【大学別教員就職者ランキング】教員志望者の背中を押すように入試・採用試験の両面でハードルが低下中

教員志望者にとって、好ましい状況が続く。就職の面では教員採用試験の倍率低下が進み、入試の面では国公立大を中心に志望者が減少しているのだ。ハードルが下がりつつある教員への就職について、詳しくみていこう。

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低倍率が続く教員採用試験

公立学校の受験者は減少傾向で、近年は教員採用試験全体のハードルが下がり続けている。公立学校の倍率は、2011年度に前年の6.2倍から6倍にダウンしたのを期に下がり続けており、18年度は4.9倍だった。小学校に限ると、11年度の4.5倍から18年度は3.2倍に下がっている。教員になりやすい状況が続いているのだ。

もっとも、教員採用試験の倍率が下がったからといって、採用試験自体が易しくなったわけではない。教員の就職者が多い大学は、教員志望者の夢を叶えられる大学として注目したい。

「教員就職者数ランキング」（2018年）を見てみよう。

1位は大阪教育大。以下、愛知教育大、北海道教育大が続く。トップ3は明治時代にできた師範学校を母体とする大学だ。伝統の力が地元の教育委員会を中心に多くの教員を輩出する要因となっている。この3校は小学校のランキングでも同様にトップ3を占めた。

伝統ある国立の教員養成系大学は強い。前出の3大学に福岡教育大（5位）、広島大（6位）、千葉大（8位）、岐阜大（10位）を加え、7校がトップ10入りしている。

私立大に目を向けると、トップ10に入ったのは文教大（4位）、岐阜聖徳学園大（7位）、日本大（9位）の3校だ。やはり伝統校が強い。文教大と岐阜聖徳学園大は小学校のランキングでも私立大1・2位だ。

日本大は教育学部を持たないが、多数の学部を持つスケールメリットが強み。中学校のランキングで4位、高等学校のランキングで1位になっていることからも分かる通り、教科教員を数多く輩出している。

教育学部を持つ私立大では、玉川大（11位）、佛教大（14位）や関西学院大（16位）、明星大（22位）などが上位にランクインしている。

そんな中、1学年の在籍数が1000人程度の大規模な教育学部を擁する早稲田大は、24位と意外に伸びていない。これは、同大の教育学部が実社会の広い分野で活躍する人材養成を目指し、教員免許取得を義務付けていないからだ。

ランキングには入らなかったものの、特筆すべき実績を上げている大学もある。1つめは17年春に初めて文学部教育学科の卒業生が出た学習院大だ。教育学科の定員規模が小さいためランキングには出ていないが、初年度の卒業生全員が教員採用試験の1次試験をクリアし、大半が教員採用試験に合格した。歴史が浅くても教員就職実績が高い大学だ。

2つめは岡山理科大。理科大学であるため教員就職者のほとんどが理科・数学の教科教員に限られる中で、77位（96人）という実績を出した。

改善の方向に向かう教員の職場環境

教員採用試験の受験者減少と歩調を合わせるように、国公立大を中心に教員養成系の志望者が減少している。背景にあるのは、大学生の好調な就職状況と、教員を取り巻く環境の厳しさ。仕事の多忙さに加え、学級崩壊やモンスターペアレントなど、教育現場の厳しさを伝える報道があふれる中、教員になる意思がありながら民間企業への就職を選択する学生が増えている。

ただ、現在の教員が直面している課題は解決に向かって動き出している。過剰労働に関しては国による働き方改革が進む。モンスターペアレントなどに関しては、自治体や大学が様々な施策を打ち出している。

岐阜聖徳学園大は1年次から教育現場で実習を行い、そこでの課題を大学に戻って検証する取り組みを4年間繰り返すことにより、困難な教育現場に対応できるスキルの獲得を目指している。

大学の入り口である入試の倍率が下がり、出口である教員採用試験のハードルも低い。さらに教員を取り巻く環境改善が進んでいるのだから、教員志望の生徒にとって、この上ない状況だ。

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