世は何はともあれグローバルである。最近は教育業界にもその波が押し寄せてきた。今年度も学習院大学の国際社会学部をはじめとして、続々と国際関係の学部学科が新設されている。また、弊社調査による「来年人気が出そうな学部学科アンケート」でも国際系は看護系を破って初めてトップになった。まさに今の旬の学問だ。
1、ところでグローバル教育って何だろう。
一言でいえば、グローバル教育とはグローバル人材を育成するための教育である。そして、グローバル人材とは何かというと、文科省資料には
「グローバル人材とは、世界的な競争と共生が進む現代社会において、日本人としてのアイデンティティを持ちながら、広い視野に立って培われる教養と専門性、異なる言語、文化、価値を乗り越えて関係を構築するためのコミュニケーション能力と協調性、新しい価値を創造する能力、次世代までも視野に入れた社会貢献の意識などを持った人間」
と書かれている。もはや超人の域であると私は思うが、グローバル教育を標榜している大学はこの定義に見合った人材を育成するべく、様々なカリキュラムを実施している。留学プログラム、留学生の受け入れ拡大、外国人教員の増員と外国語授業の強化、海外演習などそのありようは様々だ。
学生の時から民族的多様性の中に身を置かせ、人種の違いを超えたコミュニケーション能力や問題発見解決能力等を磨く、これがグローバル教育というものなのだろう。
将来「海外の人と交流しながら仕事がしたい」「世界のどこへ行っても生きていける人間になりたい」と思っている受験生にはまさにうってつけだ。では具体的にどんな大学が良いのだろうか?
2グローバル教育に力を入れている大学ランキングとスーパーグローバル大学
表①を見て頂きたい。これは弊社が高校進路指導教諭にとった「グローバル教育に力を入れている大学」のアンケート結果だ。
トップは国際教養大。4年に開学した新しい大学で、国際教養学部のみの単科大。授業はすべて英語で行われ、在学中に1年間の留学が必須で、1年次は全学生が外国人留学生と一緒に寮生活を送る。大学のグローバル教育の草分けだ。5年かけて卒業する学生も多いが、国際系学部全体で実就職率94.1%はトップの実績。有名企業にも多くの卒業生を送り出している。その内訳も一般的な大学と違って国内金融、メガバンクへの就職者は少なめで、世界的に有名な日本のメーカーや商社などへの就職者がおおい。まさにグローバル人材育成という面では最先端の大学だ。
2位は上智大、以下、国際基督教大、立教大と早稲田大の順となっている。
大学選びの参考にしてほしい。
さらに、この表において順位以上に注目していただきたい点が一つある。それはランクインした20大学中17大学が「スーパーグローバル大学創成支援事業」に指定されているスーパーグローバル大学という事実だ。
3スーパーグローバル大学とは何だろう?そのメリットとは
「スーパーグローバル大学創成支援事業」とは、文科省がグローバル人材の育成に向け
「「大学改革」と「国際化」を断行し、国際通用性、ひいては国際競争力の強化に取り組む大学」に対し支援を行う制度だ。もちろん、申請すればすべての大学が指定を受けられるわけではない。改革プランや取り組みなどがしっかり審査される。
そして2014年、指定を受けた大学37校が選定された。これが「スーパーグローバル大学」である。表②スーパーグローバル
にまとめたのでご参考頂きたい。
当然これらの大学はグローバル教育への意識が非常に高い。例えば芝浦工業大は留学経験者の割合を2013年の1.6%から2023年までに100%にするという目標を立てている。また、東洋大学では外国語での授業科目数を2023年までに現状の14.1倍の1513科目にまで増やす予定だ。
他にも取り組み方は様々だが、どれもまさに「改革」と呼べるような意欲的な目標ばかりだ。
とはいえ、スーパーグローバル大学が文科省指定の事業である以上「絵に描いた餅」というわけにはいかない。各大学は達成のために必死に尽力していることだろう。また、文科省としても最大4.2億円の補助金を交付するなど、環境面、資金面などで大学の国際化をバックアップしている。
グローバル教育を受けたいと願う受験生にとって、国際化への高い意識を持ち充実した環境が整っているスーパーグローバル大学は有力な選択肢の一つとなるだろう。
スーパーグローバル大学には立命館大、上智大などの有名私大の他にも、長岡技術科学大、京都工芸繊維大など地方できらりと光る大学も含まれており、そのバリエーションも豊かだ。各々で各大学の取り組みや特色について研究するのもいいだろう。
グローバル人材の育成は民間としても、また国としても強力に推進している事業の一つであり、現在も、官民色々なところで様々な施策や支援が行われている。
グローバル人材になりたいと思う受験生にとって今はまさに絶好のチャンスと言えよう。
この機会にグローバルに対する知識や考え方を深め、志望校選びに活かしてほしい。