【東京理科大学】経営は理系だ!論理的思考とデータ活用力で ビジネスの世界を渡り歩く


今春、経営学部を東京の中心、神楽坂キャンパスに全面移転した東京理科大学。移転と同時に新設したビジネスエコノミクス学科では今話題のビッグデータを扱う。移転の狙いや新学科の学びについて、経営学部長の武藤滋夫教授に話を聞いた。


―2016年4月にキャンパスを久喜(埼玉県久喜市)から神楽坂(東京都新宿区)に移転
しました。どういった狙いがあったのですか。

都心にキャンパスを置くことで学生が実際の企業の経営などに直に接する機会を増やしたいとの考えから移転に踏み切りま
した。周りに多くの企業がある環境で自由に活動してもらう狙いがあります。東京の中心に位置し、どのビジネス街にも近い
ので、就職活動と学業の両立という面でのメリットもあります。神楽坂キャンパスにはもともと理学部と工学部の学生が学んおり、周辺には多くの大学があります。他学部や他大学との交流や連携を活発化させることも狙いの一つです。学部間の連
携については学内で活発な議論を交わしていますし、教員レベルでの連携は研究室同士の共同研究という形ですでに始まって
います。物理的な距離のある久喜キャンパスにいた頃には考えられなかった動きです。

【データ分析のBE学科と事業構想を練る経営学科】

―キャンパス移転と同時にビジネスエコノミクス(BE)学科を新設しました。何を学ぶ学科なのでしょうか。

BE学科のキーワードは〝分析力〞です。ビッグデータと呼ばれる膨大なデータをどう処理し、その中からいかに有益な情報を見いだすかを学びます。ビッグデータの具体例としては、スーパーやコンビニなどの販売情報を集計するPOSシステムが分かりやすいでしょう。これまでは情報を整理するだけでしたが、計量経済の手法やAIなどを活用することで、より深く精緻な分析ができるようになっています。数理や計量に重点を置いた理系的な学問といえます。データをどのように意思決定に生かしていくかを考えるためにゲーム理論などを用いた検討も行います。理工学をベースとしてデータ解析を行い、そのデータを企業経営にどう役立てるかを考えるための土台作りについて学ぶのがBE学科です。

―学科の新設にあわせて学部全体のカリキュラムについても見直したそうですね。

BE学科で扱う内容は旧経営学科の内容と重複する部分があります。経営学科も同時にカリキュラムを刷新することで、それぞれの学科が担うべき役割を明確に区別し、よりよい教育研究を行うための環境が整いました。経営学科では伝統的な経営学の手法である経営戦略や会計ファイナンス、マーケティングなどを学び、〝構想力〞を身に付けます。企業は今後どのように
発展していけばいいか、グローバルな社会でどう世界に打って出ればいいかなどをBE学科で解析されたデータをもとにして学ぶことができます。

【今の経営学に求められる理工学の研究アプローチ】

―他の総合大学の経営学部とは異なり、東京理科大学の経営学部は理系の入学者がとても多
いそうですね。

今年の入学者のうち理系出身の学生はBE学科が78%、経営学科が42%でした。他大学に比べ理系出身者が多いですが、理系の受験生だけに門戸を開いているわけでは決してありません。理工系の大学である本学が経営学部を持つ役割の一つに、理系的な観点から企業経営に切り込むことがあると考えています。だからこそ理工学をベースとして経営学や経済学を学ぶ必要があるのです。BE学科はデータサイエンスを扱う理系的な学科なので入試で数学を必須にしていますし、数学を課さない入試で入学した文系学生に対しても数学教育に力を入れるのはそのためです。

―なぜ経営学や経済学に理系的な視点が必要になっているのですか。

欧米では経営や経済の研究は完全に理系のスタイルで行われるようになっています。研究を論文にまとめて国際的なジャーナルに発表するという形です。ノーベル経済学賞の受賞者のうち半数以上が学部または大学院で理工学教育を受けていることからもそのことが分かります。日本では経営や経済は文系という位置づけで、正直なところ世界から非常に遅れていると言
わざるを得ません。経営学では日本企業を研究することも多く、そうしたローカルな事象を扱う分野では国際的な評価を得るのが難しい面はありますが、ごく一部の大学を除いて理論的に論文を書いて欧米の大学と国際論文誌で勝負できる段階には至っていません。
だからこそ理工系の大学で経営学の教育研究を行う必要があると考えているのです。文理融合の教育研究には難しい部分も多いですが、BE学科を新設することで理系の研究スタイルが広がり、学部全体にプラスに作用することを期待しています。
学生には広く浅く学ぶだけでなく、何か一つ武器になるような専門分野を身に付けて卒業してもらいたいと考えています。

【高い評価を受けるデータを基にした論理的説得力】

―今春の実就職率〈就職者数÷(卒業者数―大学院進学者数)×100で算出〉は98・7%で、全ての商・経済・経営系学部の中で2番目に高い数字です。企業からの高評価にはどのような理由が考えられますか。

通常の経営学に加えてデータをもとに説得力あるプレゼンや企画立案ができる点が認められているのだと思います。今の企業はデータを扱える人材を必要としており、他の経営学部にはない本学の強みが高く評価される時代になったともいえます。経営や経済の理論が社会でそのまま役立つことは稀ですが、考え方が役に立つことはあります。例えば私の専門のゲーム理
論では、相手がどう考えているかを常に考えながら行動する必要があることを学びます。理論の細かい部分は別としても、その考え方自体は企業間の交渉の場面などで役立つものです。社会では考え方の引き出しをたくさん持っていることが強みになります。文系だけでなく理系の引き出しを多く持っていることが評価につながっているのではないでしょうか。

―どのような力を身に付けた受験生に来てほしいですか。

論理的な思考力を持った受験生が入学してくれるといいですね。数学を履修していなかったとしてもロジカルにものを考えられるような人を歓迎します。高校ではまんべんなく勉強することを勧めます。本学部は他の経営学部に比べて理工系の教育に力を入れていますが、日本語で考えるためには国語ができなければなりません。海外で活躍するには英語が必要ですし、歴史や文化などの話をするために社会も知っていてほしい。基礎的な物理や化学の知識も役に立ちます。

こうした基礎的な知識や論理の展開力を身に付けたうえで、リーダーシップを持っていればより望ましい。理系の学生はおとなしい人も多いので周りを引っ張っていける学生が加わるのを期待しています。課外活動を頑張ることでリーダーシップや仲間と協調してものごとに取り組む力を養ってください。

―最後に、時代に応える特長ある教育を行う経営学部の今後の展望を教えてください。

文系学部から大学院に進むのは研究者になる人がほとんどですが,理科大の経営学部では修士課程で学びを深め社会に出て行く学生が増えてほしいと願っています。また,博士課程も設置し研究者を目指す学生を増やそうとも思っています。
2018年には大学院のイノベーション研究科が経営学研究科に加わりますし、理学部など他学部との交流も活発化していきます。神楽坂への移転を機に異なる分野同士の連携を進めることで、理工系大学にある経営学部ならではのユニークな教育研究を深めていきたいですね。

経営学部長 武藤滋夫教授

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