根強い人気が続く国公立大 今春入試の振り返りと来春入試の展望2023

根強い人気が続く国公立大 今春入試の振り返りと来春入試の展望2023

今春入試の振り返りと来春入試の展望2023

2023年度の国公立大一般選抜の志願者は42万3180人で、大学入学共通テストの平均点が上がったにもかかわらず、前年を5477人下回った。22年度に増加に転じた志願者が再び減少した形だ。国立大と公立大を分けて見ると国立大が29万8305人(4648人減)で、公立大が12万4875人(828人減)。もっとも、志願者が減少したといっても前年から1%程度なので、国公立大人気が続いていることは間違いない。

国公立大全体の志願者が減少する中、難関国立10大学(北海道大、東北大、東京大、名古屋大、京都大、大阪大、九州大、東京工業大、一橋大、神戸大)全体の志願者は昨年並みを維持しており、成績上位層による難関大人気は根強い。前期の出願状況を見ると、京都大、東京工業大、一橋大が増加し東京大が昨年並みとなる一方、東北大、名古屋大、九州大は減少した。

準難関大の出願状況は、横浜国立大と大阪公立大が大幅増で、筑波大や千葉大、金沢大、広島大、熊本大などは昨年並み。岡山大は後期を廃止した影響で大幅減少となったが、準難関大の出願状況が比較的好調なのは、共通テストの平均点アップにより、難関大より共通テストの配点比率が高い準難関大に出願するという、安全志向の影響があったようだ。

安全志向の影響で難関大から準難関大にシフト

24年度入試も国公立大全体の志願者は減少しそうだ。大手予備校の模試によると、国公立大志望者は3%程度減少しているという。

近年の傾向を踏襲して難関大人気は堅調で、難関国立10大学の志望者は、前年をやや下回る程度。東北大の志望者が大きく増えており、一橋大や名古屋大などが前年並みの志望者数を維持している。志望者が伸びないのは、学力的にギリギリの層が志望を下げていることが要因で上位層は減っていないようなので、ハイレベルな入試を維持すると見られている。

筑波大や千葉大、横浜国立大、新潟大、金沢大、岡山大、広島大、東京都立大、大阪公立大など準難関国立大は、全体として前年並みで志望者は減っていない。25年度からの新課程入試を控え難関大から志望変更するなど、やや弱気な受験生心理を反映しているようだ。志望者が増加している大学には、熊本大や東京都立大、大阪公立大などがある。

コロナ禍が明けて受験生の学部志望動向に変化

学部系統別の志望動向を見ると、文系では、経済・経営・商学系と社会学系の志望者が増えている。コロナ禍が明け、いわゆるつぶしが効く学部系統の人気が上がっているようだ。個別の大学では、横浜国立大・経済の志望者が大幅増で経営も増えている。新課程入試を避けるために、東大や一橋大から志望変更している受験生の影響と見られている。

社会科学系では、公務員など資格志向の薄らぎから、昨年に引き続き法学系の人気がない。国際・外国語系も志望者の減少が止まらない。4年連続の減少で志望者は半数程度になっていると見られ、狙い目の系統と言えそうだ。

一方、志望者の減少が止まりそうなのが、教員養成・教育系で、24年度入試では下げ止まりの傾向が見られる。地元で就職を考える地方の受験生が増えているようだ。同様の理由から社会福祉系も志望者が持ち直している。

理系学部は、理、工、農・水産系の志望者が増加傾向。理学部は基礎科学をしっかりと学びたいと考える受験生が安定的にいること。農・水産系は、探究学習が活発に行われるようになり、その延長線で興味・関心を抱く生徒が増えた影響と見られている。この系統では、特に獣医系の人気が上がっている。

近年注目を浴びている情報系は志望者が大きく増えていない。デジタルスキルはこれからの社会で必携だが、そのための学びは、必ずしも情報系でなくてもできると考える受験生も少なくないようだ。

最後に医療系は、薬学系の志望者が大きく減っている。コロナ禍で注目され志望者が増えていた系統だが、コロナ禍が明けたことで反動がでたようだ。医学部(医学科)の志望者は堅調で、例年通りハイレベルな入試が展開されそうだ。歯学部は志望者が増加、看護を含む保健衛生は前年並みの志望者数となっている。

国公立大は全体の志望者が減少し、学部系統別に見ても突出して人気が高い系統はない。24年度の国公立大入試は、全体的に紛れが少ない入試になるのではないか。

2023年 著名国公立大学 高校別合格者数ランキング

表の見方
◆合格者数は、各高校へのアンケート調査及び大学からの公表データから集計した。
◆各高校へのアンケート調査の大学は、総合型や学校推薦型選抜等を含む人数。未公表や非公表の高校は掲載していない。
◆大学からの公表データは、総合型や学校推薦型を含まない場合がある。
◆設置欄の※は国立、◎は私立、空欄は公立を示す。
大学通信調べ

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