国際バカロレアディプロマプログラム認定校で真の国際人を目指す|三浦学苑高等学校

国際バカロレアディプロマプログラム認定校で真の国際人を目指す|三浦学苑高等学校

時代に合わせて教育が変わらなければいけないと言われているのはなぜでしょう。
その背景には、これまでのような暗記中心の勉強だけでは昨今の複雑化した社会で活躍するのが難しくなっていることがあります。
そんな中、注目を集めるのが「探究型学習」と「全人教育」を重視する国際バカロレアの教育。
その国際バカロレアディプロマプログラム(以下、IBDP)認定校に、新たに神奈川県の三浦学苑高等学校が加わりました。

地域に根ざした学校として知られる三浦学苑がIBDP認定校になったのはなぜなのでしょうか。
IBDPコーディネーターとして認定校となるための申請業務を中心的に担ってきた、英語科の田中宏作先生にお話を聞きました。


地域に根ざす三浦学苑がIBDP認定校に

社会に出る前に身につけておくべき力は一昔前とは大きく変わりつつあります。
これまでは勉強といえば「暗記」という人が多かったかもしれません。
しかしこれからは、自分でものごとを深く考えたり、それらを表現したりし、課題解決のためのスキルを養うことに重点が置かれるようになっていきます。

こうした教育に古くから取り組んできたのが「国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)」の教育プログラムです。
国際バカロレアは1968年にスイスのジュネーブで設立された非営利団体です。
「探究型学習」と「全人教育」を重視し、「国際的な視野」を持ち、より良い平和な世界を築くことに貢献する若者の育成を目指しています。
国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を得られるのも特徴です。

こうしたIBワールドスクールに新たに加わったのが神奈川県横須賀市に位置する三浦学苑高等学校。
「地域の子どもたちにとっての学び舎を」との理念から1929年に設立された歴史と伝統ある私立高校で、2019年に創立90周年を迎えました。

教育目標として「個性と自主性を持った国際人の育成」を掲げており、主体的・対話的な探究ベースの協働学習に積極的に取り組んでいます。
部活動も盛んで、サッカー、軟式野球、卓球、吹奏楽、女子バレーボール、女子柔道など多くの部が全国区で活躍。文武両道で頑張っている生徒が多くいます。

多様なコース設定も三浦学苑の一つの特徴。
2019年4月の時点では、「特進コース」「進学コース」「総合コース」「工業技術科」の4つの入学区分があります。
さらに国際バカロレア認定校となったことから、2020年4月には新たに「IBコース」が設置されます。

国際バカロレア資格を得ることで国内外の大学を目指せる

国際バカロレアの認定校となるには国際バカロレア機構が定める認定プロセスを完了する必要があり、認定までには通常2~3年ほどかかります。
世界共通のプロセスに基づいているからこそ、国際バカロレア認定校ではどの学校でも同じ高水準のIB教育を受けることができるのです。

国際バカロレアには年齢に応じて4つのプログラムがありますが、その中で大学入学資格である国際バカロレア資格を得られるのは16歳から19歳を対象とする2年間の「DP(ディプロマ・プログラム)」だけです。DPの授業は「日本語DP」の対象科目を除き、原則として全て英語で行われます。

国際バカロレア資格は国際的な大学入学資格なので卒業後は海外大学への進学を目指すことができます。
日本でも国際バカロレア資格が大学への入学資格として認められており、東大、京大、筑波大、横浜市立大、慶応大、法政大などをはじめとする多くの難関大学が推薦・AO入試で国際バカロレア資格を活用した入試を実施しています。

三浦学苑はこのディプロマ・プログラムの認定校です。
日本国内でDPの認定校となっているのは、市立札幌開成中等教育学校、筑波大学附属坂戸高校、東京学芸大学附属国際中等教育学校、玉川学園高等部、東京都立国際高校、神奈川県立横浜国際高校、法政大学国際高校、立命館宇治高校など45校。
そのうち学校教育法第1条で規定される、いわゆる「1条校」は28校あります(2019年7月現在)。もちろん三浦学苑も1条校です。

1条校で国際バカロレア教育を取り入れる学校では、学習指導要領と国際バカロレア、両方の内容を適切に扱えるようにカリキュラムが編成されています。

国際バカロレアの「マインド」が三浦学苑の建学の精神や教育目標に一致

三浦学苑はなぜ国際バカロレア認定校を目指したのでしょうか。
英語科教員としてIBDPコーディネーターを務める田中宏作先生は次のように説明します。

IBDPコーディネーターを務める田中宏作先生
IBDPコーディネーターを務める田中宏作先生

「国際バカロレアの掲げるミッションの中に『全人教育』というキーワードがあります。これは三浦学苑が掲げる理念と全く同じです。IBには学校のあり方や育てたい生徒像など『ミッション』や『ビジョン』が強く打ち出されているのですが、それらと三浦学苑の建学の精神や教育の考え方に共鳴する部分が大きかったのです」

全ての国際バカロレア認定校は、グローバルな視点を持って世界平和に貢献する人材を育てるために「IBの学習者像」に高い価値を置いています。
具体的には

  • 「探究する人」
  • 「知識のある人」
  • 「考える人」
  • 「コミュニケーションができる人」
  • 「信念をもつ人」
  • 「心を開く人」
  • 「思いやりのある人」
  • 「挑戦する人」
  • 「バランスのとれた人」
  • 「振り返りができる人」

という10の人物像が定められていて、DPのカリキュラムを通じて、こういった人物に成長することが期待されています。

「地域に根ざした国際人」を育みたいと考えてきた三浦学苑が抱く生徒像と、国際バカロレアの生徒像が近かったからこそ、既存の三浦学苑の教育との融合がスムーズに進んだといえるでしょう。

学びのプロセスを評価するために国際バカロレアの考え方を生かす

国際バカロレアのカリキュラムは、アクティブ・ラーニングの重視など生徒の探究心を育む内容となっています。
暗記や詰め込み式ではなく「思考力・判断力・表現力」を重視し、「学び方を学ぶ」ことを大切にするその姿勢は、次期学習指導要領の内容とリンクする部分がたくさんあります。

2013年に特進コースを作った三浦学苑は現在まで大学合格実績を着実に伸ばしてきました。
ただその結果、「見方が結果重視に偏りがちになりつつあった」と田中先生は振り返ります。

「受験学力を身につけるのはもちろん必要なのですが、そのプロセスを評価することも大切です。学校での学びがどんなスキルアップにつながったのか、受験学力以外の部分も見えるようにしたいと考えていたところでした。IBの掲げる『学び方を学ぶ』『プロセス重視』『スキル重視』といったキーワードを見た時に、これはいけるんじゃないかと直観しました」

国際バカロレアの考え方は「IBコース」だけでなく、三浦学苑の他のコースにとっても新たな教育の指針となっているそうです。
田中先生によると、「IBコースの一部の科目は他コースの生徒も選択授業として受けられるようにしたい」と考えているそうで、そのための仕組みを構想中とのことです。

三浦学苑ではこれまでも個々の教員が授業の中で工夫を凝らし、新しい授業を模索してきました。
たとえば英語の授業では、「食」というテーマで生徒にスピーチを課す中で、スピーチの素材を選び、必要とする情報を探し出し、発表までのタイムマネジメントを行う、といった多様なスキルを伸ばしています。

IB教育では探究的で協働的、そしてスキルベースの教育をする必要があります。
そのために、それぞれの生徒の発達段階に合わせた形で授業を展開する「差別化」も必要になります。
成績に関してもペーパーテストだけで判断されるわけではありません。

こうした手法は他コースにも広まりつつあり、「IBコース」に限らず学校全体で新しい評価方法を少しずつ取り入れているといいます。

「事前の学習が必要で個々の教員は大変に感じるでしょうが、教え方や学び方を変えることに私たちもチャレンジしなければいけません」(田中先生)

チャレンジングな高校生活を通して地域に根ざした真の国際人を目指そう

三浦学苑の「IBコース」の卒業生は、国際バカロレアディプロマ資格(以下、ディプロマ資格)を取得し、その資格を利用した入試方式で国内・海外の大学への進学を目指すことが想定されています。

図書室では対話的、協動的な学習への環境が整っている。Wi-Fi接続も可能。
図書室では対話的、協動的な学習への環境が整っている。Wi-Fi接続も可能。

ディプロマ資格の取得には、指定の必修科目を修了し、国際バカロレアの外部評価と学校の内部評価で合計24点以上(45点満点)獲得することが必要です。必修科目にはExtended Essay(課題論文)や、TOK(知の理論)、CAS(社会奉仕的活動、スポーツ・芸術・創造的活動など)といった特徴的な科目も含まれます。

ディプロマ資格の資格取得について田中先生は「そう簡単なことではない」と断言します。資格取得には本人の2年間に及ぶ継続的な努力が必要なのは間違いありません。

三浦学苑では生徒のディプロマ資格取得をサポートするのはもちろん、資格は未取得だがディプロマ・プログラムの課程は修了した「サーティフィケイト」の扱いで受験を認めてくれる大学が増えるように、大学へのアプローチも進めていくそうです。

最後に田中先生が三浦学苑の「IBコース」を目指す人に対してメッセージをくれました。

「三浦学苑は1条校なので、IBの資格だけでなく日本の高校の卒業資格も合わせて取ることになります。大変だとは思いますが、教員も一緒に成長していきたいと考えています。チャレンジングな高校生活に積極的に挑んでくる人を待っています」

三浦学苑は個性と自主性を持った、たくましい国際人を育てるための改革を進めています。
2020年の「IBコース」新設はその根幹をなす取り組みといえます。

三浦学苑の生徒が8月に主催した「よこすか・ゆめ・みらい」では、横須賀市や三浦半島が直面する問題について、専門家、地域住民、学生が一緒になって解決策を話し合いました。

地域を探究し、それを基礎として世界を探究する。
バカロレア認定校となった三浦学苑で真の国際人を目指してみませんか。

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