エビデンスが示す北海道科学大学の「教育力」

エビデンスが示す北海道科学大学の「教育力」

北海道科学大学では、さまざまなステークホルダーへ調査を行い、学生の成長とステークホルダーの満足度を測定し、それらのデータを大学運営に活用しているという。これらのデータは、北海道科学大学の教育をどのように映しているのだろうか。

ステークホルダーの声を大学運営に活かす

来年で創立55周年を迎える北海道科学大学。ルーツでもある工学やデザイン分野だけにとどまらず(2014年に北海道工業大学から改称)、保健医療学部や薬学部の設置など医療系分野に学びの幅を広げて注目を集めている大学だ。2000年代からネット社会の到来を予見し「モバイルキャンパス構想」を進めていた同大学では、早くから教員は構内どこからでも授業を配信できて、学生も学内のWi-Fiで自分の端末から授業を受講できる環境を構築していた。昨年のコロナ禍であらためてその強みを発揮したことは言うまでもなく、授業や実験・実習をスムーズにリモート体制に移行し、学生の97%がオンライン授業に満足したというアンケート結果を得たという。

ちなみに北海道科学大学では、このようなアンケートを在学生だけでなく卒業生や就職先企業等のステークホルダーに実施して定点観測することで、学生の満足度あるいは企業から見た学生の能力評価などをデータ化している。そのデータをエビデンスとすることで大学に足りない部分や強みを客観視し、それを速やかにフィードバックして教育の質や学生の満足度を高めるためだ。企業にたとえるなら「顧客満足度調査」の結果に基づく経営戦略の強化といったところだろうか。サイエンスの大学にふさわしく、エビデンスに基づいた緻密なFD(ファカルティ・ディベロップメント)が根付いているのだ。

卒業生の成長実感と就職満足度

例えば、2020年度卒業生の卒業時アンケートにおける「入学後の能力変化」という知識・能力の変化を問う全20項目を眺めてみると、5段階評価(大きく増えた・増えた・変化なし・減った・大きく減った)のうち“大きく増えた〟と“増えた〟の肯定的な回答が70%を超える項目は12項目に上る。さらに上位3項目とその肯定回答率を見ると「専門分野や学科の知識(92.4%)」「分析力や問題解決能力(88.1%)」「一般的な教養(83.7%)」という項目が並び、これは北海道科学大が掲げる+Professional教育の専門性と基盤能力の成長を学生自ら実感している証左である言える。しかも、これら20項目の多くはここ3年間で数値を伸ばしており、同大学はエビデンスを活かし絶えず教育の改善を図っていることが分かる。

また、卒業後の就職に関するデータを見ると、就職率は2019年度まで5カ年平均が99.4%と高い。この数字単体でも十分就職に強いことを物語っているが、同大学は就職先への満足度も追求していることから「内定先満足度」を測っており、この数値においても満足度99.3%(2019年度)と質の高さも担保している。この2つの数値が示唆することは、就職活動を開始するまでに学生一人ひとりにキャリアパスを描かせてきたこと。専門性を活かせる進路や企業の選定・研究を十分に行ってきたこと。面接でしっかり自分を出せるプレゼンテーション能力で採用を勝ち取ったこと。つまり大学側の手厚いサポートや教育体制がこれらのデータでイメージできるのだ。

企業から見た学生の「資質」

いっぽう北海道科学大の卒業生を同期入社の他大学卒業生と比較した、就職先企業による能力評価も興味深い。業務遂行能力や自己研鑽能力など評価軸はさまざまだが、おおむね同大学の卒業生は平均以上の評価を獲得している。なかでも専攻分野の専門知識・技能においては合計86%の企業が「大きく期待を超える」「期待を超える」「期待通り」と回答した。また他者と協調して業務を遂行する能力という点でも、「優れている」「やや優れている」という回答が52%を占めている。専門知識や技能に長け、他者と円滑にコミュニケーションすることができ、業務遂行能力が高い。そして前述のように自分で調査研究して物事を判別する力や、高いプレゼンテーション能力を備えている。北海道科学大学が育成する人材の「資質」をこれらのデータは客観的に伝えてくれるのだ。

これらのデータに基づいてPDCAを回しているため、同大学における大学教育の満足度はあらゆる項目が3カ年で上昇しているという。このように学生を伸ばすだけではなく、それにふさわしい「場」として大学自身も成長しようとする姿勢が、4(6)年間の学びに大きく寄与しているのではないだろうか。

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