教育の「質」が問われる時代になってきた│国際基督教大学(ICU)

教育の「質」が問われる時代になってきた│国際基督教大学(ICU)

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学生と教員の多様性が国際性を高める大学のブランド力を客観的に測る指標が外部評価。国際基督教大学(ICU)は、世界大学ランキング日本版で私大1位(*1)となり、文部科学省からは、スーパーグローバル大学としてS評価を受けている。社会から高い評価を受ける要因はどこにあるのか。日比谷潤子学長にうかがった。

日比谷 潤子(ひびや じゅんこ)
国際基督教大学(ICU)学長

1988年5月ペンシルヴェニア大学大学院博士課程修了(Ph.D. in Linguistics)。1987年4月慶應義塾大学国際センター専任講師。1992年4月慶應義塾大学国際センター助教授。1994年9月ダートマス大学アジア研究プログラム客員準教授(慶應義塾大学学術交流協定による派遣)。2002年4月国際基督教大学教養学部語学科準教授。2002年9月国際基督教大学2003年度夏期日本語教育ディレクター。2004年4月国際基督教大学教養学部語学科教授。2004年4月国際基督教大学日本語教育課程主任。2004年7月コロンビア大学大学院東アジア言語・文化学科客員教授。2005年4月国際基督教大学教養学部語学科長。2006年5月国際基督教大学教学改革本部長。2008年4月国際基督教大学学務副学長。2012年4月国際基督教大学学長(現在に至る)。

学生と教員の多様性が国際性を高める

―Times Higher Education(THE)による、2019年の「世界大学ランキング日本版」で11位、私立大ではトップでした。評価項目である「教育リソース」「教育充実度」「教育成果」「国際性」のうち、教育充実度と国際性が2位と高い評価になっています。

教育充実度の大きな要素である、学生の評価の高さが上位に入った要因だと思います。学生が充実した学びができるベースとなっているのは、大学でその時しかできない体験や自分の存在意義が感じられる、入学後に伸びる小規模な大学であることだと思います。

●WORD*1
世界大学ランキング日本版
The Times Higher Education(THE)が様々な指標から高等教育機関をランキングする世界大学ランキングの日本版。「教育リソース」「教育充実度」「教育成果」「国際性」の4つの指標でランキングし、そのスコアの合計で総合ランキングを出している。

―教育充実度は高校教員への評判調査であり、教育への期待がどれだけ実現されているかがポイントです。どのような取り組みが評価されたと考えますか。

勉強時間や先生に対する質問が少なく、先生も課題にコメントをつけて返さないなど、大学生の学びに対する姿勢や環境が問題になっています。授業外の学習時間が少ないのは、それでも単位がとれるからです。ICUは授業外にしっかり学習しないと単位がとれず、卒業ができないカリキュラムになっており、課題には教員がコメントをつけて返します。

ICUの密度の濃い学びを支えているのは、1年次に主に日本語を母語とする学生は「リベラルアーツ英語プログラム(*2)」、主に日本語を母語としない学生は「日本語教育プログラム(*3)」を受けることにあります。

言語運用能力の向上をめざすことに加え、リベラルアーツ教育を受けるための独創的、批判的、主体的に考える力を養う授業を行っているのです。20人程度の少人数でたくさんの課題をやるなかで、大学で学ぶことはこういうものだと分かった上で、大学生活を進めていくことが大切であり、学生がよく学んでいることが高く評価されているのです。

●WORD*2
リベラルアーツ英語プログラム
主に日本語を母語とする学生が、ICUで学ぶために求められる英語力を養成する、1年次に英語で行われる導入教育。「異文化間コミュニケーション」や「生命倫理」などのトピックに関連した文献を読み、議論し、小論文を書くといった学術活動に取り組むなかで、リベラルアーツ教育に不可欠な独創的、批判的、主体的に考える力を身に付ける。

●WORD*3
日本語教育プログラム
日英バイリンガリズムを実現するために、大学内外で必要な日本語能力、および日本語でのアカデミックスキルを身に付けるためのプログラム。

―教育充実度とともに私大1位と高い評価を受けている国際性についてはいかがですか。

外国籍の学生が約10%という学生の多様性に加え、約40%に上る外国人教員の多さも、国際性の評価の高さに寄与しています。学生同士だけではなく、学生と教員とのディスカッションなどを通し、様々な考え方があることに気づくことは、グローバル社会で生きていくのに不可欠です。

学生の4人に1人がキャンパス内で寮生活をしていることも併せて、ICUには多様性を理解し認めることができる、グローバル人材を養成するための最高の環境があるのです。

―将来的に世界大学ランキング日本版のランキング順位が上がる可能性はありますか。

企業人事や研究者が卒業生の活躍を評価する「教育成果」の順位が高くありません。日本の上場企業が中心となって評価する企業の評価で、外国企業の就職者が多いICUのスコアが伸びないのは仕方がないと思いますが、研究者の評価はランキングアップのポテンシャルはあります。

ただ、研究者の評価ポイントとなる論文数の多寡は、教育と表裏一体の関係にあります。教員が論文執筆に時間を割くあまり、学生の相談や学生と協働する授業などに支障が出ないようにしなければならないと思っています。

私立大で3校のみのSGU「S」評価に

―社会からの評価という点で、ICUはスーパーグローバル大学(SGU)に選ばれており、中間評価で最高のS評価を受けました。ICU以外のS評価は、私立大では2大学しかありません。

文科省の競争的資金の評価は、掲げた教育目標が高い次元で実現できていないと下がってしまいます。SGUの場合、留学の送り出しや受け入れの数値目標が達成できた大学がS評価をとっています。SGUに採択されたから急に受け入れや送り出しを増やすために海外の大学と協定を結ぶのは無理があり、協定を結んでも、留学先の大学の説明を十分にできないかもしれません。留学しても卒業が遅れないなどの教育システムの充実も重要です。

ICUは海外の大学と長年の交流の蓄積があり協定を結ぶための交渉にも慣れているため、申請した目標値の達成度が高くS評価となったのです。

―SGUに採択される前から、スーパーグローバル大学だったということですね。SGUの採択により設置した学修・教育センター(*4)はどのような機能を果たすのでしょうか。

SGUとしてこれまで以上に多様な学生を受け入れることで、学生のタイプが変わります。一つのクラスにいろいろな学生が混在することになり、教員も対応を求められます。こうした多様性の深化に対応するために学修・教育センターを設置しました。

学生はさまざまな学修支援を、教員はFDや授業運営支援などを一カ所で相談できる場です。学生と教員の情報が集まり共有するハブ機能があり、教育や研究を総合的にサポートします。

●WORD*4
学修・教育センター
教員への教員支援オフィス、学生への学習支援オフィス、ライティングサポートデスク、グループラーニングエリアなどが一カ所に集まり、学生の様々な学修ニーズや課題に応じた支援を提供する。

人生の縮図のメジャー制で学生を育てる

 

―世界大学ランキングで評価される要因となった教育の充実度に、ICUでの最大の特徴であるリベラルアーツ教育も寄与していますか。

ICUのリベラルアーツ教育は、入学後に様々な学びを経て2年次の終わりに専門分野を決める(*5)メジャー制を採用しています。学生自身がよく考えて選択するプロセスはとても大事なことです。学びたいメジャーのすべてを選択することはできないので、捨てる経験をしなければなりません。

また、留学するかどうかなど、自分の学びの計画の中でさまざまな選択の機会があります。その際に後悔をしない納得感を持ってほしい。このようなプロセスを経験する学びの環境は人生の縮図であり、学生が大きく育つバックボーンとなっているのです。

もちろん、メジャー選択のプロセスにおいて最大限のバックアップをします。教員アドヴァイザーが学生一人ひとりに付きますし、学修・教育センターもメジャー選択に向けた情報を持って学生のフォローをしています。

―リベラルアーツ教育は大学院進学前教育の場という位置付けもあります。

アメリカで博士号を取得した人の学部出身大学を調べたところ、上位3校は、カリフォルニア大学バークレー校、ミシガン大学アナーバー校、フロリダ大学でした。いずれも大規模州立大学ですが、卒業生に対する占有率は数%程度です。

リベラルアーツ大学は規模が小さく出身者の人数は少ないですが、卒業生に対する占有率は20%程度と大きく上回ります。アメリカではリベラルアーツ教育で基礎をつくった上で専門を大学院で学ぶのが一つのスタンダードになっています。日本も、だんだんそうなると思います。

リベラルアーツの枠組みの中で多様な学問分野を専攻する学生とともに学び、その上で大学院で専門を深めるといいと思います。特に理学部や工学部を目指す受験生は、施設が充実している大規模大学を選ぶ傾向にありますが、理工系学部に進学するとその分野のことばかり学ぶようになり、専門を深く学べる分、視野が狭くなってしまうかもしれません。

ICUには理系のメジャーもあります。外国人学生や教員と出会うとともに、日本人同士でも違う分野を専攻している学生と学んだり、寮生活をしたりする中で広い視野を持った上で自分の学びを深めていくことができます。リベラルアーツならではの理系の学びができるので、理系分野を学びたい受験生もICUを視野に入れてほしいですね。

●WORD*5
メジャー制
幅広い科目を学んだ上で、2年次の終わりにメジャー(専修分野)を選択する。文学や物理学、心理学などの伝統的な学問分野のほか、平和研究、日本研究など問題解決型や地域研究型を含む31のメジャーがある。メジャーを一つ修める「シングルメジャー」。二つのメジャーを同時に組み合わせて履修する「ダブルメジャー」。2つのメジャーの比率を変えて履修する「メジャー+マイナー」の選択パターンがある。

5年間で大学院を修了できるプログラム

―5年で学部と大学院を修了できる制度があるそうですね。

学内の大学院の充実に力を入れており、5年間で学士・修士を取得できる「5年プログラム(*6)」があります。大学院で2年かかるところを1年で済めば、時間も学費も節約できます。修了してから、さらに国内外の博士課程で学ぶことも可能です。

―5年プログラムの中には、外交・国際公務員養成もあります。

ICUはこれまで多くの国際機関に勤める人材を養成してきました。ICUには独自で国際機関に就職する学生もいますが、大学院で道筋をつけることで、より多くの国際機関で働く人材を養成したいと考えています。その他に、IB教員養成や責任あるグローバル経営者・金融プロフェッショナル養成のプログラムもスタートしました。今後、5年プログラムはさらに分野を広げて展開したいと考えています。

―最後にICUで育つベースをつくるために、どのような高校生活を送ればいいのか教えてください。

こういう問題が入試で出るからこういう勉強をするということだけにならないようにしてほしいですね。高校の授業の勉強に加えて、新書などでいろいろなテーマの本を読むといいと思います。情報化社会が進み世界中の情報は日本にいながらにして取れ、その中には英語で読むものもたくさんあり、動画で音声の勉強もできます。英語の4技能に関しても、自分が興味のある分野に積極的に触れる中で、英語で聞く力や読む力が身に付くと思います。

大学に入学したら、ただ決められたことだけをやるという勉強の仕方は通用しません。高校生のうちからぜひ自律的に勉強に取り組んでほしいと思います。

●WORD*6
5年プログラム
学部4年次から大学院科目を履修することにより、学部4年、大学院1年の5年間で学士と修士の学位が取得できるプログラム。優秀な学部生に早くに高度な学位を授与することで、修了後の進路に多様な選択肢を提供する。大学院の入学金が免除され、大学院新入生奨学金に採用されると、大学院1年次の第一学期の授業料(授業料および施設費)が免除され、大学院での授業料は、第二学期分のみとなる。「外交・国際公務員養成プログラム」「責任あるグローバル経営者・金融プロフェッショナル養成プログラム」「IB(国際バカロレア)教員養成プログラム」の三つの学修プログラムがある。

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