1面倒見の良い大学ってなんだ?
そもそも、「良い大学」とは何なのだろうか?そう聞くと多くの人は「偏差値が高い大学」と答えるだろう。そして、それは「正解」だ。偏差値が高ければ大学に優良な人的資源とそれに相応しい教育を受けさせるための資金が集まる。そうすると優秀な人材の輩出校として大学の社会的評価も高まり就職先も良くなる。早慶上智GMARCHなどと呼ばれる有名大学は上手くこのループに入れているまぎれもない「良い大学」だ。
しかし、いうまでもなくこれらの大学は競争率が高い、どんなに望んでもどんなに頑張っても入学がかなわない可能性はある。
そうなると、とたんに難しくなってくるのが大学選びである。
なにせ、その他の大学は500校を超える。このあまたの大学から受験生はどうやって大学を選べばいいのだろうか?
そこで、参考にしていただきたいのがこの「面倒見の良い大学」ランキングである。
まあ、何とも抽象的な言葉だが、要は「全生徒に画一的な教育をするのではなく、基礎学習の学び直し・個別指導などで、学生のやる気を引き出し、社会人に必要な素養を身に着けさせた上で、就職活動等にあたっても的確なフォローや対策をしてくれる大学」といった意味合いだと思ってくれればいい。
正直これから紹介する大学は難関大ばかりではない。ただ、そこで学ぶことによって、ひょっとすると難関大以上に自身を成長させることが出来るかもしれない。
2、金沢工業大学が11年連続のトップ!武蔵大学が2位
それでは、早速表1をご覧いただきたい。全国の高校指導教諭アンケート調査からわかった「面倒見の良い大学」ランキングである。
1位は金沢工業大。なんと11年連続のトップである。これにはどんな理由があるのか。
まずは勉強面での指導。入学後、学生が理解あるいは履修してこなかった科目について、高校時代からの学び直しをサポートしている。また日本で初めて数理工教育研究センターを設け、数学、理科、工学基礎教育の習熟度アップを目指し、個別指導も行っている。ここまで基礎教育に拘っている大学は異例で、学生の成長率は高い。
次に生活面。なんとこの大学、ポートフォリオという名の「生活指導」がある。しかも必修である。そしてその内容とは「一週間ごとに毎日、自分の行動履歴、なぜ授業を休んだか、どの科目を何時間自習したか、課外活動の時間、果ては食事、睡眠時間まで記録しアドバイザーに提出し意見をもらう」といった非常にハードなものだ。正直、遊び盛りの大学生にとってはきついかもしれない。しかし、社会人でもおろそかになりがちな自己管理をここまで徹底的にやれば、成長が早くなることは間違いない。さすが11年連続首位である。
実就職率は「卒業生1000人以上の大学」ではトップであり大手企業への就職もその半数を占める。入学時偏差値以上の実績だ。もはや同校は面倒見の良さでは殿堂入りクラスだろう。
2位は武蔵大学。同校は「ゼミの武蔵」として評価が高い。もともと中規模大学だが、さらに1~4年次までゼミを必修にすることにより少人数教育に力を入れている。ゼミは学部ごとに様々で、学内だけは完結せずに取材、調査などを通して社会とつながることもあり行動力やコミュニケーション力がつくだろう。また、ゼミ大会など成果を発表する場も他大学以上にありチームワーク力、表現力等も養われる。
私も、取材で同校のゼミ発表会に参加させていただいた事があるが、研究成果発表の場というよりお祭りといった方がしっくりくるほど、明るく活気があり発表者もそれを聞く学生も楽しそうだった事が印象的だ。このような切磋琢磨できる環境があることと、その環境を実現させている優れたカリキュラムや教員の厚いサポートが同大を面倒見のいい大学上位に押し上げているのだろう。
今回は上位二校を紹介した。もちろんこの他にも東北大、明治大等の有名大学もランクインしているので、自分の学力と相談しながら研究を重ねてほしい。
3自分の面倒を見てくれそうな学校選び
その高低はどうあれ、多くの受験生は願望と現実の狭間の中で志望校を決めざるを得ない。
ならば、今の自分の欠点も含めた能力・適性を直視し、その上で自分を伸ばしてくれそうな大学、「自分の面倒を見てくれそうな大学」を探す事も一つの方針になりうる。
大学の適切な指導と自分の頑張りがあれば大学入学後の逆転も十分可能だ。