人間教育と専門教育の融合によりサーバント型リーダーシップが育まれる―東京家政大学

人間教育と専門教育の融合によりサーバント型リーダーシップが育まれる―東京家政大学

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2025年度に新たな全学共通教育プログラムが始動

女性の「自主自律」を建学の精神として掲げ、1881年に創立された東京家政大学。現在は東京都板橋区と埼玉県狭山市の2つのキャンパスを持ち、6学部13学科合計約6700名の学生が学んでいる。大学通信調べの「2023年実就職率ランキング(卒業生数1,000人以上)」では全国女子大1位を記録したほか、看護師や管理栄養士などの国家資格も例年100%に近い合格率を誇っている。こうした実績を生み出す学びの特徴について三浦正江副学長に伺った。

取材・文 鈴木秀一郎
構成 副島光基

三浦 正江 教授 副学長 人文学部 心理カウンセリング学科

人間性と専門性を磨く6領域での共通教育科目

―早速ですが東京家政大学の“強み”をお聞かせください。

本学は、興味を持った学問分野をとことん探求し、高度な専門性を身につけていける6学部13学科の幅広い“入口”があり、国家試験での高い合格率や実就職率の高さなど“出口”の部分でも学生の納得感・満足感が高い大学だと自負しています。

ただ、所属学科で専門性を高める一方で、将来どのような道に進むにしても備えておくべき汎用的な素養や資質もあります。そのために現在、板橋キャンパスには学部学科を横断する「共通教育科目」があり、狭山キャンパスには「基礎教養科目」がありますが、2025年度にはこれを全学的に統一し、新たな共通教育プログラムとしてスタートさせます。変化の激しい現代社会を生き抜くために“すべての家政大生に身につけてほしい力”として、いわゆる教養教育として位置づけられるものですが、学生には“もう一つの学びの柱。もう一つの専門性”として積極的に多分野の学びに挑戦してほしいと考えています。

本学では、どんなに時代が変わっても持ち続けるべき人間性として、建学の精神「自主自律」と生活信条「愛情・勤勉・聡明」を掲げており、このプログラムでは、第一に人間性を磨くための「ヒューマニティー」領域を設けます。その上で、「データサイエンス×デジタル」「グローバル・コミュニケーション」「サステナビリティ」「ダイバーシティ&インクルージョン」「ヘルス&ウェルビーイング」という5つの領域別に科目群を設け、知識・スキルを体系的に学んで修得していけるカリキュラムを設計しています。各領域に必修科目や選択必修科目を配置するため、すべての学生が「ヒューマニティー」を含めた6領域を学ぶことになります。

―6領域について詳しくお聞かせください。

まず「データサイエンス×デジタル」は、今やどの分野に進むためにも不可欠な学びであり、データの意味を理解した上でアクションに活かす資質が求められています。本学では既に「データサイエンス基礎」という選択科目を開講しており、「意外と難しくない。もっと学びたい」との声が少なくありません。学生のニーズを感じる領域だからこそ、2025年度からは全学生が学ぶ必修科目となります。また、本学は文部科学省の「数理・データサイエンス・AI教育プログラム(リテラシーレベル)」の認定を取得済みですが、“もう一つの専門性”としてより深く学ぶ意欲のある学生向けに「応用基礎レベル」の認定取得に向けた検討も進めており、これも全学共通教育に組み込む予定です。

次に「グローバル・コミュニケーション」は、英語を中心とする外国語科目のほか、「異文化理解」をはじめ、海外の文化や習慣を日本と比較しながら学べる科目構成を想定しています。健康科学部のように学外での実習が多い学部や学科では、純粋に語学力の向上を目指す学生は多くありませんが、看護から保育、教育、福祉まで、学生が卒業後に進む現場には、海外にルーツがある方が増えつつあります。だからこそ、海外留学などの特別プログラムとしてではなく、普段から誰もが学べる共通教育の科目群として整備しています。

なお、異文化理解は「ダイバーシティ&インクルージョン」でも重要なキーワードになります。また、共生社会のあり方を学ぶ「ダイバーシティ&インクルージョン」と、持続可能な社会づくりを学ぶ「サステナビリティ」にも共通項があり、6領域を横断する学びによる相乗効果も見込んでいます。

そして、「ヘルス&ウェルビーイング」は、近年多くの企業が重視するようになった概念です。本学には、心身の健康を扱う看護学科、教育福祉学科、心理カウンセリング学科や、食をとおして人々の健康に貢献しようとする栄養学部まで、「人を支えたい」という志向性を持って学ぶ学生が多いため、この概念の意義や大切さを理解しておくことが重要なのです。

―何か特徴的な科目をご紹介いただけますか。

既に開講済みの科目ですが、「ヒューマニティー」の科目群には、1年次前期に「スタートアップセミナー自主自律」という必修科目を設けます。授業スタイルは、学部学科の垣根を越えた学生同士の協同学習が中心です。各学科の専門科目でもグループワークは多いのですが、学科が違えば着眼点や感性が大きく異なるケースもあるため、多様な視点に触れて視野を広げられると好評です。

また、この科目には2年生以上の学生がSA(Student Assistant)として参加します。「自分が1年次にSAの先輩にお世話になったから次は自分も」と、献身的で熱意溢れるSAに憧れて自らも手を上げるケースが目立ちます。「人を支えたい」という志向性がわかる好例です。

なお、グループで課題を進めるためには、授業時間外で学生同士が話し合う必要もありますが、学科が違えば時間割も違うため、調整能力も磨かれます。社会人になり、他部署と連携してプロジェクトを進める際などに求められるスキルでもあり、本学の実就職率の高さにもつながっているように思います。また、今後は1年次前期のグループが3・4年次に再び集結し、大学生活を振り返って語り合う機会も設けたいと考えています。

学生との信頼関係の構築がキャリアサポートの起点に

―共通教育の一方で、専門性はどう高めていくのでしょうか。

どの学科にも知識を蓄えるための講義科目と、実験・実技・実習などの実践的な科目がありますが、特徴は低学年次から実践的な専門科目を配置していることです。学習効果を高めるために少人数クラスとし、ここでもグループワークが中心です。

また、板橋キャンパスには幼稚園や発達障害を持つ未就学児向け施設などが併設されています。子ども向けのイベントや育児相談も行われており、児童学科や心理カウンセリング学科の学生の実習先としても活用されています。一方、狭山キャンパスには、保育所や小児科クリニック、産後ケアサロン、放課後等デイサービス施設などがあり、子ども支援学科や看護学科の学生の実習先となるほか、ボランティア活動先としても活用されています。板橋・狭山ともに、地域に開かれた大学である利点を生かして、学生が専門性を磨ける環境が整っているのです。

―専門性はどのようにキャリア形成につなげるのでしょうか。

本学は国家資格を取得して就職する学生と、国家試験は受験せずに一般企業への就職を目指す学生がほぼ半々に分かれます。学生サポートは教職員が連携して進めますが、国家試験対策や教員採用試験対策などのサポートは、主に各学科の教員が主導し、面接練習や補習などにも対応しています。

一方、一般企業への就職を目指す学生のサポートは、キャリア支援課や狭山学務課が主導して行い、その起点となるのは3年次の「全員面談」です。3年生全員がキャリア支援課の職員と面談を行い、志望や不安な点などを伝えた上で、個々に合ったサポートプログラムに移行する流れです。昨今はインターネットで簡単に“就活ノウハウ”を入手できますが、キャリア支援課で直接話すからこそ個別性の高いサポートが可能になり、学生が自力では見つけられなかった情報にアクセスするチャンスも多くなります。1度の面談で“すべて”を伝えられるわけではないものの、学生と職員の関係づくりができれば、継続的な支援によって納得感・満足感の高い就職活動につながるのです。一人だと不安を抱え込んでしまいがちだからこそ、まずは積極的にキャリア支援を活用してもらえる関係づくりを大切にしています。

ただし、就職活動は早期化しているため、キャリア支援セミナーは1年次から各年次で開催しています。自己分析からスタートし、本学で開催する企業セミナーに参加するなどして、多様な仕事、多様な働き方があるのだと認識してもらうことも重視しています。また、インターンシップ先の開拓や「産学連携プロジェクト」も強化しており、1年次から参加する学生も増加傾向にあります。「働くとはどういうことなのか」「自分はどんな仕事が向いているのか」について自分なりに考える絶好の機会となっています。

―学生が主体的に考えて行動することが大切なのですね。

女性の「自主自律」という建学の精神を大切にしていますので、学生が主体的に進路を選択できるように導くことが教職員の責務だと考えています。重要なのは、“就職率”を高めることではなく、学生が自分の進路選択に納得し満足できること。自ら的確な判断や決定ができることです。ときに学生は、何を重視してキャリア形成していきたいのかについて悩み、妥協しかけることもありますが、そんなときにこそ面談などを活用することで活路を切り拓いてほしいのです。

そして、学生が新たな一歩を踏み出せないときには、教職員主導で“強め”のサポートを行い、奮起を促すケースもあります。例えば、2年生向けの「ワンランクアップチャレンジプログラム」は、就職活動に向けた早めの始動によって自信をつけさせ、自己肯定感を高めた上で、より高い目標を目指すためのプログラムです。また、3年次には他の女子大と連携してグループディスカッションなどを行う「合同就活ゼミ」に参加する学生もいます。他大生から学べることも多いですし、かつてこのゼミに参加したOGがロールモデルとして指針を示してくれる機会もあります。さらには、ゼミの運営をとおしてリーダーシップが養われる効果も生まれています。

“愛情・勤勉・聡明”を体現する家政大生

―先生が考える理想のリーダー像をお聞かせください。

本学の学生は、よくいえば謙虚。陰で誰かを支える側に立とうとする学生が多い印象です。自己主張が強く、積極的に前に出てリーダーシップを発揮するタイプは少数派です。とはいえ、決してネガティブに評価しているわけではありません。「人の役に立ちたい」「誰かの幸福感に貢献したい」という学生の志向性に触れ、教員と学生という立場を越えて感銘を受けることも多々あります。他者への深い愛情と思いやりが感じられ、まじめに誠実にじっくりと物事を考えて行動につなげている姿は、本学の生活信条である「愛情・勤勉・聡明」そのものです。学生同士が支え合う校風は、オープンキャンパスなどでも感じていただけるはずです。

リーダーシップといっても多様なカタチがあり、必ずしも一人のリーダーがすべてを仕切る必要はありません。役割分担をしながら、チームとしてミッションを遂行することが重要です。その点、本学に多いのは、気配りをしながら仲間の力を引き出し、全体を調整しながら物事を進めるタイプ。言わば「サーバント型リーダーシップ」の資質を備えた学生です。受験生のみなさんにも、ぜひ本学で“自分なりのリーダーシップ”に磨きをかけてほしいと考えています。

―最後に受験生へのメッセージをお願いします。

本学は創立145周年となる2026年度に、創立以来の看板学部である家政学部を改組予定です。現在の社会情勢にマッチさせながら、未来社会をけん引する人材育成を目指す新・家政学部としてリニューアルします。また、心理カウンセリング学科では、心理学をベースに組織マネジメントを学ぶコースの設置を予定しています。

背景にあるのは社会の変化です。昨今は従来の“当たり前”が覆されることが多く、正解のない混沌とした世の中になりつつあります。その中で旧態依然とした価値観にとらわれ、前例に縛られて物事を考えるだけでは行き詰まってしまうだけ。これまで男性中心で動いてきた社会を見つめ直し、新たな価値観や感性でアプローチしなければ社会は停滞するだけであり、女性の力なくしては社会の成長や幸福感の享受は果たされないでしょう。また、女性活躍社会とは、決して女性だけがメリットを実感できる社会ではありません。もちろん女性が対等に扱われずに不利益を被ってきた事例は多く、女性が自分らしくのびのびと生きて幸福を感じることは大切です。ただし本学では、より高い視座に立って社会の変革に貢献できる女性人材を育成していきたいと考えています。受験生のみなさんにも、社会の幸福感に貢献できる人材へと成長するために、本学の人間教育と専門教育に大いに期待していただければと思っています。
 

SAの声 今度は私が後輩のために

教育福祉学科
M.Nさん

SAとして、1年生の力になれた瞬間が最も嬉しく、やりがいを感じます。親身に相談に乗ってくれた先輩方に憧れ、「今度は私が後輩のためになることをしたい」と思いSAになったので、少しずつその目標を達成できている気がします。

受講生が質問や相談をしてくれて一緒に解決できた時に、役に立てたかなと感じます。受講生から学校生活のことを沢山話してくれるのも新鮮で楽しいです!

また、私のSA発表を聞いて「大学生活を見直して気持ちを新たに頑張ろう」と思ってくれた受講生が多く 、自分の体験や言葉が人に影響を与え、人を動かすという貴重で喜ばしい経験をさせていただきました。1年生の言葉から客観的に自分を見ることができるのは新たな発見があり面白いですし、同時に責任感も生まれます。これからも受講生を楽しくサポートしていきます!!

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