【立正大学文学部】「基礎ゼミナール」で 自己認識を深め、実社会で活躍する。

【立正大学文学部】「基礎ゼミナール」で 自己認識を深め、実社会で活躍する。

文学とは、思想や歴史、社会構造、文学作品などを通して、「人間とは何か」を多面的に追求し、その研究成果を社会に還元する学問だ。文学を修める途上で培われる考察力、あるいは論理的思考力、自ら課題を見出して問題点を克服する力などは、実社会においても大いに求められる。文学部は、人間の本質を深く探るとともに、実社会で役立つ人材を育成する学問の場なのだ。


1924年の創設以来90年を超える歴史を有する立正大学文学部は、哲学科、史学科、社会学科、文学科日本語日本文学専攻コース、文学科英語英米文学専攻コースの5つの学科・コースで構成される。それぞれの学科・コースには特長ある専門的な学びが用意されている。

哲学科では、古代から現代まで人間自身が直面する変わらぬ問いと向き合いながら、自分を見つめ、世界を見つめることを追究していく。哲学科での学びから得た経験は、将来壁にぶつかった時に、それを乗り越える手がかりとなることだろう。

史学科では、歴史を見つめることで人や社会のあり方を見出していく。徹底した実証主義と現地主義の教育を特色としており、日本史・東洋史・西洋史・考古学のどの分野を専門に選んだとしても、史料を自ら調査できる力を養うことができる。

社会学科では、社会で起こるさまざまな事象について、理論や実際に現場で得た体験・経験を駆使して、その原因などを探り、社会に還元する。こうした作業を通じて社会で活躍するために必要な力を養うほか、「社会調査士」資格の取得を目指すこともできる。

文学科日本語日本文学専攻コースでは、言葉や文学の世界を追求し、日本の言語文化の歴史的、地理的な幅広さ、奥深さに迫る。世界の中の日本についても考える。言葉の本質にふれ、他者理解や自己表現の力を身につける。

文学科英語英米文学専攻コースでは、英米文化の基礎である英語と英語圏の文学・文化・思想を多角的に追究し、コミュニケーション能力を高めるとともに、国際社会で活躍するための力を身につける。異文化を学ぶことは自分自身を知ることでもある。

来春からは全ての学科・コースの学生が混じり合って学ぶ「基礎ゼミナール」がスタートする。どんな授業が展開され、立正大学文学部の教育の中にどう位置づけられるのか。文学部全体の特徴とともに、文学部長の島村幸一教授が語った。

島村幸一教授

―文学部は文学作品のみを学ぶ場ではありません。その対象は、思想、歴史、社会など多岐に渡っています。

島村 文学という学問は、基本的な資料を通して、社会、歴史、言葉、あるいは物語などを深く掘り下げていくものです。そうした作業を通じて自分自身を見つめ、自己認識をしていくことが、文学部の根源的、かつ大きな目標といえます。

文学部の学生には、好きなことを深く学びたいと考えて入学してくる人が多いです。その好きという気持ちを、どうやって意識化、あるいは社会化するか。それを大学の4年間で学んでほしいと思います。

好きだという気持ちは、あくまでも個別的、表層的な認識です。しかし、好きという気持ちが何なのかを考えることは、好きを普遍化することであり、自己認識につながります。学びを深め、自己と対話を重ねることで、その答えを導き出すことができるでしょう。

―文学部で扱うテーマは幅広いですが、数多くのことを広範に学ぶのではなく、専門性を高めていくのが特長です。

島村 調べたり考えたりしながら興味のあることを追求することが、学生の力になっていきます。だからこそ、本当に好きなことをやり抜くのがとても大切なのです。

立正大学文学部は専門性を究めることに重点を置いています。エキスパートの育成を目指しているのはカリキュラムからも明らかです。入学の時点から学科やコースを分けていますし、3、4年のゼミは持ち上がりで、2年間のゼミでの学びを踏まえて卒論を書いていきます。 ただし、専門性を高めるためには、専門科目だけを学べばいいのではありません。専門科目と密接な関係にあり、それを支える科目として、教養科目も重視しています。

近年の大学教育は、教養に対してあまり関心を向けてきませんでした。かつての大学には教養部があり、その中で教養科目の運営が行われていました。教養部が解体されたことで、教養科目に目が行き届かなくなった面はあるのではないでしょうか。改めて教養とは何なのかという問題を考え、しっかりとした形に教養科目を位置づけ、専門の学問と滑らかにつなげていく必要があります。

そこで本学では、1年生に向けた導入教育の共通化に取り組んでいます。来春から始まる「基礎ゼミナール」という授業もその一環です。専門科目を学ぶための基礎作りとなる、文学部らしい教養科目にしていきます。

 様々な考えが交錯する討論中心の基礎ゼミナール

―基礎ゼミナールは具体的にはどのような科目なのですか。

島村 1クラスを3人の異なる学科・コースの教員が担当する演習形式の授業です。学科やコースに関係なく、すべての学部生を40人から50人のクラスに分けて行います。SA(ステューデント・アシスタント)として上級生にも参加してもらう予定です。

授業は講義主体ではありません。グループワークや討論など、教員と学生がコミュニケーションを取りながら学ぶことを重視しています。授業で扱うテーマや進行方法などは、3人の教員が話し合いで決定します。異なる学科・コースの学生が議論をしていくことを含め、クラスにュニケーション力を重視した授業を行う英語科目です。授業は20人から30人前後の少人数クラスで行われます。

基礎英語は4人の常勤教員が教えていて、そのうち2人は英語ネイティブ教員です。教員間でコミュニケーションを取って、学生をよく見ながら授業を行っています。英語が得意でない学生も多いので、課外活動として英語でバスケットボールを行うよって授業の展開は全く違うものになるでしょう。

たとえば、あるクラスで戦争というテーマを扱ったとして、哲学の教員の視点と、歴史学や文学の教員の視点では、同じテーマでも議論の進め方やまとめ方に違いが出てきます。何を専門としているかで議論の切り口が異なるからです。こうした学問の違いやズレのようなものをなど、英語に対する苦手意識を取り除くための工夫を随所に取り入れています。

基礎英語では、4人の教員が作成した独自のテキストを用いて学習を進めます。統一されたテキストに沿って授業を行うことで、すべてのクラスで一定の語学力の水準を確保することを目的としています。―基礎ゼミナールと基礎英語は、どちらもコミュニケーシ感じ取ることが、学生にとっては学びになります。

大学に入学したばかりの学生には、何を学びたいかが明確ではなく迷っている人もいます。そうした学生にとって基礎ゼミナールが、自分の興味を明らかにし、自己認識を深めるきっかけとなることを期待しています。自分が何者であるかは、他者との関係からでなければ分かりません。異なる学科のさまざまな人と混じり合いながら自分との違いを感じ、専門科目を学んでいく動機を見出してほしいですね。

―そのほかに導入教育の共通化の事例としては、どんなものがありますか。

島村 スタートからすでに4年が経過した「基礎英語」という科目があります。会話力やコミョンを重視しているのが印象的です。

座学を中心とする昔の一般教養では教員の話を一方的に聞くだけでしたが、これらの授業は対話をしながら学びます。学びを深める目的以外にも、コミュニケーションに対する壁を少しでも低くしてくれることを期待しています。

昔は自然と友達ができたものですが、今の学生はコミュニケーションが苦手で、友達ができるかを心配している人も少なくありません。自分以外の人と関わる機会を授業に設けるのは、そうした部分のケアも一つの狙いです。

社会で求められるのは学部名ではなく個の力

―就職率が数年前に比べて10ポイント近く上昇するなど、文学部の人材が社会から評価されています。どんな力を身につけることが、社会で活躍するためには大切なのでしょうか。

島村 就職活動を終えた学生からは、文学部という属性が就職活動に影響することはなかったと聞いています。多くの企業は学部による選別はしていないということなのでしょう。

本当に必要なのは、表現力や思考力、判断力、コミュニケーション力など、学生の持っている基礎的な力です。最終的に学生は、そうした力を持っているかを一人ひとり判断されることになります。資格取得も大切ですが、それは単なる一つの手段と考えてもらい、社会を生きていくための力を身につけてほしいと思います。

文学部は就職につながらない学部と語られることもありますが、決してそんなことはありません。さまざまな学科の学生と関わりながら多様な視点を知り、自分の位置を見定めてもらう。自分は何が好きなのかという自己認識を持って、専門的な学びを持続することで、社会で活躍するための人間力を培っていくのが文学部の目指す教育なのです。

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