越えて就活を成功させた男子学生と全身全霊で彼を支えた大学職員のお話ー中央大学キャリアセンター

中央大学キャリアセンターで副部長を務める池田浩二氏は、長きにわたって就職支援の実務経験を重ね、2022年度には首都圏を中心に全118大学が加盟する「大学職業指導研究会」の会長に就任した。一方で、現在もなお最前線で学生の相談に乗る熱血漢であり、大学職員ではあるものの、多くの学生に“先生”と呼ばれて慕われる存在だ。その池田氏に支えられたと話す一人が、商学部4年生でバイクレーサーの顔も持つ中川空嶺さん。池田氏と中川さんの間でどのようなコミュニケーションが展開され、どのように就職活動が進められたのかを振り返っていただいた。

取材・文 鈴木秀一郎
構成 副島光基(大学通信)

できることをできるときに

―まずは中川さんの自己紹介からお願いします。

キャリアセンター
池田浩二 副部長 (KOJI Ikeda)
自称「中大の名物おじさん」

商学部会計学科 4年
中川空嶺さん (TAKANE Nakagawa)
バイクレーサー・春から社会人
中央大学杉並高等学校出身
内定先:株式会社デンソー

中川 私は4歳でバイクレースを始め、現在もレーサーとして活動しています。最初は趣味として楽しむ程度でしたが、大学2年次以降は個人でスポンサー集めをスタート。自分を売り込むための資料作成やプレゼンテーションを行い、複数のスポンサー契約を結ぶことができました。現在は「タイラプロモートレーシング」というレーシングチームに所属しています。ただ、大学入学当初から、レース活動は大学在学中までと決めていて、卒業後は一企業人として仕事をしていこうと考えてきました。特にモビリティ業界に興味があり、2年次から業界研究や企業研究を進めてきました。ところが、就職活動に本腰を入れ始めた3年次の7月に、いわゆる“もらい事故”で脚に大ケガをしてしまい、入院を余儀なくされました。レース活動は断念せざるをえず、就職活動にも暗雲が立ち込める非常事態となりましたが、そんなときに出会ったのが、キャリアセンターの「池田先生」でした。

池田 きっかけは、中央大学の御父母向けイベントで私が講演を行い、そこに中川くんの親御さんが来てくださったことです。私はことあるごとに「大学生活で困ったことがあれば何でもいいから私に相談してください」と話しているため、親御さんや学生から次々と連絡が来るんです。こうして中川くんとの接点が生まれ、「なんとかなるから大丈夫。一緒にやろう」と伝えました。

中川 当時は不安でしたし、ケガを完治させることを第一に考えて、就職浪人することも頭をよぎったのですが、その言葉を聞いて「できることをできるときにやろう」と決意しました。脚が治ればまたレースができると思えたので、治療と就職活動を両立させるための気持ちの切り替えもできました。入院中は手術が6回もあり、手術後に点滴の針を刺したまま、病室からオンラインセミナーを受講することや、ZOOMで池田先生に相談することもありました。コロナ禍で普及したオンラインツールをうまく活用できたことは不幸中の幸いでしたね。

とにかく力になりたい!

―池田さんはどんな思いで中川さんに対応したのですか。

池田 中川くんのケガは、脚の切断さえ選択肢に挙がったほどの重傷で、全身麻酔や鎮痛剤のつらさを聞く機会もあったため、とにかく力になりたいという一心でした。ただ、中川くん本人は「またレースで走りたいんです」と、こちらが驚くほど前向き。その姿勢は就職活動対策でも同様で、私が自己分析のポイントなどを説明すると前のめりになって聞いてくれましたし、後日しっかりと課題をクリアしてくるんです。私が中川くんのために全力を尽くすと、中川くんも全力で返してくるため、言わば同志のようにも思えました。中川くんは本気でバイクレースに取り組んできて、私は就職支援のほか、準硬式野球部の監督としても全身全霊で努力している自負があります。土俵が違い、年齢が離れていても、ひとつの目標に向かって走り続ける姿勢に相通ずるものを感じたのです。

中川 当時は自分ができることは就職活動しかないと思ったので、池田先生が私に求めるレベルや目標を聞いた上で、それを達成することに全力を注ぎました。それはスポンサーとレーサーに近い関係性のようにも感じました。ただ、自己分析をはじめ、具体的な対策では苦労もしました。自己分析は以前から自分なりに進めていたものの、池田先生のアドバイスを聞いたり、添削をしていただいたりすると、それまでが実に詰めの甘い内容だったと痛感しました。と同時に、誰かに相談できる環境があり、チェックしてもらえることのありがたみも実感しました。

池田先生は常に一番近くにいてくれて、入院中のオンライン面談でも、退院後の対面での面談でも、いつも変わらず真正面から真摯に向き合ってくれました。自分が思っている以上に、自分一人でできることは少ないと感じた反面、不明な点や不安な点があれば何でも池田先生に相談したことで、やる気と安心感を与えていただきました。就活でのテクニックも教わりましたが、精神的に支えてもらえた部分が大きかったですね。

池田 どんな学生でも、就職活動では悩みや不安を抱えるものです。だからこそ、学生が何に悩んでいるのかを真っ先に考え、解決に向けて個別に丁寧に、100%の力で対応することが私の責務。その際、学生本人や親御さんの立場に立つこともあれば、企業の採用担当者の立場で考えてアドバイスを送ることもあります。そうしなければ学生支援は成立しないというのが私の信条だからです。

幼少期に乗っていた小排気量バイク“ポケバイ”でのレースシーン。

それ切っちゃいなよ

―池田さんの信条について、さらにお聞かせください。

池田 中川くんに限らず、学生から相談があればレスポンスは速いですね。学生は私に何かを求めているから相談してくるのであって、スピーディーな返信も私の信条です。もちろん返信内容も大切ですが、迅速な対応で学生との信頼関係ができれば、内容は後から補足したり修正したりすることもできるからです。また、学生に余計な心配をさせないことも大切にしています。例えば、中川くんは複数の企業から内定を獲得し、気持ちが揺れ動いた時期がありました。そんなとき、“本命”に集中させるためには内定辞退の決断も必要ですので、私なりの方法で辞退すべき企業を示したこともありました。

中川 自分で優先順位をつけることに難しさを感じて相談したのですが、拍子抜けするくらいあっさりと辞退する企業を提示してくれました。

池田 内定を辞退する企業選定では、あえて軽い口調で「それ切っちゃいなよ」と伝えます。そうしないと、学生は後ろ髪を引かれる思いにかられてしまうからです。心のどこかに迷いがあると、選考が進んでいる企業の面接でも熱意を持ってアピールができません。その迷いを断ち切ることも私の仕事なのです。

片道2時間かけて通学した高校時代はボート部に所属し、インターハイや国体にも出場。朝5時半に家を出て、夜10時近くに帰宅する生活の中で自律心と計画力が向上し、大学での学業とレース活動の両立にも生かされた。

準備をしていないなら始めればいいだけのこと

―何が池田さんを突き動かすのでしょうか。

池田 私の頑張りというよりも、私のような働き方を許容してくれる中央大学の懐の深さが根底にあると思います。中央大学は「質実剛健」な“堅め”な校風だと認識されがちですが、学生一人ひとりに向き合うためには柔軟な対応力が不可欠ですし、それを推し進める風土があるんです。私だから学生一人ひとりに向き合えるのではなくて、それがキャリアセンターをはじめ、中央大学の職員全員に共通するマインドなのだと思います。もちろん学生を預かる身としての責任も伴いますので、責任を果たすために真摯に向き合うことで学生の満足度を高め、その学生の笑顔が職員のモチベーションを高めるという好循環が生まれているのです。近年の学生はSNSで多くの学生と“つながり”を持ち、就職活動に関する情報交換をしていますが、キャリアセンターでは、経験豊富な職員との個人面談などをとおして情報収集したり、不安を解消したりできますので、受験生の皆さんが中央大学に入学したら、ぜひ積極的に足を運んでいただきたいですね。「就職活動の準備をしていないと、池田というオジサンに怒られそうだから行きたくない」という学生もいるのですが、準備をしていないなら、始めればいいだけのこと。そのためにキャリアセンターがあるのですから。

―就職活動の準備では何が大切なのでしょうか。

池田 学生は、さまざまなセミナーに参加することで社会人としての資質を身につけようとしますが、何よりも大切なのは、日々の生活から自分を変えることです。就職活動対策として小手先のテクニックを覚えるのではなくて、私生活で自分自身を律して行動することが重要であって、それが就職活動でのアピールポイントにもなるんです。

中川 私の周りには自己PRで書けることがないと話す学生もいましたが、大学は4年間もありますので、部活動でもサークル活動でも、何かひとつでも力を入れて取り組むことも大切だと思います。それでもアピールできることが何も見つからなければ、池田先生に相談すればいいんです。私にしても、当初は自己流の狭い視野で自己分析を行い、インターンシップの選考でも落ち続けたのですが、池田先生と出会ったことで一気に視界が広がり、どの企業にも通用するエントリーシートにつながりました。ですから、キャリアセンターに行くこと自体も、準備として大きな一歩になると思いますね。

2022年9月に、所属する「タイラプロモートレーシングチーム」で出場した7時間耐久レースでの集合写真。

池田先生への恩返し

―最後に中川さんから、今後の目標を聞かせてください。

中川 私の内定先は、自動車メーカーから発注を受けて部品やモジュールを開発する、いわゆるモビリティ業界の企業です。そこで私が目指すのは、交通事故ゼロ社会の実現につながる業務に携わることです。具体的には事業企画や経営企画に興味があります。レース活動のスポンサー集めで培った提案力を生かしたいですし、新たな企画を提案して賛同を得ていくことにやりがいを感じるからです。ただ、どんな部署であっても、日々の業務を通じて会社に貢献することが、モビリティ業界を支え、結果的に交通事故ゼロ社会につながるのだと思いますので、まずは目の前の業務に全力で取り組んでいきたいですね。それが、第一志望の企業に導いてくれた池田先生への恩返しにもなると考えています。

現在愛用しているヘルメット。「感謝」をテーマにオリジナルのデザインが施され、スポンサー名のほか、「中央大学」や内定先の「DENSO」、ケガで入院した医療機関名などが書かれている。

24時間365日、学生と走り続けるキャリアセンターの熱血漢

副部長紹介

キャリアセンター
池田浩二副部長

私は埼玉県立大宮東高校から中央大学文学部に進学し、在学中は準硬式野球部に所属していました。卒業後は中央大学職員となり、準硬式野球部のコーチにも就任。助監督を経て、2005年からは監督を任されています。同部はリーグ戦優勝67回、全国優勝12回を誇りますが、文武両道の方針のもと授業を優先。就職活動にも全力で臨み、多くの学生が一流企業に進んでいます。

日々の就職活動支援では、キャリアセンターで実施している各種プログラムに加え、個人的に『池田浩二のお部屋』というZOOMでの“お悩み相談会”も実施しています。中央大学の学生なら誰でも自由に参加でき、チャットで質問を投稿してもらい、すぐにその場で回答していくスタイルです。また、中川くんへの対応のように、個別にサポートしている学生も少なくありません。モットーは、「24時間365日、学生とともに頑張ること」。そのために大学職員になり、希望してキャリアセンターに来たのです。受験生の皆さん、お待ちしています!

中央大学の就職決定率は96.4%

2022年3月に中央大学を卒業した学生の就職決定率は96.4%。文系学部、理工学部ともに「通信・情報サービス」の割合が最も高く、文系学部では「金融・保険」、理工学部では「メーカー」が続きます。文系学部では「公務(員)」が3番目に多い点も中央大学の特徴であるほか、理工学部では業種を問わず就職者全体の約8割が技術職での採用となっており、4年間の学びが就職に生かされていることがわかります。

“就活以前”の経験で培われた資質が内定をたぐり寄せる大きな力になる

就職活動体験記

太田鈴乃さん 
法学部法律学科4年
神奈川県・私立聖セシリア女子高等学校出身
内定先:財務省東京税関

私は高校時代に法曹を志し、歴史的に多くの法曹を輩出してきた中央大学に入学しました。周囲の法曹志望者と切磋琢磨できる環境で自分を高めたいと思ったからです。一方で入学後は、コロナ禍で制約がある中で語学留学も経験。渡航先がロックダウンとなり、多くの困難が生じた中、それらに自力で対処する必要のあった状況で行動力が養われ、情報収集のために臆せずコミュニケーションを図る積極性も高まりました。

この積極性が生かされたのが就職活動です。留学での海外経験を経て、銃器や危険薬物、知的財産侵害物品などの密輸を阻止・摘発することで、安全・安心な社会の実現に貢献できる税関職員にやりがいを感じた私は、税関をはじめ、少しでも興味が湧いた官公庁があれば、可能な限りインターンシップや業務説明会に参加。しかも繰り返し足を運ぶことで多くの職員の生の声を聞き、質問も積極的に行って業務内容の理解を深めました。

また、就職活動では、一日に複数の官公庁の説明会に参加できた「公務研究セミナー」や、週2回ペースで依頼した個人面談など、大学のキャリアセンターもフル活用しました。模擬面接や提出書類の添削は試験直前までしていただき、大きな安心感が得られました。“本番”の面接で意識したのは、自分を取り繕うことなく、素直な思いを伝えること。入念に準備した分、ストレートに熱意をアピールして、内定につなげることができました。

ただ、内定はゴールではなくスタート。卒業後も常に向上心を持ち、自己研鑽を重ねながら、生き生きと仕事に取り組める社会人になりたいです。

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