感性と知性の両面で芸術を味わい豊かな人間性を育むーアップデートする聖徳の教育

感性と知性の両面で芸術を味わい豊かな人間性を育むーアップデートする聖徳の教育

教員養成分野において輝かしい実績を持つ聖徳大学は今、新たな女性教育の形を求めて積極的な改革を行っている。その1つが、学部・学科を超えて同じテーマに取り組む「Field Linkage」だ。シリーズ「アップデートする聖徳の教育」の第2回となる今回は、文学部と音楽学部が連携して取り組んでいるField Linkageである「芸術文化論」に注目。文学部学部長の山田和利教授と音楽学部音楽学科長兼演奏学科長の島崎智子教授に話をうかがった。

聞き手 松本陽一(大学通信)

Field Linkage
課題が多様化・複雑化する現代社会では、単独の職種ではなく多職種が連携して解決に取り組む必要性が高まっています。医療や教育はその代表例と言えます。このような社会の姿を背景に、ワンキャンパスの総合大学という聖徳大学の特色を活かして誕生したのがField Linkage。複数の学部・学科が連携し、専門領域の垣根を超えた学びを展開します。現場が求める即戦力や実践力を養うことはもとより、多様性を受容し、新たな価値観を創造する女性の育成がField Linkageの目標です。

芸術文化論
文学部と音楽学部の連携による正課の授業。オペラや歌舞伎などの一流芸術を学びの素材とし、両学部の専任教員がそれらの芸術の魅力や作品が生まれた時代背景などを基礎から解説します。そのうえで、授業で取り上げた作品を実際に鑑賞します。他のField Linkageの科目が1日や短期間の集中講座形式であることに対して、本科目は学期を通して開講しています。

―芸術文化論は本年度から開講された新しい科目です。導入の狙いをお教えください。

山田和利教授

山田 本学では、クラシック音楽やオペラなど一流の舞台芸術に学内で触れることができる「聖徳学園シリーズコンサート」という素晴らしい取り組みが行われています。文学部の学生も参加し、“本物”から多くの学びを得ています。いっぽうで、作品の時代背景や登場人物の関係性など、もう少し事前情報があればもっと楽しめただろうという声も届いていました。そこで、シリーズコンサートで上演される演目を授業の題材とし、授業内で事前学習を行うスタイルにしたのが「芸術文化論」です。オペラなどの音楽分野については音楽学部の教員が講義を受け持ち、歌舞伎などについては文学部の教員が担当しています。

文学部では数年前から、「RE科目」という体験型の学びに力を入れてきました。文学作品について学ぶ際も、舞台となった場所を実際に訪れたりして、感性への訴求も取り入れて作品を学ぶようにしてきたのです。そのノウハウがシリーズコンサートと融合した結果生まれたのが、芸術文化論だとも言えます。

島崎 シリーズコンサートは、「感性で味わう」という体験をしてもらう場です。参加した学生の中には、「何だかわからなかったけど、おもしろかった。涙が出てきた」と感想を伝えてくれる人がいます。これはまさに五感で味わっている証しであり、一流の芸術が持つ力です。そこに、「知る喜び」を融合させようというのが芸術文化論です。例えば、オペラが誕生したのは17世紀初頭であり、シェークスピアが活躍した時代です。日本で言えばその頃は、江戸時代の初めですね。文学部と連携することで、そういった知識の広がりを促すことができます。これは、音楽学部の学生にとっても大きな財産になります。

山田 洋の東西を問わず、名作には恋愛や家族愛、主従の結びつきなど、人の心の機微が描かれてきました。作品を通してそれらに触れ、人というものに理解を深めることは、本学の大きな目標である「心豊かな人間の育成」の土台となるものです。作品の背景などを知り、これまで以上に楽しめるようにすることは、作品が描いた「人間そのもの」への理解をさらに深めてくれます。その結果として、心豊かな人として育っていってもらいたいという思いがあります。

―学生には、受講による変化や成長が現れているでしょうか。

島崎智子教授

山田 文学部も音楽学部も、教員を目指している学生がいます。彼女たちは将来、鑑賞した作品や広く芸術のことを授業で伝えるときが来るでしょう。そのとき、自分で体験し、自分で感じたことは伝わり方が違うはずです。これは、将来現れる大きな効果だと考えています。企業に就職する学生についても、本物に触れてきたがゆえの発想や感性は、大いに役立つはずです。

島崎 この授業は、実はグローバル時代にぴったりという側面も持っているんです。学びの題材になるのは、オペラやクラシック音楽といった西洋の芸術と、歌舞伎や落語など日本の芸術という国内外の両方です。それらには、それぞれの鑑賞の作法があります。作品ごとに文化背景が異なります。それらを学ぶということは、いわば、比較文化論の授業を受けるようなものです。しかも、作品を通して具体的に学べますし、自分の体験として学ぶことができます。自国も含めて様々な文化や歴史背景に対する理解を深めることは、グローバル社会を生きるための重要な素養となっていくはずです。

―文学、音楽という人文科学分野は、ともすれば「就職に直結しない」と言われがちです。人文科学を学ぶ意義とは何でしょうか。

山田 社会に出ると、人の心を理解し、自分の心を表現するという場面の連続です。人文科学は、まさに人の心を学ぶ学問です。業種や職種を超えて、役立たないはずはありません。文学部ではコミュニケーションやホスピタリティなど、人とのかかわりを体験する科目を増やしています。自分の心を表現する機会を在学中に数多く経験しておくことが、社会でもきっと役に立つはずです。

島崎 本学の音楽学部の就職率は100%です。「大学で音楽を学んでも就職が……」と不安に感じる人には、「聖徳であれば大丈夫」とお伝えしたいです。大学で学ぶ音楽は、高校生の皆さんがそれまでに経験してきた音楽の学びをもとに、大きく飛躍するでしょう。プロの音楽家による指導は高度でありながら、個々の学生にカスタマイズされたものです。それに対して粘り強く練習を重ね、上達を実感していくという経験は、社会が求める素養そのものです。個を活かしながら協調するというアンサンブルの経験は、チームプレーを学ぶ格好の題材です。音楽に打ち込むことが人間力を養ってくれ、その結果として高い就職実績が生まれているのです。

―高校の先生方や高校生へメッセージをお願いします。

山田 文学部では、学問が本来持つ学びの楽しさや感動を皆さんに体験してもらいたいと考えています。わからなかったものがわかるようになり、自分の可能性が広がることの喜びを実感してもらいたいのです。そのための環境整備や指導に努めています。「何かにチャレンジしたい」「好きなことを突き詰めていきたい」という方は、ぜひ本学でともに学びましょう。

島崎 音楽学部には、音楽が好き、音楽を通して何か役に立ちたい、音楽で培った力を役立てたい、といった皆さんの思いを受け止め、実現できる環境があります。音楽で大学に進むことに自信がない人もいるかもしれません。大丈夫です。大学での教員や仲間との出会いが皆さんを伸ばしてくれます。皆さんには、皆さん自身も気付いていない能力があるはずです。それに出合えるのが本学です。

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