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研究力というと国立大を思い浮かべるが、実は私立大にも研究力の高い大学は多い。実践的な技術者教育に定評のある金沢工業大学もその一つで、しかも研究力が教育力の源泉になっているという。一体どういうことなのか。科研費に採択された研究を見ながら探ってみよう。
科研費の採択数や配分額には国立大の総合的な研究力の高さが表れている。一方で私立大には得意分野で尖った研究を行う大学が多い。過去5年間の細目別採択件数が10位以内の機関数を見ると、国立大の83大学に対し私立大は110大学。特定の分野に限ってみると上位に位置する大学が多いのだ。
金沢工業大学(KIT)はそうした研究力の高い私立大の一つ。2016年度までの5年間における科研費の新規採択累計数では「科学教育」で3位、「生産工学・加工学」で6位だった。
具体的な研究について見てみよう。「科学教育」では「CDIOプロセスを活用した対話力向上支援のための工学系交流教育プログラムの開発」「状況に応じた判断でチーム活動を最善の方向に導く力を育成するための教育システム構築」のような対話力や判断力を養成する教育手法の研究や、「クリティカルシンキングを活用した専門基礎数理リテラシーの育成と評価」
など理工系大学ならではの専門職従事者や技術者を養成するための研究が行われている。新しい教育として注目を集めるプロジェクトデザインやCDIOなど教育の実践だけでなく、教育手法そのものの研究にも力を入れていることが分かる。
【技術革新と人材育成を担う最先端研究の数々】
「高度専門工学教育における実践的教育プログラムの構築」では、ジェットエンジンを搭載した模型飛行機を設計・開発している。時代のニーズに即した航空機技術者の育成を目的とする実践的教育として、講義・演習・実験・発表を一つの科目に統合し、分野の異なる教員や産業界の技術者による〝統合化チームコーチング〞を行う。学生は実際の航空機開発プロセスと
同じく、仕様の策定、基本設計、機能別の詳細設計、製作・組み立ての順で模型飛行機を作っていく。多分野の専門家がチームを組んで進める実際の開発プロセスに即した方法論を教育に導入することで学生は実際に近い航空機開発を体験できる。
「生産工学・加工学」では「非軸対称三次元曲面旋削・研磨加工システムの開発」「マルチワイヤーソーによる電子素子材料の鏡面スライシング加工に関する研究」など技術者教育に定評のあるKITらしい、ものづくりに関連する研究が並ぶ。
「非軸対称〜」の研究は自動車のエンジン性能を左右するカムという部品の加工に関する課題からスタートした。燃費の改善につながるとして注目を集める3次元カムは、従来型のシンプルな旋盤では加工が難しい。この問題に対して、旋盤の多軸化により多様な形状の加工に対応することを目指して研究が進んでいる。KITが開発した工作機械「NACS-Turning」は、
従来1時間かかっていた加工を40秒で行うという飛躍的な生産性を実現した。現在は新たに5軸の旋盤開発に注力し精度とスピードの向上を目指している。
その他には「骨に近い低弾性率を有する超弾塑性ベータ型チタニウム合金の微細加工技術の構築」「骨欠損部における高骨伝導能を有する人工骨の開発」など医工連携の研究も多い。KITと金沢医科大学は「医工連携による教育研究協力協定」を結び、医療分野におけるニーズや課題に応える新たな技術開発を目指しており、そうした取り組みは学部教育にも活かされて
いる。KITで開発された「NACSTurning」。リニアモーター技術や5ナノメーターの検出器の搭載、加速度10Gの実現などにより、飛躍的な生産性を可能とした。
【1年から学会発表を経験。医療と工学の架橋になる】
KITには学部1年次から参加できる100以上の実践的な課外活動プログラムがある。その中で顕著な成果をあげているのが、工学部機械工学科の新谷一博教授が進める「医工連携に基づいた人間にやさしい医療機械の創製」というプログラム。ある女子学生は金沢医科大学と連携して損傷した骨の修復を助ける生体材料を研究している。骨折した部位に入れる金属の足場材を工夫することで、実用化すれば完治までの時間を12週間から3週間にまで短縮が可能になるという。1年次から研究成果を学会で発表し、2年次には共同論文が学会誌に掲載されるということも珍しくない。学年に関わらずチャンスが与えられるのは、意欲の高い学生にとって魅力的な環境だ。
医療の知識を持つ技術者は医学と工学の翻訳ができる人材として医療機器開発などの場面で広く求められている。医療を通じて人の役に立つ仕事は医師や看護師だけではないのだ。ハイテク機器が高度医療を支える医療の現場では工学の知識も必要とされる。医工連携のプロジェクトは医療系と工学系、どちらの学生にも大きなメリットをもたらしている。
KITは学部において研究活動を重視した教育を行っているが、質の高い研究教育のためには学内で高度な研究を行うことが重要になる。良い教育を行うことで学生は教授の右腕として研究を担えるまでに成長していく。良い研究が良い教育のベースとなり、良い教育が良い研究を生み出していく好循環を大切にしているそうだ。そうした考え方が教育や研究の土台にある
KITは、これからも研究活動と教育活動が相互に高めあうことで優れた研究や人材を社会に送り出していくことだろう。
国の革新的イノベーション創出中核拠点に私立大学で唯一選定!
文部科学省が国際競争力の向上のために2013年度から開始した「革新的イノベーション創出プログラム(COISTREAM)」の中核拠点に金沢工業大学は私立大学で唯一選定された。炭素繊維などの革新材料を橋梁や高層ビル、洋上風力発電など社会インフラへ応用することを目指す。金沢工業大学の研究所が集積する、やつかほリサーチキャンパスにある革新複合材料研究開発センターでは、川上(材料開発などの基礎研究)から川下(インフラへの適用研究)まで一貫した研究開発を行っている。
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