【関西学院大学の改革力CASE.2-3】国際ボランティア グローバルに学ぶこととは、「人としていかに生きるか」を考えること

【関西学院大学の改革力CASE.2-3】国際ボランティア グローバルに学ぶこととは、「人としていかに生きるか」を考えること

開発途上国に設置された国連機関で、広報活動などに携わる「国連ユースボランティア」。同じく開発途上国の教育機関やNGOなどに派遣され、さまざまな活動に携わる「国際社会貢献活動」。これら2つのプログラムからなる「国際ボランティア」は、関西学院大学の国際教育を大きく特徴づけるものだ。多数のゼミ生を国際ボランティアに送り出している国際学部の關谷武司教授と、プログラムに参加した桑原志帆さん(国際学部4年生)、西川智貴さん(国際学研究科2年生)に話をうかがった。

開発途上国を主な舞台にして、ミッションを背負って活動

關谷 関西学院大学における国際ボランティアは、2003年に国連ボランティア計画(UNV)と協定を結んだことが出発点になります。翌2004年にはUNVが運営するプログラムに初めて本学学生を派遣しました。

このときはまだ、派遣する学生数は年に4~5人ほどでした。その背景には、語学力や専門性などを育成する学内の環境がまだまだ限られていたことがあります。2013年からは「国連ユースボランティア」としてプログラム運用が開始され、現在は国内8大学の参画を得て、その中で本学は中心的役割を担っています。

また、国連の枠組みにとらわれずNGOなどと連携して幅広い活動を行うことができる、本学独自のプログラムである「国際社会貢献活動」もスタートしました。現在では年間40人ほどが参加するまでになりました。

国際ボランティアが本学の他の留学プログラムと一線を画している点を挙げるなら、学生が「ミッションを背負っている」ことがあると言えます。学生は国連やNGOの一員として現地に赴任します。赴任にあたっては、果たすべき役割が示されます。

そして、それを完遂するためには現地スタッフや現地で生活している一般の人たちとの協働が不可欠です。苦労が多いことは想像に難くないでしょう。しかし、だからこそ、得られるものが格段に多いプログラムだと言えます。

過去の価値観を揺るがし、新たな人生を歩み始めるきっかけに

西川 私は国連ユースボランティアでサモアに派遣されました。取り組んだのは、社会問題に対する現地の若者の意識を高めるというミッションです。そのための方策として、私は、現地の若者と協力してイベントを開催することにしました。イベントの企画やヒト・モノ・カネの準備などを行ったのです。

ところが、これがなかなか思ったようにいきませんでした。私にとっての「当たり前」が、サモアの人たちにとっては必ずしも当たり前ではない。自分がこれまで見聞きし、経験してきたことだけを土台にして考えたり行動していては、何も物事が前に進まないことに気付きました。

このことを学んで以来、「相手を変えることは難しい。ならば一旦自分が譲り、相手の思いを受け止めたうえで着地点を探していく」という姿勢で課題に向き合えるようになりました。

 

国際学研究科2年生 西川智貴さん

桑原 私は、国連ユースボランティアでザンビアに派遣され、現地の国連機関で広報業務を受け持ちました。滞在中、現地で親しくなった近所の家族との出来事が印象的でした。

このご家族には赤ちゃんがいました。おばあさんもいらっしゃいました。赤ちゃんはとてもかわいくて、家族に大切にされていました。おばあさんはたまに風邪をひき、そのときは家族みんなが心配していました。その様子を見て私は、「国が違っても、人ってみんな同じなんだ」と気づきました。でも、この赤ちゃんは成長しても学校へは行けません。家庭が貧しく、学校へ通わせる余裕がないからです。

日本では考えにくいこの現実を目の当たりにし、生まれた国が違うという理由だけで生じてしまう不平等さ、不条理さに胸が痛みました。そして、「恵まれた環境にいる自分が、問題の解決に向けて行動すべきだ」と感じました。

西川 私が国際ボランティアに興味を持つきっかけとなったのは、大学での講義の中で關谷先生がおっしゃった、「恵まれた環境にいる君たちは、言ってみればエリートだ。エリートが自分のことだけを考えて行動したら世界はめちゃくちゃになる。エリートこそ、他者のために行動すべきだ」という言葉です。

開発途上国を訪問し、この言葉が真実であることを強く実感しました。日本で生まれ育ち、周囲の支えがあって大学で学ぶことができた私は、世の中に貢献できる人材になることこそが使命であると、海外体験を通じて考えるようになりました。

 

国際学部 關谷武司教授

關谷 私はよく学生に、「君たちは世界のさまざまな国を訪れることができる。しかしそこで出会った人たちのほとんどは、おそらく日本を訪れることはできないだろう」と言っています。世界には、そういった不平等が歴然として存在しているのです。

この事実を前にして、何を感じ、どう行動するか。国際ボランティアは、それまでの自身の価値観を揺るがし、新たな価値観・人生観を構築していくための大きなきっかけとなっています。

世界を鏡にして日本と自分を見つめる

西川 大学に入学して以来、アメリカ、アジア、アフリカなど、さまざまな国や地域を訪問しました。海外を経験すればするほど、グローバルとは、むしろ日本や自分自身を見つめることだと感じています。

日本では考えられないような不便さ、不自由さ、不平等さの中にいながらも、笑顔で明るく暮らす人たちが海外にはたくさんいます。その様子を見ていると、「日本は本当に幸せなんだろうか? 本当の幸せを実現するためには、何をすればいいのだろうか?」と考えずにはいられません。

言ってみれば、世界を鏡にして日本を見つめるのです。それが海外体験の意義だと感じています。

桑原 海外体験を通じて、想像していた以上に、「日本という国は世界から知られていない」という事実に出会いました。日本に興味を持ってもらえないから、そこからやって来た私という人間にも当然、興味を持ってもらえません。逆に言えば、私自身を知ってもらうためには、日本を知ってもらう必要があるのです。

グローバルな人材とは、まずは日本を知り、自分自身を知っている人材のことだと考えるようになりました。そのうえで社会のさまざまな問題にアンテナを張り巡らせ、当事者意識を持って取り組む人のことだと思います。

国際学部4年生 桑原志帆さん

關谷 国境も文化も超えて活動できるのがグローバルな人材です。そこでは、情報を自分で集め、分析し、判断する力が欠かせません。いわば、「世界を自分で歩ける人」がグローバル人材です。

世界の価値観は多様です。1つの問題を巡って、価値観が対立することも珍しくありません。グローバル人材は、そのことを受け止めたうえで、より適切な判断を下していかなければなりません。このときの拠り所となるのが、より多くの人と共有できる普遍的な価値観です。これは、「人としての生き方」と言うこともできます。

この点において関西学院大学は、「“Masteryfor Service”(奉仕のための練達)」という、揺るぎない精神を持っている。日本では非常に稀な、そして秀でた伝統が、本学の学生をグローバル人材へと導いているように思います。

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