2020年度「医学部に強い高校」ランキング!(地域別あり)

2020年度「医学部に強い高校」ランキング!(地域別あり)

国公立大医学部(医学科)の志望者が減り続けている。2020年度(20年4月入学)入試でも志願者が減少したが、それでも、東大や京大と比肩する難関であることに変わりはない。そんな国公立大医学部に強い高校はどこなのか。


2020年度(20年4月入学)入試はどうだったのか

医学部の志願者減が止まらない。20年度入試の国公立大の医学部志願者は前年比87%に留まる2万2000人だった。前期だけで集計すると、6年連続の減少となる。駿台教育研究所・進学情報事業部長の石原賢一さんは言う。

「国公立大医学部を目指せる高い学力の受験生にとって、20年度の医学部入試は、全般的にハードルが大きく下がりました。前期日程の志願状況は、東北や近畿、九州・沖縄で大幅減となっています」

 20年度の国公立大医学部の志願倍率(志願者数÷募集人員)は、前年の6・1倍から5・5倍に下がった。それでも、国公立大医学部入試が東大や京大と比肩する難関なことに変わりはない。

「東大や京大は、国公立大医学部に比べると定員が多い上、学部(科類)間で難易度の幅があるので、合格者を出せる高校は少なくない。国公立大医学部は、難関かつ定員が少ないため、コンスタントに合格者を出せる高校は限定されます」(駿台の石原さん)

 では、20年度入試で国公立大医学部に多くの合格者を出した高校を、「国公立大医学部医学科 合格者数ランキング」で見ていこう。

国公立大医学部医学科合格者数ランキング

順位 学校(所在地) 卒業生数 合格者数
1 東海(愛知) 417 94
2 灘(兵庫) 220 81
3 洛南(京都) 441 69
4 四天王寺(大阪) 396 67
5 久留米大附設(福岡) 203 65
6 愛光(愛媛) 238 63
7 青雲(長崎) 223 61
ラ・サール(鹿児島) 213 61
9 東大寺学園(奈良) 202 58
10 甲陽学院(兵庫) 207 57
11 札幌南(北海道) 314 51
12 清風南海(大阪) 305 49
13 開成(東京) 397 48
14 新潟(新潟) 363 45
熊本(熊本) 400 45
16 仙台第二(宮城) 318 44
昭和薬科大附(沖縄) 205 44
18 渋谷教育学園幕張(千葉) 354 42
桜蔭(東京) 229 42
西大和学園(奈良) 374 42
21 広島学院(広島) 181 40
22 豊島岡女子学園(東京) 338 39
浜松北(静岡) 398 39
24 日比谷(東京) 326 38
聖光学院(神奈川) 229 38
26 大阪星光学院(大阪) 181 36
27 北嶺(北海道) 121 34
海城(東京) 317 34
滝(愛知) 341 34
30 白陵(兵庫) 186 33
宮崎西(宮崎) 390 33

トップは13年連続の東海で、合格者は94人。地元の名古屋大・医の合格者数ランキングでトップを続けており、20年度も28人が合格した。2位に入った灘の合格者は81人。東大・理Ⅲと京大・医の合格者数ランキングで、定位置といえるトップをキープした。3位は69人の洛南だった。

 ベスト3の順位は前年と同じだが、いずれも合格者減。その一因は、これらの高校が医学部の合格実績と同時に、東大や京大といった難関大の医学部(理Ⅲ)以外の志望者も多いことにありそうだ。駿台の石原さんは言う。

「トップ私立校では理工系全般の志望者が増え、医学部離れが進んでいます。そのため、志願者減と連動して合格者が減っているのでしょう」

 灘の合格状況を前年と比較すると、東大・理Ⅲが21人→14人、京大・医が26人→24人と減少する一方、東大・理Ⅰの合格者が30人→35人、京大の工と理の合計が14人→17人と増えている。

 対照的に合格者が増えている高校には、4位の四天王寺、5位の久留米大附設、6位の愛光などがある。東大や京大志望者が多い前出の3校と比較すると、より医学部志向が強く志願者が多い高校で合格者が増える傾向にある。

 合格者数ランキングは、ベスト10を私立の中高一貫校が占める一貫校優位な中、公立校の状況を見ると、地元大学の医学部に強い伝統校がランクインしている。

北海道大・医の合格者数ランキングトップの札幌南が11位、新潟大・医の合格者数が最多の新潟と熊本大・医の合格者が最多の熊本がそれぞれ14位、東北大・医の合格者数ランキングトップで16位に入った仙台第二などがある。

続いて 「国公立大医学部医学科 現役合格者占有率ランキング」を見ていこう。

国公立大医学部医学科 現役合格者占有率ランキング

順位 学校(所在地) 現役合格者数 現役占有率(%)
1 久留米大附設(福岡) 44 21.7
2 灘(兵庫) 43 19.5
3 北嶺(北海道) 20 16.5
4 東大寺学園(奈良) 30 14.9
5 愛光(愛媛) 35 14.7
6 広島学院(広島) 26 14.4
7 甲陽学院(兵庫) 29 14.0
8 聖光学院(神奈川) 31 13.5
9 大阪星光学院(大阪) 24 13.3
10 青雲(長崎) 28 12.6
11 札幌南(北海道) 38 12.1
12 桜蔭(東京) 27 11.8
13 東海(愛知) 48 11.5
14 ラ・サール(鹿児島) 23 10.8
15 昭和薬科大附(沖縄) 20 9.8
16 白陵(兵庫) 18 9.7
17 徳島文理(徳島) 12 9.6
18 洛南(京都) 42 9.5
19 清風南海(大阪) 28 9.2
20 豊島岡女子学園(東京) 31 9.2
21 洛星(京都) 17 8.4
22 智辯学園和歌山(和歌山) 23 8.4
23 海城(東京) 26 8.2
24 大手前丸亀(香川) 10 8.0
25 渋谷教育学園幕張(千葉) 28 7.9
26 栄光学園(神奈川) 14 7.9
27 日比谷(東京) 25 7.7
28 広島大附福山(広島) 15 7.6
29 四天王寺(大阪) 29 7.3
30 新潟(新潟) 26 7.2

 

2次試験重視で多少のセンター試験の取りこぼしがあっても逆転合格が可能な東大や京大と異なり、国公立大医学部入試は、センター試験と2次試験両方でミスができないため、現役合格が難しい。そうした医学部の現役合格者が卒業生に占める割合が最も高いのは久留米大付設で、占有率が3・4P伸び前年1位だった灘(2位)と入れ替わった。卒業生の5人に1人が医学部に合格していることになる。

「久留米大付設は、中学から入学した女子生徒が19年度に初めて卒業し、今春は2期目。優秀な女子生徒は医学部志望者が多い上、現役志向が強いので、占有率が上がったのでしょう」(学習塾関係者)

 占有率が上がった高校には、昨年の17位から6位になった広島学院。上位30位圏外から8位に入った聖光学院や10位の青雲、20位の豊島岡女子学園などがある。

 対照的に占有率が大きく下がったのは前出の灘で、前年を7P下回った。7位の甲陽学院、14位のラ・サール、16位の白陵なども占有率が下がっている。前述の通り、優秀な生徒の学部志望状況の変化による影響と見られるが、この傾向は今後も続くのだろうか。駿台の石原さんに聞いてみた。

「新型コロナウイルスがカギを握ると見ています。世界的な蔓延による医療崩壊を目の当たりにし、さらにテレワークなどにより産業としてのⅠT技術の可能性が示されたことで、情報系の人気が上がるでしょう。そうなると、医学部志願者はさらに減りそうです」

 志願者減に加え、20年度入試で倍率が下がったことで浪人生が少ないため、21年度の医学部入試は、さらにハードルが下がりそうだ。難関には違いないが、紛れが少ない入試環境になるのは、医学部志望者にとって歓迎材料だろう。

地域別「医学部に強い高校ランキング」

地域ごとのランキングはこちらからダウンロードをお願いします!
(画像をクリック!)

※国公立大医学部 高校別合格者数ランキング
<表の見方>
●国公立大の医学部・医学科の合格者数を掲載(東京大は理科Ⅲ類と医学科の合計数)。
●合格実績のある高校へのアンケート取材(サンデー毎日と週刊朝日、大学通信による3社合同調査)を基に作成。一部の高校は、集計中のため掲載している人数よりも実際の合格者数が多いことがある。
●高校名の※印は国立、◎印は私立または在外教育施設、無印は公立を表す。

特集カテゴリの最新記事

ユニヴプレス