百年の歴史に根ざした新技術へのアプローチ-東京工芸大学

百年の歴史に根ざした新技術へのアプローチ-東京工芸大学

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東京工芸大学は2024年4月、工学部情報コースをリニューアルする。「データサイエンス」「AI・コンピュータサイエンス」「画像・写真応用」の3コースで次代を支える人材育成に取り組む。画像分析の教授・内田孝幸博士のインタビューを通じて見えてきたのは、時代の最先端を走るという建学の精神の息づかいだった。

取材 井沢 秀(大学通信)

時代の最先端習得と感動生む技術の追求

―まずは情報コースの改編について教えてください。

昨今の世の中で、DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が声高に叫ばれています。ChatGPTですとか、AIですとか、そういう言葉もごく普通に聞かれるようになりました。さらに、例えば建築の設計図であったり地形であったり、文化財などもすべてデジタルデータで残しておこうという流れもあります。消費者の動向という点でもキーワード検索で世の中の動きを知ることもできます。このように情報デジタルインフォメーションというものが非常に重要性を増している、という環境の変化が改編の大きな理由です。

―消費者行動まで情報化する中で、情報を学んだり研究したりするにあたり、東京工芸大学の特徴はどのようなものでしょうか?

今年、東京工芸大学は100周年を迎えます。創立時は「小西寫眞専門学校」という写真の専門学校でした。東京の商家に生まれた六代目の杉浦六右衛門が、イギリス出身の貿易商サムエル・コッキングとの出会いをきっかけに写真材料の商いで財を成し、最後のライフワークとして「写真技術を後世に残せる人材育成」という考えに至りました。それが本学のアイデンティティーです。100年経った今、そのアイデンティティーを進化させ、「情報技術を後世に残せる人材育成」を行っていくのが新しい情報コースです。

写真というのは人を感動させる技術だと思うんです。なので、ただ写せばいいのではなく、撮り方や芸術性、そして技術。例えば最新の3DのAR(拡張現実)やバーチャルリアリティの分野でも、ただ面白いとか立体に見えて楽しいということだけではなく、やはりそこに最新の情報技術が加わったとき、人は感動できるわけです。そのような技術を伝える、というのは私どもの大学の使命であり、その理念は他大学とは一線を画すところなのではないかと思います。

―先ごろ開催された江の島国際芸術祭では、大学創立のきっかけを作ったサムエル・コッキングのパネル展示や、内田教授も光と色のテクノロジーを使ったアート作品を展示されるなど、建学の精神を象徴する取り組みでした。

そうですね。工芸というと一般的にクラフトという言葉を想像する方も多いでしょうが、東京工芸大学はサイエンス&アート、もしくはエンジニアリング&アートという、工学と芸術という2つの学部がある独自性を持っているということです。それを感じてもらえたらうれしいです。

―情報コースの改編はデータサイエンス、AI・コンピュータサイエンス、そして画像・写真応用という3つの学びで成り立っています。内田教授の専門分野である「画像」の学びについて教えてください。

画像という学問はこれまで高校生にはイメージしづらかったと思います。しかし今、例えば最新のiPhoneなどですと、被写体の周りをくるくる回って撮影するだけでデジタルの立体が作れる機能があります。そういう技術が出てきて、一般の方の認知度が高まり「情報」の中に「画像」が入ることに違和感がなくなってきたのではないかと思います。

まず、1つはレンズ、私たちの大学が昔からやってきている、いわゆる光学です。これはカメラのレンズというだけではないんです。半導体の超高性能なものを作るときには超微細化という作業が必要なのですが、これを可能にするのは短波長化したレンズです。その最先端を含んだ光学設計は、他の大学にはないカリキュラムになると思います。

次に、新しく取り組んでいるものが「フォトグラメトリー(多視点画像からの3D構築技術)」と「LiDAR(ライダー=光を使った測距)」です。例えば今、自動運転のバスなどで使用されているのですが、レーザーが当たって反射してきた時間差で障害物との距離を測るんです。フォトグラメトリーとLiDARの技術を使うと、あっという間に精密なデジタル3Dができるんです。技術としては成熟しつつあり、これを学問として取り扱っていきます。

もう1つ、ドローンの原理とその法規についても学ぶことができます。ドローンは物を運ぶという輸送ロジスティクスだけでなく、カメラの性能向上でインフラの点検などでも生かされています。高度成長期に作られたインフラの保守において、効率のよさは圧倒的です。実はドローンの操縦士は昨年12月から国家資格になりました。情報コースでは、国家資格取得のための試験対策にも取り組んでいます。2023年に⼤学内に研究会を立ち上げ、ドローン国家ライセンス取得のための国の登録講習機関としての活動を開始します。(登録講習機関事務所コード T0232010、取得済)。

―画像というのは情報における「技術的」なものを中心に学ぶということですか?

私どもの大学は伝統的に、入学したすべての学生は工学と芸術両方のセンスを学ぶ必要がある、という考え方があります。工学部なので工学技術だけを修得すれば良いという話ではなく、芸術のセンスもある程度身につけるカリキュラムがあるというのが他大学と差別化できるところだろうと思います。

―キャリア教育や就職支援はいかがでしょうか? 情報コースならではの進路のイメージも教えてください。

2年ほど前には関東の理工系大学で就職率1位になったように、就職に対するバックアップは非常に熱心です。CA(カリキュラムアドバイザー)といって、1年生から研究室配属となる3年生前期までクラス担任のような教員がついて、悩み事や進路の話をしながら指導します。

情報系の求人というのは今、すごく多いです。クリエイティブなものから情報システムを保守するようなもの、さらにインフラの保守やサイバーセキュリティーに関するものまで。一般企業でいえばデータアナリストにもニーズは高まっていますね。今はその分析が会社の運命を左右するような時代です。

日本は保守的な体制で技術を抱え込んでしまったところがあります。今、伸びているものはほとんどオープンアーキテクチャーです。様々なものの仕様が公開(オープン)され、それが世界中でどんどん改良されていく。そのようなオープンアーキテクチャーの考え方を取り入れ、新しい技術を積極的に学んで社会に巣立っていってもらうというのが基本的な考え方です。

―情報コースにはどういう生徒が向いていると思われますか?

例えばDXなど、最近の情報技術に興味を持って、好奇心を働かせる学生は非常にウェルカムです。工学部だから数学ができなきゃだめ、ということではないので、新しいセンスを持った方たちに来ていただければありがたいですね。

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