倍率が下がる中、改めて見直したい女子大の魅力

倍率が下がる中、改めて見直したい女子大の魅力

女子大の志願者の減少が続いている。その背景にあるのは、女子の進路の多様化であり、女子大の魅力が下がったわけではない。大学選びの重要なポイントである就職に注目すると、相変わらず女子大の実就職率は高く、受験生の期待に応えられる大学が数多くある。

文 井沢 秀(大学通信)

2023年度入試(23年4月入学)が終わろうとしていた3月。女子大の募集停止の報道が相次いだ。女子大全体として志願者の減少が続いており、予測されていたこととはいえ、思ったより早く破綻する大学が出来した形だ。

女子大の志願者が減少しているのは、女子の総合大学志向の高まりとともに、女子の進路の多様化にある。象徴的なのは、23年度の一般選抜において、中央大と明治大の法学部の高校別合格者数ランキングトップ校が、前年の男子校を抑えて女子校に代わったこと。23年度の国家試験総合職の合格者に占める女子の割合が上がっているように、資格を意識する女子が増えているのだ。

法学部を持つ女子大は少なく、公務員志望の女子の志望先は総合大学が多くなる。さらに、東京工業大や芝浦工業大が新規に女子枠を設けるなど、理系学部を目指す女子の受け皿も拡充している。女子大に設置が少ない学部に女子の目が向けば、女子大の志願者が減少するのは仕方がないことだ。

女子の志向の変化に合わせ、女子大も変化している。22年度には奈良女子大が女子大初の工学部を設置し、共立女子大の建築・デザイン学部や京都女子大のデータサイエンス学部なども開設されている。24年度には、お茶の水女子大・共創工学部、日本女子大・建築デザイン学部などが新設される。近年はビジネス系など、女子の志向の変化に合わせた学部系統の充実が進んでいる。

女子大の魅力は教育・研究環境と高い就職力

女子大の志願者は減少傾向でも、女子大に期待する受験生は少なくない。首都圏の女子校の進路指導教諭は言う。

「女子の資格志向の高まりを感じますが、女子のみの教育・研究環境を望む生徒も一定数います。男子学生がいない分、リーダーシップを取りやすいなど、異性を意識せず自分の力を発揮できる環境を重視しているのでしょう」

教育・研究環境以外にも大きな魅力がある。それは、就職力の高さだ。女子大は全般的に実就職率が高い。大学通信が医学部と歯学部の単科大学を除く全大学を対象に行なっている就職状況調査によると、23年3月卒の大学生全体の平均実就職率が87.9%なのに対し、女子大だけの集計では、89.6%と1.7ポイント上回っているのだ。左下の「平均実就職率の推移」を見ると、近年この傾向が続いていることが分かる。リーマンショック以降、大学生の実就職率が最も落ち込んだ10年においても、女子大は大学全体の平均値を上回っていたのだ。

2023年 女子大の実就職率

設置 大学名 所在地 実就職率(%) 卒業生数 就職者数 大学院進学者数
聖徳大 千葉 97.5 840 815 4
和洋女子大 千葉 95.5 758 718 6
ノートルダム清心女子大 岡山 95.2 509 473 12
東京家政大 東京 95.0 1,515 1,414 27
実践女子大 東京 94.7 1,017 949 15
昭和女子大 東京 94.6 1,419 1,306 39
椙山女学園大 愛知 94.6 1,428 1,326 26
鎌倉女子大 神奈川 94.2 663 618 7
女子栄養大 埼玉 93.9 536 491 13
武庫川女子大 兵庫 93.3 2,028 1,827 69
神戸女子大 兵庫 93.1 867 798 10
安田女子大 広島 92.2 1,228 1,112 22
甲南女子大 兵庫 92.1 1,114 1,013 14
日本女子大 東京 92.0 1,522 1,279 132
京都女子大 京都 91.3 1,360 1,184 63
東京女子大 東京 90.7 871 753 41
十文字学園女子大 埼玉 90.6 967 873 3
金城学院大 * 愛知 90.4 1,170 1,042 17
大妻女子大 東京 89.4 1,656 1,468 14
共立女子大 東京 89.2 1,062 933 16
津田塾大 東京 88.6 731 608 45
同志社女子大 京都 88.4 1,264 1,089 32
神戸女学院大 兵庫 87.9 607 500 38
聖心女子大 東京 87.2 546 444 37
相模女子大 神奈川 86.7 953 821 6
白百合女子大 東京 86.6 506 421 20
跡見学園女子大 東京 85.4 1,124 951 11
宮城学院女子大 宮城 85.3 811 686 7
大阪樟蔭女子大 大阪 84.8 609 512 5
フェリス女学院大 神奈川 84.6 547 446 20
神戸松蔭女子学院大 * 兵庫 84.4 618 508 16
日本女子体育大 東京 83.8 524 425 17
駒沢女子大 * 東京 80.3 610 486 5

表の見方
◆表は各大学発表による2023年の就職状況(7月10日現在)。
◆アンケートに回答のあった大学のデータをもとに作成。卒業者数500人未満の大学は除いた(「平均実就職率の推移」のグラフは500人未満の大学も使用した)。
◆実就職率(%)は、就職者数÷〔卒業生(修了者)数-大学院進学者数〕×100で算出。
 設置の◎印は私立。大学名横の*印はデータに大学院修了者を含んでいることを表す。
◆データに一部の学部・研究科を含まない大学がある。

「女子大の実就職率」で現時点での大学別の実就職率を見ると、最も高いのは97.5%の聖徳大。教員養成や福祉、看護など、就職に強い資格系学部で構成される大学だ。以下、和洋女子大▽ノートルダム清心女子大▽東京家政大▽実践女子大▽昭和女子大▽椙山女学園大▽鎌倉女子大▽女子栄養大―。

女子大の実就職率が高い背景には、1986年の男女雇用機会均等法の施行以前、女子学生の就職が厳しかった頃に蓄積された、丁寧で面倒見の良い就職支援が今に受け継がれていることが挙げられよう。さらに近年はキャリアセンターと教員の連携が進み、就職支援の充実が進んでいる。

23年度の一般選抜では、主要女子大の志願者数が10%近く減少した。倍率は低いが就職力は高い、お得感が増している女子大に再注目すべきではないか。

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