1.英語外部試験利用入試とは?
外部試験利用入試とは英検やTOEICなど民間が行っている試験の点数を出願資格などとして入試に利用するというもの。英語教育においては4技能(読む・聞く・話す・書く)を重視するという文科省の要請を受けて導入が進んでいる。現在、実際に導入している大学は立教大、法政大、上智大など一部にとどまるが、文科省有識者委員会は「大学入試に外部試験を導入する現実的方法」というレポートを出すなど意欲的であり今後、導入校は広がっていくと考えられる。
では具体的に、どのような形で導入されているのか見てみよう。
2、「英語試験免除」「センター英語満点換算」様々な利用方法
上智大では2015年度入試から一般入試に加えTEAP(注1)利用型の入試を導入している。これはTEAP4技能の内、学部ごとに指定された技能において一定のスコアを獲得できれば「英語の試験は免除」になるというものだ。上智大学は、この制度を全学部に適応しており外部試験導入についてはもっとも進んでいる大学の一つだろう。
法政大も2016年度入試から一部学部で外部試験利用を開始する。こちらはTOEIC、英検等様々な資格に対応しており、上智大学と同じように基準スコアをクリアすれば英語の試験は免除となる。対象となる資格が多い分利用しすいかもしれない。
外部試験をセンター利用入試に適応したのは立命館大だ。法学部・理工学部を除いた全学部において、外部試験で基準スコアをクリアすれば「センター英語満点換算」となる。
注1:上智大学と日本英語検定協会が独自に開発したテスト。英語4技能(読む・聞く・話す・書く)ごとに科目が分かれている。難易度は英検準2級~準1級程度。
公式サイト:http://www.eiken.or.jp/teap/
3、見様によっては「抜け穴?」外部入試のメリット
このように、様々な広がりを見せている外部試験利用入試だが、受験生の視点から考えると意外にメリットが多いのかもしれない。
まずは、単純に「試験にチャレンジできる回数が多い」というのが挙げられる。TEAPは年三回、さらにTOEICだと受験の回数制限が無いため、その気になれば一年に十数回以上受験することも可能だ。まあ、やみくもに受験しても結果はついて来ないだろうが、少なくとも従来の「一発勝負」よりは安定して実力通りの結果を示すことはできるだろう。
さらに、各大学の外部試験利用方法にも注目だ。例で上智大学は英語の試験が免除になると説明したが、これは同時に「英語では点数に差がつかない」という事でもある。TEAPスコアはあくまでも「出願資格」でありそのスコアの高低は合否にかかわらないのだ。
「英語以上に得意な科目がある!」という受験生にとっては大きなアドバンテージなるだろう。また、大学によっては外部試験利用入試の方が一般入試と比べて英語の必要レベルが低いケースがある点も見逃せない
文科省の方針もあり外部試験利用入試は今後も広がっていくだろう。各大学ごとの試験要綱を見極めて自分に有利なものがあれば積極的に利用していこう!