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KOKUGAKUIN STORIES×法学部
法を学ぶうえでの心構えとして、法学部に入学してきた1年生に「法律は正義や善悪の話ではないよ」と伝えます。とくに民法に関しては、これほど正義という概念があてはめづらい分野はないかもしれません。たとえば、信仰上の理由による輸血拒否と医療倫理の問題。手術は成功したものの、自分の意に反して輸血がなされたことで、患者が病院や医師に対して損害賠償請求訴訟を提起した事例について考えるとき、患者と医師のどちらか一方が100%正しくて、他方は完全に悪なのでしょうか。患者の自己決定権、救命を最優先する医の倫理、ともに尊重されるべき信念が対立する中、どのような行動が望ましいのでしょうか。
一つの物事を多角的に捉え、多様なものの見方を比較・検証し、自分なりの結論を導き出すのは容易なことではありません。しかし、この一連の考えるプロセスこそ、法を学ぶ醍醐味だと思うのです。私は30年前から「委任」を専門分野として研究を続けています。始めた当時、「委任」は民法の中でメジャーなテーマではなく、これを突き詰めても意味がないのだろうかと思うこともありました。けれども私にとっては非常に面白いと感じられる領域で、30年経った現在も新たな発見や、考える楽しさは尽きません。ですから学生の皆さんにも、自分の興味を起点に学びや研究に大いに取り組んでほしいと願っています。
幸いにも本学には、人文社会科学系大学の中でも有数の蔵書数を誇る図書館や、学部ごとに設けられた資料室など、自発的に学ぼうとする学生が専門書に気軽にアクセスできる環境が整っています。また、法律の勉強というと条文を丸暗記するものと誤解されがちですが、本学部では「議論」を重視し、少人数での対話型授業も積極的に展開しています。こうした学びを通して身につけてほしいのは、身の回りや社会で生じている問題について、感情や先入観に左右されず、客観的に考える力です。その力は将来、社会のどの分野、どんな企業でも活躍できる強い武器になるでしょう。
法学部
法律専攻は「法律や政治を学びながら将来の方向性をみつけたい」という学生に適しており、一定数の科目を修得すれば、それ以外の科目の履修については、学生が自由に組み立てることができる。「法律専門職専攻」「政治専攻」はそれぞれ一学年約50名の少人数制。将来の目標や学びたい分野が具体的な学生に向けた教育を行う。