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関東学院大学の理工学部では、全国でもめずらしい防災を切り口に土木工学を学び、社会に貢献するシビルエンジニアの育成に力を注いでいます。前編では同学部の土木・都市防災コースで学ぶ学部生と大学院生に集まっていただき、土木工学に興味を持ったきっかけについてお話をうかがいました。
取材:雫 純平(大学通信)
規矩大義教授:学校法人関東学院理事長(前学長)、現在も理工学部土木学系教授を兼務。専門分野は地盤防災工学、地盤工学。
座談会参加者
1. 渡邉優衣奈:理工学部 土木・都市防災コース4年。神奈川県出身。横浜栄高等学校卒。JR東日本に内定。
2. 伊波龍之介:大学院博士前期課程1年。神奈川県出身。横浜高等学校卒。
3. 石毛將太:理工学部 土木・都市防災コース4年。山形県出身。米沢興譲館高等学校卒。山形県庁に内定。
4. 柳澤祐太:理工学部 土木・都市防災コース4年。神奈川県出身。三浦学苑高等学校卒。横浜市役所に内定。
5. 阿南竜也:理工学部 土木・都市防災コース4年。大分県出身。日田林工高等学校卒。NEXCO西日本に内定。
6. 川瀬優:大学院博士前期課程2年。愛知県出身。東邦高等学校卒。国土交通省に内定。
7. 五味竜太:大学院博士前期課程2年。山梨県出身。甲府工業高等学校卒。佐藤工業株式会社に内定。
8. 小向春花:大学院博士前期課程1年。神奈川県出身。新栄高等学校卒。
9. 荻原進一:大学院博士前期課程1年。神奈川県出身。伊志田高等学校卒。
被災体験、土木で働く父への憧れ、それぞれの土木への思い
ー今日は関東学院大学理工学部土木・都市防災コースの規矩大義教授、そして同コースの学部と大学院に所属する学生・大学院生の方々にお越しいただきました。まずは規矩先生から簡単に同コースの概要をご紹介いただけますか?
規矩教授:これを読んでいる高校生のみなさんは「土木工学」という学問分野にどんな印象をお持ちでしょうか。土木で扱う分野はじつに幅広く、自然と社会の両方を対象としています。たとえばみなさんが住んでいる住宅地、毎日利用している鉄道や道路、電気や水道、ダムや橋、空港や港湾などすべての社会インフラを支えているのが土木という分野なんです。だからこそ地震や台風など自然災害が頻発する日本では、土木が人々の命と生活を守るだけでなく、社会や経済を未来にわたって護るというとても重要な使命を担っています。この分野を専攻した学生は、多くがその学びを活かしてゼネコンやコンサル、鉄道会社などに就職したり、国家公務員や地方公務員になったりと、「シビルエンジニア」として活躍しています。今日は私が担当している研究室から、就職や大学院への進学が決まった学生・大学院生を中心に集まってもらいました。それぞれが土木工学に関心を持ったきっかけ、そしてどんな進路を歩もうとしているのか語ってもらいます。大学受験を控えた高校生のみなさんに、進路選択の参考にしてもらえたらうれしいです。
ーありがとうございました。それでは集まっていただいたみなさん、それぞれが土木の分野を学ぼうと思ったきっかけや、関東学院大学の土木・都市防災コースを選んだ理由をお聞かせいただけますか?
1. 渡邉:4年の渡邉優衣奈です。私は人々の安全な生活に一番密着しているのが土木だと考えていて、将来は土木に関わる仕事に就きたいと考えていました。じつは私の父も公務員として土木の分野で働いていて、水道管の破裂が発生したりすると夜中でも対応のために駆けつけていました。そんな姿への憧れも土木に関心を持つきっかけになっています。他大学にも土木を学べるところはありますが、関東学院大学では土木をベースに自然災害や防災について深く掘り下げて学べるところに惹かれました。
2. 伊波:大学院1年の伊波龍之介です。僕は高校3年の夏まで進学先を迷っていたため、いろんな大学のオープンキャンパスで模擬講義を見学しながら進路を模索していました。じつはそこで出会った規矩先生の模擬講義が面白くて、それがきっかけで進路を決めてしまいました。あの時から現在に至るまでずっと土木に夢中で、現在は大学院に進学して地盤に関する研究を続けています。
3. 石毛:4年生の石毛です。土木分野はインフラなど社会資本を扱う学問なので、その社会性の高さに惹かれて学びたいと思うようになりました。関東学院大学を選んだのは、僕自身が山形県出身で東日本大震災を経験したことからも、「防災」という切り口で土木を学びたかったからです。
4. 柳澤:同じく4年生の柳澤祐太です。僕は父と伯父が土木業界に従事していたので、土木はわりと身近なものでした。そして小学生のときに東日本大震災があり、八景島で液状化した道路を見て、将来は特に防災・減災に携わりたいと考えるようになりました。関東学院大学を志望したのも、土木分野のなかでも特に防災に注力して学ぶことができるからです。
5. 阿南:4年生の阿南竜也です。僕は工業高校の出身なので、土木をもともと学んでいました。地元の大分県は自然災害が多い地域で、自分自身も台風やゲリラ豪雨で3回ほど被災したことがあります。そんな経験もあって大学では防災・減災の観点から土木を学びたいと考えてこの大学を志望しました。
6. 川瀬:大学院2年の川瀬優です。僕は土木構造物にずっと関心があって、自分もこれからの数十年以上も社会に残るようなものづくりに携わりたいと考えていました。現在は地盤について学んでいますが、関東学院大学は防災を含めて地盤に関わる研究が非常に進んでいるので、それが決め手で大学を選びました。
7. 五味:同じく大学院2年の五味竜太です。僕は父が建設業に携わっていたので憧れもあって工業高校に進みました。ただ母校から大学進学するケースは非常にめずらしかったので情報も少なく、進路についていろいろ悩んでいたんです。そんなときオープンキャンパスで関東学院大学を訪れたところ、耐震工学の北原先生がとても親身に接してくれて、授業のことや卒業後の進路についていろいろ教えてくださいました。関東学院大学では土木の根幹である構造、材料、地盤、水理に加え、特に防災について広く学べることがわかって、「この大学にしよう!」と即決しました。
8. 小向:大学院1年の小向春花です。私も父が土木系の公務員をしている関係で、もともと建設業界に関心がありました。最初は建築を志望していましたが、オープンキャンパスでいろんな学部・学科を見学していくうちに「建築って意外と一人でデザインを突き詰めていくんだな」と気づいたんです。私はどちらかというと一人よりみんなと一緒に何かを創り上げていく作業の方が好きだったので、土木の方が性に合っているのではと考えるようになり、最終的に土木工学に進みました。オープンキャンパスでは学生の方ともお話しできて、授業や実習についてとても楽しそうに話して下さったも印象的でした。
9. 荻原:大学院1年の荻原進一です。僕は最初から土木を学ぼうと決めていたわけではありません。むしろ公務員として地元の相模原市で働きたいという希望がありました。その中でもより自分の専門性が活かせる技術職を考えたときに「面白そうだな」とたどり着いたのが土木でした。関東学院大学はいろんな学部のある総合大学で、他学部の授業を受講することも可能です。土木分野以外でも柔軟に幅広く学ぶことができると考えて志望しました。
理系っぽくない⁉ 学んでみてわかった土木工学の意外な魅力とは
ー多くの高校生にとって「土木」は馴染みのない学問分野だと思います。実際に土木工学を学んでみて、どんな印象を受けましたか?
石毛:実際に学んでみて感じたのは、「土木って想像していたほど理系じゃないな」ということ。もっと公式を当てはめる理系らしい学問だと思っていましたが、じつは法律の知識が必要だったりと文系的な要素も絡むので、学びの幅が広いです。それに土木業界そのものが社会情勢の影響を受けやすいので、経済など社会の動きを広く見渡して考えられる視点も必要だと思います。いまは移動中や旅先で街並みを目にしても「どんな考えで造られたのかな」などと気にするようになりました。
柳澤:土木では人と協力しあったりコミュニケーションをとることが不可欠なんですよね。普段は基本的に1人で授業を受けて単位を取得してますが、2年次の測量実習ではグループで一つの課題を作り、全体でやり遂げたことに対して成績が評価されます。1人ではできないことをチームワークで達成できてとても充実感があったし、研究室に所属してからもみんなで課題に取り組む場面が何度もありました。土木業界自体がみんなで力を合わせて一つのものを作り上げていく世界なので、在学中からこうした経験を通じてコミュニケーション力が自然と養われていったように思います。
伊波:確かに実験や実習では仲間で協力しあうのって普通のことですよね。特に地盤では実験の規模がかなり大きくなるので特にそう感じます。いろんな現象の原理を肌で感じられたりと、学びの内容も非常にダイナミックです。
渡邉:それに土木の学びは、やっぱり私たちの身近な生活に直結してるなと感じます。災害が発生すると現地の被害の様子が報道されますよね。私は地盤の液状化判定基準について研究しているので、それを見るたびに「大学で学んだことがもっと社会に反映されていれば、この被害は減らせたのに」と悔しくなりますね。
荻原:工業高校で学んでいた方を除けば、土木は入学段階ではみんな同じスタートラインで学べます。そこから個々の努力で実力を高めていけますよね。それに土木って高校まで学んできた物理や生物の延長線上にない学問だし、さらに法律や経済、社会学などの要素も絡んだりするので、複数の分野がバランスよく混ざった面白い学問だと思います。
ーこれまでの授業や実習で、思い出に残っているエピソードや体験はありますか?
小向:1年生のときに藤沢のトンネル建設現場を見学させてもらったことです。未完成でシーリングしただけの丸い状態を見るのは初めてだったのですが、普段、車で走って感じるよりもずっと大きなものだったのが印象に残っています。
川瀬:僕は長崎県で行われた学外調査に参加したことです。鉄道斜面の地盤調査の共同研究を行っていて、大学チームも企業の方と並行して試験作業を実施しました。僕は研究室の先輩が行っていた試験を手伝っていたのですが、企業の技術力や現場の方の統率力を間近で見ることができて、すごく参考になりました。
阿南:土木では課外授業も非常に盛んで、いろんなイベントに参加してきました。なかでも「ぼうさいこくたい」という、毎年多くの団体・機関が参加するイベントに、研究室として参加し、「土石流の模型実験」を行ったり、ソイルストラクチャーコンテストで優勝したりもできました。ほかにも、大学の先生や僕ら土木の学生が小・中・高校生の子ども達に防災についての授業を行う取り組みがあるのですが、僕自身も防災知識を深められただけでなく、人に伝える大切さと難しさを学ぶこともできました。
五味:僕もいろんな学外イベントに参加してきましたが、なかでも防災教育は非常にやり甲斐がありましたね。簡易スリッパや簡易ベッド、固める非常用トイレなどを子ども達に解説しながら一緒に作ったのですが、もともと自分自身も土木以外の防災知識に詳しいわけではありません。段ボールや新聞紙を防災技術に転用する知識を子ども達に説明しながら、自分自身も教えられることが多くて成長できた実感があります。
後編では研究室の雰囲気、そして就職先や将来の展望についてお話をうかがいます!