ビジネス、理工系ー新たな分野への進出で女子大の就職力が高まる

ビジネス、理工系ー新たな分野への進出で女子大の就職力が高まる

就職活動における女子学生不遇の時代を乗り越えた女子大の就職力は高く、女子大全体の平均実就職率は常に大学全体を上回っている。近年、社会科学や理工系など、これまでの女子大になかった学部系統の拡充が進む。この流れは女子大の就職力をさらに伸ばすことになりそうだ。

文 井沢 秀(大学通信)

全般的に女子大の実就職率は高い

女子の総合大学志向が強まっているが、女子大には総合大学にはない魅力がある。異性を意識しなくてよい就学環境やコンパクトにまとまったキャンパス、面倒見の良さなど、様々な要因がある中、就職の強さは女子大の大きな魅力になっている。

全般的に女子大の実就職率は高い。大学通信が医学部と歯学部の単科大学を除く全大学を対象に行なっている就職状況調査によると、、2022年3月卒の大学生全体の平均実就職率が86.1%なのに対し、女子大だけの集計では、88.5%と2.4ポイント上回っているのだ。

「平均実就職率の推移」を見ると、近年この傾向が続いていることが分かる。リーマンショック以降、大学生の実就職率が最も落ち込んだ10年においても、女子大は大学全体の平均値を上回っていたのだ。

女子大の実就職率が高い背景には、1986年の男女雇用機会均等法の施行以前、女子学生の就職が厳しかった頃に蓄積された、丁寧で面倒見の良い就職支援が今に受け継がれていることが挙げられよう。

教員養成や栄養士など資格系学部が実就職率をけん引

就職力が高い女子大の中でも上位の大学はどこなのか。22年卒の女子大の実就職率から検証しよう。

「女子大の実就職率」は、卒業生500人以上の女子大の実就職率を一覧表にしたもの。就職率の高い順に見ていくと、最高値は昨年に続き聖徳大だった。就職に強い女子大の特徴の一つに、保育士や幼稚園・小学校の教員免許や栄養士など、就職に有利な資格が取得できる学部の充実がある。聖徳大は、6学部中、教育、心理・福祉、人間栄養、看護の4学部が資格系となっている。

次位の鎌倉女子大は、家政、児童、教育といった資格が取得できる3学部からなり、ノートルダム清心女子大は、人間生活、児童、食品栄養の3学科で構成される人間生活学部を持つ。

前出の3大学に続く昭和女子大は、卒業生1000人以上の女子大の中で、12年連続で実就職率ランキングトップを続けている。実践女子大は、22年卒の実就職率が前年比3.8ポイントと大きく伸びている大学だ。

この2大学に共通しているのは、女子大には設置が少なかったビジネス系学部を有し、就職で結果を残していること。昭和女子大には、実就職率94.6%のグローバルビジネス学部があり、実践女子大には、「人を知り、社会を知り、ビジネスを学ぶ」をモットーとする、実就職率95.7%の人間社会学部がある。

実就職率上位の大学では、安田女子大が現代ビジネス学部を設置しており、毎年、高い実就職率を維持している。卒業生はこれからだが、武庫川女子大が経営学部、共立女子大がビジネス学部を設置しており、今後の就職状況が注目される。

理系分野の新設が進み就職力アップに期待がかかる

これまで女子大に無かった系統ということでは、22年に奈良女子大が女子大初の工学部を開設。23年には共立女子大が建築・デザイン学部、京都女子大がデータサイエンス学部を新設予定。24年には、お茶の水女子大が共創工学部、日本女子大が建築デザイン学部の新設が予定されており、女子大の理系分野への進出が進んでいる。社会からの人材養成のニーズが高い理系は、就職に強い学部系統であり、女子大の就職力がさらに高まりそうだ。

資格取得やビジネス人材の養成に資する社会科学系など、就職に強い学部が大学全体の実就職率を支える傾向にある。一方、人文系や家政系学部が中心となっている、従来型の女子大の就職力も低いわけではない。様々なタイプの女子大があるが、そのベースには、キャリアセンターと教員が連動した丁寧な就活支援など、女子大ならではの面倒見の良い充実した取り組みがあることは間違いない。

女子大の人気が下がっている今だからこそ、倍率は低いが就職力が高い。お得感が増している女子大に再注目したい。

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