75年の伝統を誇る文学部の進化形 2025年4月、清泉女子大学は総合文化学部・地球市民学部の2学部体制に

75年の伝統を誇る文学部の進化形 2025年4月、清泉女子大学は総合文化学部・地球市民学部の2学部体制に

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1950年に文学部単科大学として開学した清泉女子大学は、現在の文学部5学科体制から、2025年度に「総合文化学部」と「地球市民学部」の2学部体制へと改編される。開学と同時に設置された歴史ある文学部の“進化形”として新設される2学部の特徴について、各学部の学部長に就任予定の藤井由紀子教授と、辰巳頼子准教授に伺った。

構成 東久世克樹(大学通信)
 文 鈴木秀一郎

伝統を守り建学の精神を体現する学部改編

[総合文化学部 学部長就任予定]
文学部 日本語日本文学科
藤井由紀子教授

―まずは学部改編の概要からお聞かせください。

藤井 今回の学部改編で重視したのは、本学の伝統的な学びの体系に基づいて、より現代社会にマッチする教育環境へと「進化」させることです。検討段階では、カトリックの“シスター”が女子大として本学を設立した背景までさかのぼって存在意義を問い直し、「まことの知・まことの愛」によって人と社会への貢献方法を探求しようとする建学の精神を再確認する機会にもなりました。学部改編は、シスターの教育への「熱意」と、学生に対する「愛」を受け継ぎ、教職員が一丸となって学生のために議論を重ねた結果なのです。

辰巳 2025年度には、「清泉スタンダード」という新たな基幹教育プログラムも始動します。シスターの思いや建学の精神に触れる科目もありますので、ぜひ本学の根幹にある理念を理解してもらえればと思います。

総合文化学部は3領域 地球市民学部は2領域

[地球市民学部 学部長就任予定]
文学部 地球市民学科
辰巳頼子准教授

―では、具体的に2学部の特徴をお聞かせください。

藤井 総合文化学部は、現在の日本語日本文学科、英語英文学科、スペイン語スペイン文学科、文化史学科の4学科を集約した上で、「日本文化領域」「国際文化領域」「文化史領域」の3領域に分類します。人類が築き上げてきた文化を多角的・総合的に考察する学部ですが、文化を学ぶことは、文化を生み出す人間を学び、文化をとおして人間を理解することと同義であると考え、英語の学部名は“Faculty of Humanities”としています。

入学後は、1年次にオムニバス形式で幅広い学問に触れる「総合文化スタディーズ」という科目を配置。「ファッション」「プリンセス」「戦国時代」の3テーマについて、異なる専門性を持つ教員陣が、それぞれの観点で授業を行います。多様な切り口と多様な解釈を認識した上で、専門的に学びたい分野を見極めるための科目です。

加えて、現在の4学科分の科目が結集されるため、学生は「プログラム科目」と呼ぶ190の選択科目の中から、興味・関心に沿って自由に履修科目を選んで知識を広げられます。

一方で、専門教育も1年次から始まります。領域ごとに「専門コア科目」があり、ゼミナール形式で論理的思考力や分析力、課題解決力を養うほか、特に重視するのが想像力。異なる文化圏の営みや、自分とは立場や文化的背景が異なる人々の思いを想像する力を磨きます。社会的な課題から文化的なコンテンツまで、その背景や、その先の未来に思いをはせられる想像力は、不確実で予測困難な現代社会で必要不可欠な力なのです。

―地球市民学部についてもお聞かせください。

辰巳 地球市民学部は「地域共生領域」と「ソーシャルデザイン領域」に分類します。履修できる科目はほぼ共通ですが、地域共生領域では英語力、ソーシャルデザイン領域ではITやメディア関連のスキルアップを目的とする必修科目を配置します。

その上で、学生全員が個別に社会課題の解決策を探求し、実際に学外でアクションを起こすプロジェクト学習を重視。1年次の「プロジェクト入門」から、2年次の「グループプロジェクト」、3年次の「研究プロジェクト」へと、学外での経験を積み上げます。その際に大切なのは、目の前の課題がいかなる技術で解決できるのかを判断するための知識です。例えば、企業や自治体の広報活動に挑戦するプロジェクトの場合、Webページの制作から、SNSの活用、アプリ制作、動画配信まで方法はさまざまであり、どの方法に何の技術が求められ、どのような効果が期待できるのかを知識として持つことが前提として求められるのです。そのためにも、“学内と学外”、“理論と実践”という2つの意味での循環型の学びを重視し、学内で学んだ理論を、学外でのフィールドワークで実践していくイメージです。

なお、本学は全国の女子大で初めて国際協力機構(JICA)との連携派遣覚書を締結しました。学生はJICAの海外協力隊の短期派遣に参加できるようになりましたので、学外での貴重な経験につながるものと思います。

「好き」や「楽しい」が学生を成長させる

―2学部の入試方式についても教えてください。

藤井 2学部ともに、総合型選抜、学校推薦型選抜、一般選抜・大学入学共通テスト利用入試を用意しています。まずは10月に1期と2期の総合型選抜を行い、総合文化学部の1期は課題図書方式、2期は小論文方式です。2期は3領域共通で文化論に関する課題文を読み、入学後に学びたい内容との関連性を論じてもらう想定です。その後、12月には学費免除者を決める総合型選抜も行います。

辰巳 地球市民学部の1期は、口頭試問が中心です。2期は指定する動画を閲覧した上でゼミ形式の授業に参加し、レポートを作成します。入学後の授業に近い形式のため、適性を確認する場になると思いますし、自分が「好き」なテーマを学問として探求していける醍醐味を感じてほしいと思っています。

藤井 オープンキャンパスでは、総合型選抜から一般選抜まで、入試方式別の対策講座を開くほか、“本学らしさ”がわかる「学び体験プログラム」や、在学生との交流プログラムも開催します。好きなテーマだからこそ、課題をやり抜く力が育まれ、結果的に自信を高めていけることを、ぜひ在学生の姿から感じ取ってもらえればと思います。

―最後に受験生へのメッセージをお願いします。

辰巳 地球市民学科では、2024年度から先行して教員と科目も増やしたところ、学生からは「楽しそう」「勉強したい」と大好評です。「自分の目標と大学で身につく力を“掛け算”すると、もっと楽しいことができそう」といった声が聞かれますので、受験生にも大いに期待していただきたいと思います。
藤井 そういった在学生の反応を知ると、学部改編は間違いではないと思えます。なお、社会で活躍する女性リーダーの育成を重視する大学もありますが、本学ではリーダーだけを育てようとは考えていません。育てたいのは、どんな立場でも自分で考えて決断でき、想像力を働かせて物事を円滑に回していける人材です。そして、何事も「女性だから」という理由で躊躇することなく、一人の自立した社会人として行動できる堅実な人材を育てたいと考えています。

辰巳 たとえ自らが一番美しく咲かずとも、堅実に“土”を耕し、“種”を蒔いて環境を整えていける人材は輝いて見えるものです。言うなれば、創立時の“シスター”のように、バイタリティとコミュニケーション力によって新境地を切り拓くことのできる人材へと成長していってくれることを願っています。

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