【関西学院大学の改革力CASE.2-2】国際学部 グローバル化社会が求める「踏み出す力」「柔軟性」を養う環境を整備│関西学院大学

【関西学院大学の改革力CASE.2-2】国際学部 グローバル化社会が求める「踏み出す力」「柔軟性」を養う環境を整備│関西学院大学

1889年にキリスト教の宣教師であり医師でもあるウォルター・ラッセル・ランバスによって設立された関西学院大学は、その成り立ちからして、世界に目を向け世界に貢献する人材の育成を目指している大学と言える。事実、歴代の卒業生の多くが国際機関やグローバル企業の一員として、世界を舞台に活躍している。そんな開学以来の国際教育をさらに加速すべく設置されたのが、2010年に誕生した国際学部だ。来年で設置10年という節目を迎える同学部の学部長、平林孝裕教授に話をうかがった。

「全員留学必須」の先に見つめる主体性を備えた人材育成

国際学部を語るにあたって、大きな特色と言えるのは「全員留学必須」、すなわち在学中に留学することが卒業要件になっている点です。とはいえ、これは近年の国際教育に取り組む大学では少なからず見受けられることです。では何が本学国際学部を特徴づけているかというと、「自分で情報を集め、分析し、判断する」という点です。

具体的に説明していきましょう。本学部では留学が必須ですが、「いつ、どの国・地域や学校で、どんな留学をするか」は決まっていません。逆に言うと、それらは学生個人の判断に委ねられているのです。

本学には、50カ国・地域、約250の大学と協定を結んでいます。それだけの留学先があるのです。期間も短期の外国語研修から1年におよぶ交換留学まで多彩です。その中から学生は、自分に合った留学プログラムを選択します。

その過程ではまず、「どのようなプログラムがあるのか」という情報収集を行います。プログラムを比較検討し、なおかつ自身の目標や研究、部活、アルバイトなどのライフスタイルとのマッチングを考えます。これが分析して判断するプロセスです。

なぜこのプロセスを経る仕組みにしているかというと、海外での生活は、常に情報収集と分析、判断が求められるからです。異なる言語、異なる文化の中での生活や学びには、“与えられる”姿勢では乗り越えることができない場面にも遭遇します。主体性をもって取り組むからこそ、海外で出会う苦労や困難に対しても解決策を見つけ出すことができ、成長できるのです。

これは留学という場面だけでなく、社会人になって働くうえでも共通することです。情報収集、分析、判断という海外留学を通じて得る経験は、主体性を養い、自ら考えて行動するという人間力の育成を見据えたものでもあるのです。

留学を経験した学生の多くは、「困難に対しても踏み出していく力がついた」「課題と向き合い、粘り強く、そして柔軟に取り組む力がついた」と振り返ります。踏み出す力や粘り強さ、柔軟性は、グローバル社会において非常に重視されている資質です。これは、与えられる留学ではなく自ら作り上げる留学だからこそ、養える力だと考えています。

判断の土台となる情報に触れる場を豊富に用意

適切な判断を行うには適切な分析が必要です。そしてそのためには、できる限り多くの情報を集めておく必要があります。そのため本学部では、学生が「自分は何をしたいのか」「国際学部で学ぶことが、どんな将来につながるのか」を考えるためのきっかけとなる場を数多く設けています。

例えば外交官や本学のOB・OGを含めたグローバル企業で働く方々を講師として招き、自身の経験を語ってもらう講座を設けています。グローバル化はなにも日本人が海外に出ていくことだけではありません。外国人を受け入れる日本の企業や自治体の取り組みも、グローバル社会ならではのものと言えます。そこで、地方自治体で活躍する講師による、インバウンドや移住外国人に関する取り組みをテーマとした講義も開催しています。

情報の収集・分析・判断にはある程度の時間が必要です。語学や外国文化に興味を持って入学する学生が多い国際学部と言えども、入学時に将来の目標や大学で専門的に学びたい内容までを明確に語れる人は、必ずしも多くありません。また、大学で学んだことによって、新たな興味と出会うこともあります。

そこで本学部では、「late specialization」と呼ばれる、比較的遅い時期に専門性を決める仕組みを導入しています。代表的な例としては、1年次に海外の文化や社会、国際関係、経済やビジネスに関する基礎を学び、2年次に留学を経験。そこでの体験を土台にして、3年次から専門分野を掘り下げていくというものです。この仕組みにより、自分が本当に学びたいこと、将来のために今学んでおくべきことを見つけ、取り組むことができるのです。

学生が主体的に判断し、学びの方向性を決める過程において、大きな役割を担うのは教員です。学生ごとに異なる悩みや希望があるため、必然的に指導は個人に応じたものが多くなります。そのため、本学部での教育は少人数制に重点を置いています。

1年次の基礎演習などは多くてもクラスの学生数は15人、3・4年次の研究演習も同様に15人を定員としており、教員が学生の希望や不安を十分に理解したうえで目標へと導くことができる環境となっています。

垣根を超えた学びで複雑化する現代社会を理解

従来、大学での学びは「経済」「政治」「文化」など、学問分野が明確に区切られていました。しかし現代のグローバル社会では、そういった垣根を抱えたままでは解決できない課題が数多く現れています。

例えば外国人労働者を受け入れることは経済の観点から始まった議論ですが、文化や宗教の違いなどによって思わぬトラブルが生じてしまい、その解決には政治の力が欠かせません。こういった現実に対処するためには、これまでのように特定の専門分野だけを学ぶのではなく、学問領域を超えた学びが不可欠です。それが、本学部の特色でもある、複数の視点から物事を見つめ、課題の解決方法を考える力を養う「学際的な学び」です。

具体的には、文化・言語、社会・ガバナンス、経済・経営という「タテの学問領域」と、北米研究、アジア研究という「ヨコの地域別コース」という2つの軸を設定。それらを掛け合わせることで自身の学びの注力点を定めつつ、タテ・ヨコの垣根を柔軟に横断した学びを展開することで、幅広い視野に立った世界理解・国際理解を備えた人材を育成しています。

複数の視点を養うという点では、2言語習得の後押しも本学部の特色です。言語は文化や価値観の象徴でもあります。英語を学んだときに驚きや発見と出会うように、フランス語や中国語を学べば、また新たな驚き・発見と出会います。言語の習得を通してその経験を重ねることが、「世界の見方は複数である」ことを体得していくのです。

本学部では、英語圏への留学だけでなく、「英語で授業が行われているアジアやヨーロッパなどの非英語圏」へ留学する学生も多くいます。そういった留学では、現地での生活を通して現地の言語や文化を学ぶことができます。また、福祉の先進国である北欧のように、現地ならではの社会の仕組みを学ぶことができます。

このような留学を通して自分の興味と出会い、専門分野を深く掘りさげるきっかけとする学生が多いことも、本学部の特色です。

キャンパス自体のグローバル化も進行中

本学の学生が海外へと出向くことが国際教育と考えられがちですが、本学、特に国際学部では、キャンパスにいながらにして国際教育が日常的に行われています。

まず、本学部では学生の約1割が海外からやってきた外国人留学生です。また、海外で暮らしていた経験を持つ、いわゆる帰国生も数多く在籍しています。彼ら・彼女らとともに学び、ともに過ごす時間が、すでに国際教育と言えます。

また、学内では主に外国人留学生を対象にして、英語で行われる授業も開講されています。この授業には、国際学部の日本人学生も参加することが可能です。日本にいながらにして、外国人とともに専門分野を英語で学ぶことができるのです。

世界と関わりたいという“思い”に期待

国際教育、あるいは国際学部という言葉からは、「英語が得意な人のためのもの」という印象を持つかもしれません。しかし、それは正しくありません。英語をはじめとした語学力は確かに重要ですが、それは本学部入学後に高めることができます。時間的にも質的にも充実した高いレベルの授業により、多くの先輩たちが入学後に大きな成長を遂げています。

むしろ、国際学部に入学する学生に対して私たちが期待しているのは、「世界と関わりながら何かをしたい」という熱い思いです。“思い”を胸に抱いた学生に対して、「何か」を見つけ出し、それを実現するための十分な環境が整っているのが関西学院大学です。多様で変化にあふれた世界へと一歩を踏み出す“思い”にあふれた方と、ともに学べることを楽しみにしています。

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