管理栄養士×看護師 チーム医療を担う実践力を備えた人材を育成ー聖徳大学

管理栄養士×看護師 チーム医療を担う実践力を備えた人材を育成ー聖徳大学

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聞き手 松本陽一(大学通信)   
文 松本守永(ウィルベリーズ)

「和」の精神を建学の理念に掲げ、「自律と自立」の心を育てる人間教育に取り組んでいる聖徳大学。1933年にまでさかのぼる歴史を持つ同学は現在、新たな女性教育の形を求めて積極的な改革を行っている。その1つが、学部・学科を超えて同じテーマに取り組む「Field Linkage」だ。今回は、人間栄養学部と看護学部が連携して取り組む「多職種連携シミュレーション」に焦点を当てる。

Field Linkage
課題が多様化・複雑化する現代社会では、単独の職種ではなく多職種が連携して解決に取り組む必要性が高まっている。医療や教育はその代表例と言える。このような社会の姿を背景に、ワンキャンパスの総合大学という聖徳大学の特色を活かして誕生したのがField Linkage。複数の学部・学科が連携し、専門領域の垣根を超えた学びを展開する。現場が求める即戦力や実践力を養うことはもとより、多様性を受容し、新たな価値観を創造する女性の育成がField Linkageの目標だ。

患者の事例を教材にして異なる職種がともに学ぶ「多職種連携シミュレーション」

医療技術の進歩により、医療従事者には高度な専門性が求められるようになっている。いっぽうで、多様化・複雑化する患者を取り巻く状況に対応するために、医療従事者の業務は増加を続けている。

これらの社会情勢を受けて推進されているのが、病院をはじめとした施設内においてスタッフが職種の枠を超えて連携し、1人の患者を支えていく「チーム医療」だ。さらに、地域の基幹病院と診療所、介護施設など、施設の枠までを超えて連携しながら患者や家族を支える「地域包括ケア」も重要な施策になっている。

いずれの取り組みにおいても、これからの医療人材には、従来にも増して他職種に対する理解が求められる。そして、複数の職種と連携して患者や家族の支援を行う力が求められる。このような時代を見据えて聖徳大学が取り組むのが、管理栄養士を養成する人間栄養学部と看護師を養成する看護学部によるField Linkageである「多職種連携シミュレーション」だ。

同科目は、4年次の9月に実施される科目。教材には、実際の患者を模した情報が記入された診療記録が用いられる。現在用いられているのは、管理栄養士と看護師の両者による支援が大きな役割を果たす糖尿病患者の診療記録。学生は、限りなく実際に近い患者情報を事例としながら学んでいく。人間栄養学部と看護学部の学生は協力しながら診療記録から患者の問題点を読み解き、支援内容を検討し、支援計画を立てるというのが、この科目の大きな流れだ。

授業はまず、各学部での事前学習からスタートする。ここでは教材である診療記録が学生に配布される。学生は診療記録を見ながら、各自が患者の状態を読み解き、問題点や必要な支援を考えていく。そのうえで学部内の授業でディスカッションを行い、事例への理解を深めていく。

次のステップが、学びの中心部分である多職種連携だ。ここでは両学部の学生が混ざり合ってグループを作り、グループディスカッションを行う。管理栄養士と看護師という2つの職種の視点で意見を交換して事例に対する理解をさらに深め、援助計画を立案する。診療記録を検討しながら専門職が意見を持ち寄り、患者1人ひとりに対して最適な援助計画を立てていくという、実際の医療現場で行われるカンファレンスなどと同様の経験ができる授業になっている。

他職種の視点や役割を理解。「できない自分」を知ることが次へのモチベーションに

人間栄養学部の川村千波准教授は、多職種連携シミュレーションによる大きな効果の1つが、異なる専門職への理解を深められることだと指摘する。

「同じ診療記録を見ても、管理栄養士と看護師では着目点や情報の受け止め方が異なります。『看護師はそこを見るんだ』『管理栄養士はそんなふうに考えるんだ』と、他職種の視点を理解できるのです。同様に、それぞれの職種の役割や、持っている情報についても理解が深まります。その結果、何かわからないことがあったときに『それはあの職種に聞けばわかるはず』と考えられるようになります。これが現場で役立つ実践力の1つです」

授業のなかで多くの学生が苦労するポイントがある。それは、自分の専門領域の情報や自身の考えが、異なる学部の学生に対してうまく伝わらないというもどかしさだ。しかしここにこそ、2学部がともに学ぶ意義があると語るのは、看護学部の髙山詩穂准教授だ。

「看護学部で学んでいる者同士だからこそ専門用語や独特の言い回しがたやすく通じることがあります。ところが人間栄養学部の学生には、説明が必要だったり別の言い回しをしないと通じません。このように多職種連携シミュレーションの授業では、職種によって持っている知識や前提となっている考え方が異なっていることや、思いを正確に伝えるためには工夫が必要だということを体験を通して学ぶことができます」

このように授業のなかでは、多くの学生が「今の自分にはできていないこと」を認識する。特に、自身が学んでいる専門領域の知識不足を痛感する学生が多いと言う。この経験は、「もっと知識が必要だ。そのためには勉強が必要だ」という、日々の学びへの意欲へとつながっていく。管理栄養士と看護師はともに、国家試験が年度末に行われる。4年次の9月に行われるこの授業は、残りの約半年を高いモチベーションを持って過ごすための、大きな起爆剤という効果も持っているのだ。

この他にも、チームで課題に取り組むための協調性やコミュニケーション能力が養われていると川村准教授と髙山准教授は口を揃える。また、さまざまな苦労を乗り越えて課題を「やりきる力」が育まれるとも。さらに、課題解決力の出発点となる、課題を見つける力も磨かれる。職種を問わず、社会人として求められる基礎力がこの授業のなかで養われていると言えるだろう。

4年間を通じた人間教育が医療職としての確かな土台を築く

管理栄養士や看護師をはじめとした医療職は、いずれもが「人と接する仕事」という側面を持つ。そこでは、他者を思いやる心やマナー、あいさつなど基本的なコミュニケーションは必須の素養となる。ここで力を発揮しているのが、聖徳大学の大きな特色である「和」の精神に基づく人間形成だ。

人間形成とは、基礎学力や教養はもちろん、情操や価値観、コミュニケーション能力など、幅広い素養を統合した力のこと。同学では、他者から信頼される気品ある女性としての成長を目的に、小笠原流礼法を学ぶ授業が行われている。また、感動する心を養うとともに、多様な価値観を受け止めることを体験的に学ぶ場として、一流の芸術・文化に触れる「聖徳学園シリーズコンサート」などを開催している。これらの学びが4年間を通じて継続的に、また日常的に行われているため、学生たちは無意識のうちに人としての素養を磨いていく。その成果は、実習先の病院などで「聖徳大学の学生は礼儀正しい」と太鼓判を押されるなどの形で現れている。

現在、人間栄養学部と看護学部との間で行われている医療分野におけるField Linkage。川村准教授と髙山准教授は確かな手応えとともに、さらに他学部とも連携した学びへも可能性を感じている。「人」を核にした多様な専門的学びが集まるという聖徳大学ならではの環境から、次はどのような連携が生まれるのか。これからも注目だ。

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