複数の中高による探究学習イベント
「明日の思考力コンテスト~湘南 春の陣~」見学日記

複数の中高による探究学習イベント<br>「明日の思考力コンテスト~湘南 春の陣~」見学日記

<PR>

編集部です。今回は最近見学してきたイベントの中から湘南白百合学園中高(藤沢市)を会場にして行われた「明日の思考力コンテスト~湘南 春の陣~」をご紹介します。

イベント概要

新年度の境目の2023年3月29日(水)湘南白百合学園で午前9時過ぎから14時前まで半日ほどのボリュームで「明日の思考力コンテスト~湘南 春の陣~」が開催されました。

参加校は湘南白百合、逗子開成、サレジオ学院、そして今年から山手学院の計4校で参加人数は合計39名という見ごたえのある規模でした。

こちらのコンテストは今年で2回目の開催となります。もともとは昨年会場校の湘南白百合学園が比較的地域が近く探究学習に造詣の深い男子校2校(逗子開成、サレジオ学院)に声掛けをして始まったものだそうです。今年はさらに2つ新しい要素も加わりました。一つは新たに共学校(山手学院)も加わったこと。これで男女共学がすべて揃いエリアの中核をなす進学校の生徒が一堂に会して協創作業を行うイベントとなりました。もう一つは今年から[日本OECD共同研究 国際共創プロジェクト「壁のないあそび場-bA-」さんすう数学あそびZa]が後援としてついたことで大きくパワーアップしました。

イベントの様子

編集部は別取材の合間に立ち寄っていたため一日通しで見学したわけではないのですが。
他のイベントとの違いから触れていきます。まず参加校は決まっているもののその構成が希望者ベースでバラバラであるところが非常に興味深いと思いました。

参加者39名

湘南白百合 8名
サレジオ学院 12名
山手学院 6名
逗子開成 13名

学年は中2と中3が中心なものの中1もちらほら。当日運営の中心となったスタッフ生徒は昨年の同イベントに参加した湘南白百合と逗子開成の高校1年生です。

事前にアプリでAからHまでの8つのチームに編成されます。所属の学校だけでなく学年や性別もシャッフルされます。同じ探究であっても気心が知れた、年齢が同じ、学力や物事のリテラシーが近い者同士での活動とはまったく違うものとなります。いろんなモノの壁(ボーダー)を手探りで乗り越えていく作業です。編集部は後に行われるグループワークや発表の様子はもちろんですがまずこの座組みに一番感動したかもしれません。
分けられたA~Hの8つのグループで2つの課題に取り組み、発表を行っていきます。

課題その1(4校の先生方による作問)
長く回るコマを作ろう!

厚紙と割りばしを使って点対称かつ非線対称という羽部分の形に制約をつけながらどうやったら少しでも長い秒数回るコマを作成できるかグループワークで競います。

骨格や羽部分の長さや大きさの組み合わせ、場合分けをしながらみんなで実験をしていました。

課題その2(昨年参加の高校生たちによる作問)

地域活性化問題

北海道のとある新幹線沿線の町の産業担当部長に着任したという設定でどうしたらその町が活性化していくのかを考える取り組みです。

その町の統計だけではなくさまざまな過去の先達たちの事例や他地域の試み。企業情報などを参照しつつ戦略やストーリーを組み立てていきます。こちらの方が普段私達や他学も含めた世間が探究と聞いて馴染みのある作業かもしれません。ただしやはり「初めまして」であり年齢も違い、得意不得意も違うひとと思考や想いを合わせていく作業は見ていてもとても大変なものでした。観光資源や農業に着目するグループ。生活者に寄り添い福祉的な観点からアプローチするグループ。日本の同様の問題を抱える他地域の成功事例を転用しようとするグループ。

切り口もいろいろでさらに各グループの代表発表者のプレゼンテーションのトーン(大学生ゼミ風、ビジネスパーソン風、漫才風)など各校の色が出ているのが見て取れました。

終わりに

わたし達大人の中では協働作業というとついつい、選りすぐった集団でそれぞれ自分が持つ得意なことや武器を持ち寄って最大効果や化学反応を追い求めるものだけをイメージしがちです。しかし生徒たちの様子を見ているとグループ内で表情をお互いに見つつ、役割分担を決めたり、時間のない中じっくりと相手が意見や言葉を用意できるまで待つなど他者に寄り添うことがしっかりとできていました。また成功も失敗もなくプロセスを大切にして自分らしく発表して行けばいい、という否定しない暗黙のルールもきちんと適用されているなど逆にこちらが気づかされる瞬間が多くありました。来年度のイベントを見学するのが早くも楽しみです。

中学・高校のことカテゴリの最新記事

ユニヴプレス