学部系統別実就職率ランキング2023 志望校選びで就職を重視するなら学部系統別実就職率に注目

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就職率ランキングというと、大学全体の実就職率を比較するケースが多いが、実際に入学するのは学部。就職状況を重視して大学選びをするなら、志望する学部系統の中での実就職率を比較すべきだ。ぜひ学部別の実就職率ランキングを参考にしていただきたい。

文　井沢 秀（大学通信）

就職を重視するなら学部系統別実就職率に注目

志望校選びにおいて就職を重視する受験生は多い。大学通信が進学校の進路指導教諭を対象に行っているアンケートで「生徒に人気のある大学」について聞いたところ、「就職に有利な大学」は常に上位に入っているほどだ。

就職力を比較する際、大学全体の実就職率に目が行きがちだが、志望校選びの視点からは、大学の就職力を見誤る。なぜなら、入学するのは学部であり、同じ大学でも、学部により実就職率に差があるからだ。

たとえば、2023年卒の早稲田大の学部別実就職率を見ると、最も高い商（89.6％）と最も低い国際教養（69.7％）では、20ポイント近い差がある。つまり、就職を意識して大学を選ぶのなら、大学全体ではなく、目指す学部系統の実就職率に注目しなければならないということだ。

同じ大学でも実就職率が異なるのは、学部系統自体が就職に強い系統とそうでない系統に分かれることにある。23年卒の学部系統別の平均実就職率を見ると、最も高いのは看護で94.9％。上位には医（94.0％）や家政・生活・栄養（93.0％）などの資格系が並ぶ。一方、平均実就職率が低いのは芸術（71.3％）、歯（79.7％）、宗教（81.5％）、外国語（82.9％）などで、系統間で大きな差があることが分かる。

もっとも、目指す学部系統の平均値が低くても、気にすることはない。あくまで平均値であり、低い系統の中でも高い実就職率を維持している大学は数多くあるからだ。

では、「学部系統別実就職率ランキング」で、個別大学の状況を見ていこう。

法学系は社会科学系の中で平均実就職率が低い系統で、23年卒は86.6％だった。そうした中でも、日本文化大・法や大阪工業大・知的財産は100％近い実就職率となっている。前者は警察官など公務員就職に強いこと、後者は養成学部が少ない、知的財産に関する知識を活かせることが高い実就職率の要因となっている。名城大・法や熊本大・法なども高い実就職率となっている。

文・人文・外国語系の平均実就職率は、法学系よりさらに低い84.8％。それでも、名古屋女子大・文、聖徳大・文、昭和女子大・人間文化など、表中の大学すべてが90％超。面倒見が良く、就職力が高い女子大が数多くランクインしていることが特徴だ。

国際系も留学などの影響から、平均実就職率が84.4％と低い系統だが、個別に見ると常磐会学園大・国際こども教育や昭和女子大・グローバルビジネス、横浜市立大・国際商など、実就職率が高い大学があり、表中の23大学が90％以上となっている。

経済系と商・経営系は文系学部の中では平均実就職率が高い系統で、商が88.7％、経済と経営が各88.1％となっている。PBL（課題解決型学習）を積極的に進めるなど、文系学部の中では、企業が求める能力が身につきやすいことが要因として挙げられる。経済系ではノースアジア大・経済、大和大・政治経済、名城大・経済など。商・経営系では、愛知工業大・経営、昭和女子大・グローバルビジネス、横浜市立大・国際商などがランキング上位に並ぶ。

資格取得をメインにしない学部系統で平均実就職率がもっとも高いのは理工系（90.8％）で次位は農学系（89.5％）。理工系は金沢工業大のバイオ・化、豊田工業大・工、富山県立大・工など。農学系は、高崎健康福祉大・農、香川大・農、秋田県立大・生物資源科などが高い実就職率となっている。

平均実就職率が高い資格系を見ると、看護・保健・医療系は、聖徳大・看護、順天堂大・保健看護など、100％の大学が6校に上る。福祉系も関西福祉科学大・健康福祉、愛知県立大・教育福祉、岡山県立大・保健福祉などが100％近い実就職率。福祉系は人気がないが、就職に困らない系統ということを知っておきたい。

就職直結の資格が取得できる学部系統の中でも、薬学系の平均実就職率は低く84.6％。薬剤師国家試験の合格率が低い大学の実就職率が上がらないことが要因だ。そうした状況下でも、京都薬科大・薬や東京薬科大・薬、名城大・薬など、高い実就職率の大学が少なくない。

学部系統別実就職率ランキング　学部系統別編

●表の見方
表は各大学発表による2023年春の就職状況（10月10日現在）。データを未公表、または未集計の大学・学部は掲載していない。大阪公立大は統合前の大阪市立大と大阪府立大の実績を掲載した。
実就職率（％）は、就職者数÷〔卒業生数－大学院進学者数〕×100で算出。同率で順位が異なるのは、小数点2桁以下の差による。卒業生数が80人未満の小規模な学部、通信教育学部、二部・夜間主コースのみのデータは掲載していない。
各系統は、主に学部名称により分類したため、学科構成や教育の内容が似ていても掲載していないものがある。例えば、法学科をもつ大学・学部でも学部名に「法」が付かない場合、法学系に掲載していないことがある。
設置の※印は国立、◎印は私立、無印は公立を表す。所在地は大学本部の所在地で学部の所在地と異なることがある。

法学系

文・人文・外国語系

経済系

商・経営系

国際系

家政・生活・栄養系

看護・保健・医療系

福祉系

農学系

薬学系

理工系