コロナ禍、グローバル化、情報化社会…不透明な社会を切り拓く人材を養成するリベラルアーツ

コロナ禍、グローバル化、情報化社会…不透明な社会を切り拓く人材を養成するリベラルアーツ

幅広く自由な視野で事象を捉えられる人材を養成

コロナ禍やAIの進化、グローバル化、少子高齢化などにより、将来が見えにくくなっている。そういう時代に求められるのは、確かな思考力や判断力を持って事象を俯瞰できる人材。それは、文理を横断的に学び汎用的な能力が身につく、リベラルアーツで養成される人材像と一致する。

リベラルアーツは、人文科学、自然科学、社会科学、芸術などの各分野を横断的に学ぶ手法。幅広い知識をベースとして、仮説を立てて検証することを繰り返すことにより、思考力や判断力を涵養し、幅広く自由な視野で事象を捉えられる人材を養成する。こうした不確実さを増す社会で活躍できる人材を養成する学びとして、リベラルアーツが注目されている。

例えば、AIの進化による産業構造の変化。近い将来、現在日本にある職業の半数近くがAIや機械に置き換わる可能性があると言われる。それは、新たな産業が創出されることを意味するが、高度経済成長期のようなお手本はなく、ゼロからイノベーションを創出する必要がある。そうした状況では、リベラルアーツで養成される幅広い視野を持った人材は頼もしい。

グローバル化も日本が抱える大きな課題。日本が世界でのプレゼンスを高めるには、グローバル人材の養成が急務だが、外国人と対等に交渉するには、語学力だけでは足りない。幅広い教養とコミュニケーション能力も不可欠だ。リベラルアーツは、教養はもちろん、少人数でのグループワークや発表などを通じて、コミュニケーション能力についても養うことができる。

導入大学の増加でリベラルアーツの可能性が広がる

リベラルアーツ教育による、自ら未来を切り拓ける人材の養成に多くの大学が乗り出している。

千葉大の国際教養は、文系学部と理系学部、医療系学部を持つ総合大学のスケールメリットを生かし、文系と理系の枠を超えた学びを展開する。「国際+日本+科学」をバランスよく混合することにより、世界が抱える課題について、日本の文化・技術を用いて解決する能力を身につける。

関西学院大・国際は、文化・言語、社会・ガバナンス、経済・経営の三つの領域を中心に、人文社会科学から広範な内容を学ぶ。こうした「タテの学問領域」に、北米研究、アジア研究という「ヨコの地域別コース」を掛け合わせることで、タテ・ヨコの垣根を横断した学びを展開し、幅広い視野に立った世界理解・国際理解を備えた人材を育成する。

武蔵大は2022年4月に国際教養を新設する。日本にいながらロンドン大学の学位取得ができる、「パラレル・ディグリー・プログラム」を軸に据える経済経営学専攻と、英語と異文化体験を通してグローバル人材を育成するグローバルスタディーズ専攻において、世界水準の学びを展開する。

リベラルアーツ教育はアメリカのリベラルアーツカレッジを源流とする。そうした大学の中で、最も歴史が古いのは国際基督教大。教養学部には、経済学や歴史学、生物学、数学、教育学、心理学、音楽など、30を超える多様なメジャー(専修分野)が用意され、2年次までの様々な学びを通して、3年次になる前に一つまたは比率を変えて二つのメジャーを履修する。

国際基督教大は、広大なキャンパスに学生の3割程度を収容する学生寮があり、日本人学生と留学生が共同生活をすることで知られる。リベラルアーツは、少人数で仮説を立てて検証するグループワークを通して深化する。その実践のためには、学生がともに学ぶ寮の存在は大きい。国際教養大や立命館アジア太平洋大なども敷地内の国際寮で日本人学生と留学生が共同生活をする。国際寮は、リベラルアーツの深化と同時にグローバル人材養成において不可欠な異文化理解の場にもなる。

現在は、コロナ禍で留学や国際寮での活動が制限されているが、ワクチン接種や受け入れ先の安全状況などをクリアすることを条件に海外留学が徐々に始まるなど、国際交流に向けて動き始めている。

コロナ禍以降は、グローバル化がさらに進むことは間違いない。世界全体を俯瞰しながら、予見が困難な将来を生きるための学びを展開する大学が増えている。これからの日本を支える人材養成に向け、リベラルアーツのチャンネルが多様化することは心強い。

主なリベラルアーツ・教養系学部(学科)

所在地は本部の所在地。学部の所在地と異なる場合がある。
武蔵大・国際教養は2022年4月開設予定。

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