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中央大学法学部といえば、これまでに数多くの弁護士や裁判官、検事を世に送り出してきた法曹養成の名門。近年は、法科大学院を経て司法試験に合格する学生が中心となる一方で、司法試験予備試験を経て学部在学中に合格を果たす学生もいます。その一人が、法学部法律学科4年生の市野陽己さん。では、市野さんは、どのような思いで司法試験対策に取り組んできたのか。学科の“先輩”でもある曲田統教授を交え、司法試験を目指す上で大切なことや、中央大学法学部の魅力について語っていただきました。
取材・文 鈴木秀一郎
「苦しいときにこそ伸びる」というプラス思考
曲田 統教授
中央大学法学部法律学科卒業後、同大学院法学研究科刑事法専攻博士後期課程修了。2005年に中央大学法学部助教授となり、2010年より現職。
市野陽己さん
法学部法律学科4年
鹿児島県立加治木高等学校出身
―市野さんが法曹を目指したきっかけから教えてください。
市野 私が将来の具体的な目標として法曹を志した原点は、1年間の浪人期間中です。高校時代から公民系の教科に興味があり、法学部を志望していたところ、予備校で中央大学の説明会があり、司法試験での合格実績などを知ったことがきっかけです。入学後は、中央大学の多摩キャンパスに設置されている学生研究棟「炎の塔」を拠点とする「真法会研究室」に所属しました。この真法会は、司法試験合格を目指す学生の団体で、優秀な先輩が多いほか、弁護士として活躍されている卒業生とも交流できますし、中央大学の法科大学院でも指導されている“実務家教員”の弁護士事務所を見学したこともありました。裁判所や検察庁を見学する機会もあり、それまで“お堅い存在”と考えていた法曹を身近に感じることができました。実務家としての将来をイメージできたことは勉強のモチベーションになりましたし、多くの先輩方から試験対策のノウハウをはじめとする豊富な情報を得られたことも心強かったですね。有用な情報に容易にアクセスできる環境に身を置いている大きな安心感がありました。
曲田 司法試験は最難関といわれますし、試験対策には言うなれば“苦行”みたいな側面も現実にはあります。多くの学生は「自分では無理なんじゃないか」といった不安を抱き、恐怖感を口にするケースすらあります。市野さんは、そんな恐怖に支配されることなく、不安でも飛び込んでいく勇気やチャレンジ精神を発揮してきたのだと思います。
―市野さんも不安は感じられましたか。
市野 先生のいうとおり、苦行であったことは間違いありませんし、不安がなかったといえば嘘になります。私が挑戦した予備試験は、多少なりとも無理をしないと学部生では合格できませんし、ほとんどの学生は法科大学院を経由して司法試験合格を目指しますので、かなりの圧縮です。苦行だからこそ努めてポジティブに考えて行動しなければメンタルがもちませんし、私は「苦しいときにこそ伸びる」と考えられたことが功を奏したのだと思います。
曲田 前向きな気持ちで勉強をしていける学生は強いですよね。市野さんは浪人したとのことですが、マイナスに捉えられがちな経験もプラスに転換して、歩みを止めない強さを身につけてきたのだと思います。もちろん大学入学後でも身につけられますし、それを後押しするのが教員の責務なのですが、一朝一夕で培うことのできる資質ではないことも確かだと思います。
市野 まさに浪人中の経験は無駄ではありませんでした。当時は予備校で寮生活を送り、絶対的な勉強量の確保が求められる環境でした。その勉強中心の生活習慣が染み込んだまま入学したことは、短期合格の大きな原動力になりました。不安を感じているくらいなら勉強しますし、司法試験の範囲は広いですが、結局のところ苦手科目をつくらないよう、時間をかけてすべてクリアしていくしかないんです。
司法試験で課されるのは実質的に1科目!?
―市野さんはどのような意識で、どのような大学生活を送ってきたのでしょうか。
市野 予備校には通わず、日々の授業と、中央大学の「法職講座」をベースにしました。法職講座は反復学習で理解を深めていくカリキュラムですので、小さな目標をクリアしていく積み重ねです。周囲にも1年次から法曹を目指す学生がいましたので、仲間でありライバルでもある学生と支え合い、ときには刺激し合いながら、「コツコツ勉強していけば大丈夫」「周りに流されるくらいで勉強していけば法曹になれる」と考えたときもありました。先輩方を見ていても、毎年全員が難関の法科大学院に進学していたので、「とにかくついていければ大丈夫」という思いでした。また、予備試験を経て短期合格を果たす先輩もいれば、法科大学院に進学して合格する先輩もいましたので、法曹になるためには多様なルートがあることも認識できました。法科大学院に進学するルートが原則だと考えましたが、やるからには予備試験に合格したいという思いが強かったですね。なお、実務では膨大な量の法律を扱いますが、司法試験で課されるのは7科目のみです。しかも、それらの根幹は同じだからこそ、特定の科目が苦手だといった話は、周囲からもほとんど聞いたことがありませんし、司法試験対策は1科目と考えてもいいくらいだと思います。
―具体的な“勉強量”を教えてください。
市野 試験本番の半年前からはコンスタントに6時間前後を勉強に充て、長くても10時間未満だったと思います。ただ、直前の1か月間は1日12時間ほど勉強しました。ラストスパートは暗記に費やす時間が長くなるので、直前は自ずと勉強量が増えるものです。もちろん中身の理解が大切ですが、司法試験は「勉強することができるか否か」を評価する試験だと感じたほどです。周りにはスポーツ系のサークルや部活動に所属している学生もいましたし、私も塾講師のアルバイトは続けていましたので、大切なのはバランスとメリハリだと思います。
曲田 市野さんはキャパシティーが広くて、力の掛け具合も上手だったのだと思います。言うまでもなくトップレベルですので、ほかの学生に同じことをさせようにも簡単ではないのですが、そこで中央大学が推奨しているのが、法曹になるための「LAW&LAW」というルートです。これは法学部の法曹コースで3年間学んで早期卒業し、法科大学院で2年間学ぶ一貫教育プログラムです。最初の3年間を法学部で過ごすことに大きな意味があり、日頃の授業で法解釈の基礎を叩き込まれ、ゼミなどで法廷での議論の仕方を身につけます。学部を3年間で卒業しようと思えばモチベーションも高まりますし、ポテンシャルも発揮されます。大変さもありますが、自分を成長させるプロセスだとポジティブに考えることが重要ですね。
長期的な視野を持った企業法務のプロを目指す
―市野さんは、司法修習後の進路も決まっているのですか。
市野 弁護士として企業法務を中心に一般民事にも携わりたいため、その両方を扱える比較的規模の大きい法律事務所に内定しています。企業法務はベンチャー企業に関係する訴訟や、デジタル社会ならではの訴訟など、時代を反映した案件も増えていて、数十年前と比べると弁護士の需要が幅広くなっていることがわかります。もっとも、在学中は企業法務に特化した勉強をしたり、判例を読み込んだりしてきたわけではありません。というのも、これまでは司法試験に合格することが何よりの目標。合格してしまえば、あとはやる気次第で興味のある分野に進めるからです。今後の目標は、クライアントが抱えている目の前の課題を解決するだけでなく、将来的にどうしていきたいのかを汲み取りながら、長期的な視野でクライアントに貢献できる弁護士になることです。
曲田 ニーズが多様化して、法曹の使命も広がってきているからこそ、大学で学ぶ内容も多様化し、多面的になってきています。さまざまな領域に踏み込んだ学びも重要になりますので、法学部内だけで完結させることなく、他学部と横断的に学ぶ機会を創出していきたいですね。
―その拠点となるのが2023年4月に開設される茗荷谷キャンパスですね。
曲田 茗荷谷キャンパスでは、都市機能を最大限に活用することができます。法律事務所や企業の見学やインターンシップなどをとおして、学生の将来に向けた選択肢を広げていきたいと考えています。法曹界の実務家も招聘しやすくなりますし、後楽園キャンパスの理工学部と連携した文理融合型教育も促進していく方針です。市ケ谷キャンパスの法科大学院も近くなりますので、法曹養成での連携も活発になります。
市野 真法会でも、茗荷谷キャンパスへの移転が話題の中心になっていますが、炎の塔も移設されるようですし、恵まれた環境は変わりませんので、後輩や受験生には中大のメリットを存分に活用してほしいですね。もし明確な目標がなく、漠然とした気持ちで入学したとしても、周囲からの情報を遮断せずに、まずは多様な情報に耳を傾けてほしいと思います。
自らの成長を感じながらさらなる飛躍を遂げてほしい
―法曹養成以外で感じた法学部の魅力もお聞かせください。
市野 中大の法学部には1学年で約1400人の学生がいて、得意分野や将来像もさまざまです。民間企業を目指して就職活動に臨んだ学生からは、私が法律事務所を決める際に、自己PRやエントリーシートの書き方でアドバイスをもらいましたし、公務員志望者からは官庁訪問でのエピソードなどを聞く機会があり、視野が広がりました。多様な強みを持った仲間と出会えた経験は、法曹としての将来にも生かされると思います。
曲田 それぞれに強みがあって、目指す道が違っても尊重し合える環境ですよね。また、1年次からゼミ形式の授業が多いので、学生は教員とも深く関わりながらさまざまな情報が得られます。
市野 ゼミは少人数ですし、先生方との接点も多かったですね。司法試験対策は、ある意味でパターン化されていて、暗記という単調な作業に頼る部分もある一方で、学びの純粋な面白さを感じられたのは、ゼミをはじめとする学部の授業でした。グループで調べものやディスカッションを行いながら、プレゼンテーション力などが磨かれました。
―最後に、先生から受験生へのメッセージをお願いします。
曲田 卒業後にどんな道に進むとしても、大学では物事のオモテとウラを意識して複眼的に見る習慣をつけて、問題の分析や解決策の提案につなげてほしいと思います。そのためには学修対象を広げながら、バランス感覚も身につけることが肝心です。もちろん実際の学習では難解なテーマに向き合うこともありますが、多少の難しさが面白みにつながることを実感してほしいと思います。受験生も学生も、大切なのは自分の潜在的な力を信じて、学ぶ楽しさを見つけることです。少しずつでも自分の成長を確かめながら学んでいくことで、ある段階になって加速度的に伸びていく学生を何人も見てきました。ぜひ、中央大学で自分の成長をかみしめながら、将来に向かって歩みを進めていってくれることを願っています。
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