土木・防災を通じて人と社会の幸福を守る いま求められる「シビルエンジニア」人材とは?(後編)-関東学院大学

土木・防災を通じて人と社会の幸福を守る いま求められる「シビルエンジニア」人材とは?(後編)-関東学院大学

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取材:雫 純平(大学通信)

公務員にインフラ系、それぞれの使命感が結実する就職先

ー学部生と大学院生のみなさんは、同じ研究室に所属しているそうですね。研究室はどんな雰囲気なのでしょうか?

渡邉:私は大学3年の秋に入ったのですが、研究室には学部の3年生と4年生、大学院の1年生と2年生が所属しています。先輩と後輩の距離が近いので和気あいあいとした雰囲気で、わからないことがあれば周囲の先輩の知識で解決できることが多いです。

石毛:大学院の先輩がたくさん在籍しているので、ここでは4年生は最上級生ではなくまだまだ後輩です。これまでも就職活動や研究面でも、先輩にはいろいろ相談にのっていただきました。真剣に学ぶけど時にはメリハリをつけて遊ぶこともあったりと、非常にアットホームな場所でしたね。

阿南:九州出身の自分にとって、公私ともに支えてくれた研究室の仲間は、もはや家族のような存在です。「研究室に住んでる」と言われるほどしょっちゅう入り浸っていたので、卒業後は地元に帰るのが本当に寂しいです。

五味:とにかく笑顔の絶えない研究室です。もちろん研究が大変なときは気分が落ち込むこともあるんですけど、「やるしかない」というみんなで支え合うマインドが共有できています。土木の基礎や苦手な分野のこともたくさん研究室の先輩方や仲間に教えていただきました。

荻原:すごくよくわかります。僕は研究室の関係性は登山に似てると思ってました。お互いに苦しいときは助け合って、乗り越えたときに連帯感のようなつながりが生まれるんですよね。

ー学部4年生の方と大学院2年生の方は、もう就職が内定しているとうかがいました。それぞれの内定先と、今後はお仕事でどのように大学での学びを活かしていきたいか教えていただけますか?

渡邉:私は人や社会の安全に役立つ仕事に携わりたいと考えて、JR東日本から内定をいただきました。ゼネコンやコンサルも考えましたが、私にとって一番身近な安全が鉄道だったんです。例えば一般的にクルマで出かける人には「気を付けてね」と言うことはあっても、電車や新幹線に乗る人にそういう声かけはしませんよね。それだけ鉄道では人々の安全に対する期待度が高いと言えます。その当たり前の安全を守るのが自分の使命だと思ったんです。将来的には土木防災に関する学びを活かして災害安全対策や、軌道メンテナンスの分野に携わりたいです。

石毛:僕は山形県庁から内定をいただいております。地方公共団体が扱う公共事業には、山、河川、空港、港湾とすべて揃った大きなフィールドがあるので、いろんなジャンルの仕事を経験したいです。山形県から進学してきた自分にとって、首都圏の社会資本は非常に大きく発達していて、地元とはあまりに環境が異なることに最初は驚きました。同時に首都圏と地方の生活のありようについても深く考えさせられて、「山形県に恩返ししたい、地元の人に貢献したい」という思いが芽生えました。首都圏の充実したインフラを使ってきた経験を活かして、ずっと地元で生活してきた人には出せない自分なりの施策を打ち出していきたいです。安全インフラを強化して、災害に強い山形づくりに貢献したいですね。

柳澤:僕も自分が生まれ育った街をより良くしたいという思いから、横浜市役所に内定をいただきました。やはり土木を学んでいる目線で街を見ていると、道路の老朽化など細かいところも気になります。そういった身近なところから安全対策に携わっていきたいです。

阿南:僕は地元の九州に帰って、NEXCO西日本に入社予定です。九州はクルマ社会なので高速道路は移動に欠かせない身近な存在です。普段は通勤、物資運搬、観光や地域間交流などが主な用途だと思いますが、これらは災害時には救援物資や救助車両のための大動脈になります。地域によっては老朽化も進んでいるので、入社後はそれらをリニューアルするプロジェクトに参加したいと思います。

川瀬:僕はもともと港湾の仕事をしたいと考えていたので、国土交通省の地方整備局を選びました。港湾整備を通じて津波をはじめとする防災に携わりたいという思いがありますし、日本の主要な物資は99%以上が港湾から入っているので、物流面の安全にも貢献できればと思います。これまでの研究活動では専門分野の知識だけでなく、物事を複数のメンバーで進行しながら全体を見通す力がつけられたと思います。エンジニアとしての技術力、そしてさまざまな事象を俯瞰して見る目を役立てながら港湾整備に関わっていきたいです。

五味:僕は佐藤工業株式会社というゼネコンから内定をいただきました。ここは規矩先生がかつて在籍していた企業でもあり、いろいろ業務について詳しく教えていただいて志望しました。将来は海外で施工管理をやりたいと考えています。温暖化対策や災害対策を目的とした、太陽光発電所やライフライン等の施工実績が豊富なところにも惹かれました。またトンネル分野が強いとのことなので、それも含めて幅広い業務を経験していきたいです。

ーありがとうございました。最後に土木を志している、あるいは進路に迷っている高校生に向けてメッセージをお願いします。

荻原:土木工学は、学びを通じて基礎学力だけでなくチャレンジ精神や人間力も高められると思います。僕は最初公務員志望だったのですが、いまでは正しく自分たちの力で人々を救う仕事がしたいと考えるようになり、いまはマリコン(ゼネコンのなかでも海洋土木に特化した建設会社)への就職を視野に入れています。学びの中で自分の成長を実感したい人、縁の下の力持ちとして社会に貢献したいという人にはぴったりの学問だと思います。

小向:今日は地盤の話が多く出てきましたが、土木ではそれ以外にも構造や水理などいろんな専門分野がまだまだあります。幅広くいろんな知識を学びながら、自分の好きな分野を探しあてて、それを深めていけるのが土木の楽しさだと思います。

五味:関東学院大学では防災を切り口にいろんな土木分野の学びに触れられます。そして課外活動、卒業研究、学会などを通じて企業の人と接することも多く、産学共同で研究する機会もあります。僕自身は人見知りな性格でしたが、さまざまな活動や研究を通じてコミュニケーション能力も伸ばせたように思います。卒業後も公務員、ゼネコン、コンサルなど幅広い就職先があるので、もっと多くの高校生に土木の魅力を知ってほしいです。

伊波:人に寄り添った仕事がしたい、社会に貢献したいという人に向いている学問だと思います。また進路については企業だけでなく、国や地方でも土木人材に対するニーズは高いので、公務員に進む人も多いのが特徴です。将来は公務員を志望するという人にもおすすめします。関東学院大学の土木・都市防災コースは優しい教授が多くて学生との距離も近く、悩みごとなどもいろいろ相談しやすいのもいいところだと思います。

仲間たちと進む道は違っても、再び同じ使命のもとに交差する

ーそれでは最後に、学生のみなさんのお話を振り返って規矩先生からもひと言お願いします。

規矩教授:今日は学生たちがそれぞれの目線で土木工学について語ってくれましたが、学問の話題のはずなのに何度も「協力」「コミュニケーション」「仲間」というフレーズが出てきたと思います。就職先はゼネコン、コンサル、公務員、公益企業に大きく分かれますが、大学卒業後の所属先は異なっても土木は一人だけ、一社だけで出来る仕事ではありません。どの分野に進んだ学生たちも、やがて公共事業やプロジェクトなどを通じて再び集まり、協力し合ってモノを創り上げていく、土木ってそういう世界なんです。だから他分野の学生と違って自然と仲間意識を大切にしているのではないかと思います。卒業して離れ離れになっても将来は業界内のどこかで再会し、協力し合って世の中のためにいいものを創っていく仲間がいる。それも永く仕事をしていくためのモチベーションに繋がっているのだと思います。実は私だけではなく、関東学院大学の教員の多くが土木業界で働いた経験があります。教育機関として「学生を育てる」だけではなく「土木業界の後輩を育てていこう」という気持ちで学生に向き合っています。

高校生のみなさんには、「理系科目が得意だから工学部」とか、「数学が苦手だから文系学部」という高校の授業レベルでの得意・不得意で進路を決めないでほしいですね。学べる内容、将来の仕事や就職先、社会や業界からの評価など、ガイドブックや偏差値だけでは見えないことがたくさんあります。「自分の未来を拡げる作業」である進路選択のなかで、一人でも多くの高校生が土木や防災に興味を持ってもらえたらうれしいです。ぜひ広い視野で社会を見据えることができ、人や社会の幸福のために働ける人材になって欲しいと願っています。

規矩大義教授を囲む、今回のインタビューに登場した地盤防災工学研究室の学生たち

【前編】土木・防災を通じて人と社会の幸福を守る いま求められる「シビルエンジニア」人材とは?

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