【関西学院大学の改革力CASE.3-1】質の高い就労の実現

【関西学院大学の改革力CASE.3-1】質の高い就労の実現

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関西学院大学の改革力
【CASE.2-1】国際教育の推進 学生のニーズに即した多彩なプログラムと、海外体験を後押しする数々のサポート
【CASE.2-2】国際学部 グローバル化社会が求める「踏み出す力」「柔軟性」を養う環境を整備
【CASE.2-3】国際ボランティア グローバルに学ぶこととは、「人としていかに生きるか」を考えること
【CASE.3-1】質の高い就労の実現
【CASE.3-2】「質の高い就労」へ至る関西学院大学での学び

多様性に満ちた環境で学び、次世代を担う人材に不可欠な「寛容性」を養う

例年のように実就職率が90%を上回るという、学生数5,000人以上の大学では稀なレベルの“就職の強さ”を誇る関西学院大学。同学では現在、単に高い就職率を目指すだけでなく、就職先への満足度や就職後の社会での活躍ぶりなど、就職をより広い視点で捉えたうえでの学生支援に力を入れている。「質の高い就労の実現」と呼ばれるこの取り組みについて、「NEWS ZERO」メインキャスターを2018年9月まで務め、同学で教鞭を執る村尾信尚教授に近年の社会情勢を交えながら話を伺った。

―村尾先生の感じている、現在の世界と日本の状況をお教えください。

世界も日本も、厳しい時代に入っていると僕は考えています。率直に言うなら、「気を引き締めないと大変なことになるぞ」という状況です。

世界情勢で言うと、ターニングポイントになったのは2008年のリーマンショックです。話はさかのぼりますが、1929年に世界恐慌が起こりました。そこから世界各国は保護主義に走り、1939年の第二次世界大戦へと進んでいった。これと同じことがリーマンショックをきっかけにして起こると危惧し、「自国第一主義になるな。国際協調を!」と訴えてきました。ところが実際は、イギリスのEUからの離脱やトランプ大統領の就任、近いところでは日韓関係の悪化という事象が起こっています。「気を引き締めてかからないと」と言うのは、世界恐慌とその後という類似の歴史があるからです。

国内で言うと、巨額の財政赤字という問題があります。これは先進国中最悪レベルと言っていいものです。現在、日本国民は1人あたり700万円の借金をしている状態です。僕たちやその上の世代は、子どもたちに耐え難いツケを先送りしてしまいました。この状況に対して、若い人による投票や消費行動で社会を変える動きが大きなムーブメントになるよう、僕も活動していきたいと考えているところです。

このほかに、気候の急速な変動という厳しい現状もあります。

―厳しい時代を生きていくこれからの若者には、どんな力が必要でしょうか。

寛容性です。これは今の日本に決定的に欠けている要素でもあります。寛容性とは、異なる人や文化、宗教などを受け入れる度量の広さのことです。ところが日本を見てみてください。民族は単一と言われています。みんなが3月に学校を卒業し、4月には進学や就職をします。あまりに周りの人が自分と同じだから、今の若い人のなかには、日本が世界のスタンダードだと思っている人もいるぐらいです。世界の人口を100人としたら、日本人はたった1.7人です。98人以上は自分と異なるのに、そのことを受け入れない。これは非常にまずいことです。だからこそ僕は、「若者よ、海を越えろ!」と呼びかけています。海外に出て日本が特殊だということを知り、自分たちとは違う発想や考え方に触れるのです。そのことがひいては、日本を戦争に進ませないための手段になると僕は考えています。

―村尾先生が担当されているプログラムについて、寛容性という観点も交えながらお教えください。

まず、「PBL 特別演習001【福島から原発を考える】」というプログラムがあります。このプログラムのポイントは、実際に学生が福島を訪問し、屋根が吹き飛んだ原発の建屋を間近に見ながら説明を受けたり、住民と対話したりという体験型の授業になっていることです。

プログラムに参加する学生のなかには、多少なりとも、放射能や原発に対して「怖い」というイメージを持っている人もいます。それが、福島で暮らす人と実際に話をし、福島の米や果物を食べてみることで、「怖がる必要はない」という理解へと変わります。体験することが、怖がっていたものを受け入れることへとつながるのです。

このプログラムでは、福島県庁の職員や原発関係者を招いての講義も行っています。「受け入れる」というスタンスを得た学生が、講義を通して復興の現状や将来像を学ぶことで、「それならば、自分はどうする?」と考えることにもつながっています。参加者のなかには、国のエネルギー政策に興味を持ち、大学院進学を経て経済産業省に入った学生もいますよ。

もう1つは「霞が関セミナー」です。霞が関の役人は、限られたいくつかの高校から限られた大学、しかも限られた学部を経由してきた人ばかりです。多様性とはまるで逆の、単一性が極まったような世界です。これでは現代社会にマッチする仕事などできません。そこで、従来の官僚が経由した道とはまったく違う、「地方の私立大学から官僚を目指そう。そうすることで、官僚組織を多様で寛容性に満ちた世界にしよう」という狙いで始まったのが霞が関セミナーです。

実は同じような問題意識は霞が関内部にも芽生えていて、それに呼応する形で本学がプログラム化したという経緯もあります。また、本学のスクールモットーである「“Mastery for Service”(奉仕のための練達)」との関連性もプログラム誕生を後押ししました。「社会に奉仕する職業と言えば公務員。その代表的存在である官僚を育てることは、スクールモットーの具現化にほかならない」という思いがあったのです。

霞が関セミナーでは、現役の官僚が本学学生と合宿をしてディスカッションを行っています。学生は官僚の考えや仕事内容を具体的に知ることができます。現役官僚も学生から刺激を受け、仕事にも好影響が出ているそうです。このプログラムが実を結び、中央省庁で勤務する本学卒業生も年々増えています。


ところで、役人の世界には学閥などがあるとまことしやかに言われています。これに関しては、元役人として、「そんなものはない」とはっきりと言っておきたいです。就職の段階では確かに、出身大学に偏りはあります。ただ、仕事をするうえで大切なのは出身大学の名前ではなく、やはり能力です。ですから、地方の私立大学出身でも官僚として活躍できるチャンスは十分にあります。むしろこれからの時代は、地方の私立大学ならではの視点や発想が役に立つはずです。本学だけでなく全国各地の学生に、大いに霞が関を目指してほしいと思います。

―関西学院大学の学生にはどのような特徴があると感じていますか?

英語で言う「decent」、日本語にするなら「品がある」という言葉が当てはまる学生が多いように思います。具体的には、マナーやエチケットをしっかりとわきまえていたり、他者に対する優しさや思いやりを備えていることです。これはすなわち、異なるもの、多様なものを受け入れる寛容性に通じていると思います。

パブリックの精神を備えた学生が多いことも特徴ではないでしょうか。他者のことや社会のことを考え、そのうえで自分がすべきことを考えるのです。「国際NGOで働きたい」という学生の声などは、その代表例です。

―高い就職率の背景には何があると感じていますか?

先ほど、本学学生は「品がある」と言いました。これは、「人間としての基盤がしっかりしている」と言い換えることもできると思います。企業にとっては非常に安心できるポイントでもあります。そのため、「関西学院大学の学生なら大丈夫」という高評価につながっているのでしょう。

品があることは、寛容性に通じているとも言いました。ということは、本学は寛容性を養う環境が充実しているという意味でもあります。このことが高い就職率につながっているようにも思います。例えば異文化への理解という点では、本学には外国人留学生が多数在籍しており、学内にいながらにして異文化体験ができます。本学学生が海外を体験し、海外で学ぶための留学制度や支援制度も充実しています。教員の多様性も重要なポイントです。学部から大学院へ進み、研究や学問の探究に邁進してきた教員もいれば、企業などで社会経験を積んできた教員もいる。私のように、選挙に出て落選した経験のある元官僚までいるんです。そういった多様な背景を持つ教員が指導に当たっていることが、学生の寛容性を磨き、企業からの高評価につながっているのかもしれません。

ただ、あえて言うなら、「そんなにも企業から好かれる学生でいいのか!」とも言いたいです。現代社会で求められる力を養い、それが結果として企業から期待される人材として成長していくことは大いに結構です。でももしかしたら、どこかのタイミングで、企業の利益と社会の利益が別の方向を向いてしまうときが来るかもしれない。そのときに“Mastery for Service”を実践する、すなわち企業の利益よりも社会の利益を選ぶ人になってもらいたいのです。「自分は会社員である前に、一人の市民なんだ」ということを忘れずにいてもらいたいです。

―最後に、読者へメッセージをお願いします。

これからの時代に不可欠な寛容性を養うためには、違いに溢れた環境、すなわち多様性に満ちた環境を経験する必要があります。となると、「いい大学」とは、「多様性のある大学」という意味になっていくとも言えるのです。関西学院大学は学生も教員も本当に多様で、寛容性を養うには最適の環境。間違いなく「いい大学」ですよ。

関西学院大学教授
村尾信尚(むらお のぶたか)
1978年、大蔵省に入省。総務部長として三重県への出向などを経て、1998年に主計局主計官に着任。2001年からは国債課長を務める。2003年、三重県知事選挙に出馬するも落選。同年、関西学院大学教授に就任する。以降、テレビなどでコメンテーターとして活動。2006年10月から2018年9月まで日本テレビ系「NEWS ZERO」のメインキャスターを務める。近著に『B級キャスター』(小学館)。

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