2025年4月、薬学部が葛飾キャンパスに移転 先進工学部・工学部とのさらなる連携に期待-東京理科大学

2025年4月、薬学部が葛飾キャンパスに移転 先進工学部・工学部とのさらなる連携に期待-東京理科大学

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東京理科大学は、神楽坂(東京・新宿区)、葛飾(同・葛飾区)、野田(千葉・野田市)、北海道・長万部(北海道・長万部町)という個性豊かな4キャンパスに7学部33学科を擁する、国内私学随一の理工系総合大学だ。その強みを生かすように、学部の枠組みを超えて教育・研究の連携が活発に行われている。

2025年4月に、薬学部が葛飾キャンパスに移転する。先端融合分野を研究する「イノベーションキャンパス」で、共に学ぶ先進工学部と工学部とはどのような連携が期待されているのだろうか。薬学部生命創薬科学科の青木伸教授、先進工学部電子システム工学科の相川直幸教授、工学部情報工学科の谷口行信教授に、お話を伺った。

取材・文 雫 純平(大学通信)
構成 小林 聡(大学通信)

がん研究の分野で学部間を超えた連携の実績

―2025年4月に薬学部が葛飾キャンパスに移転し、共に学ぶ先進工学部、工学部とのさらなる連携が期待できますね。これまでの連携の実績などを教えてください。

薬学部生命創薬科学科
青木 伸 教授

先進工学部電子システム工学科
相川直幸 教授

工学部情報工学科
谷口行信 教授

青木 大学を挙げて組織的な医療への取り組みを本格的に行った事例として、09年に学内に設立した「がん医療基盤科学技術研究センター」が挙げられます。機械、材料、情報などさまざまな専門の研究者が集まる中で、私は薬学、特に有機化学の専門として参加していました。そのときに、画像処理の専門としていらっしゃったのが先進工学部の相川先生です。当時は基礎工学部という名称で、薬学部とともに野田キャンパスで学んでいましたね。

相川 がん細胞は血中を巡ることで、転移や再発をしてしまいます。私が専門とする画像処理は、血中のがん細胞を見つけ出すために活用できるのです。例えば、がん細胞は赤血球や白血球など血中の別の細胞と異なり、表面がでこぼこしていることが多いです。そのでこぼこの数を数え、検出するプログラムの生成などを行いました。

青木 細胞を見るとき、薬学の専門家は通常、細胞の中を見ようとします。相川先生のように、細胞の表面を見るという発想はあまりありませんでした。専門の枠組みを超え、医療の専門でない方が医療の研究に参加することで新しい発見が生まれました。

谷口 私は工学部情報工学科で、3次元の物体を点の集まりとして表現し、検索するような研究を行っていました。私の研究も、一見すると医療とあまり結びつくようには思えないですよね。実は、薬というものは飲んだり塗ったりして体内に入ると、細胞の中にあるタンパク質と結合することで効果を発揮するのです。では、どんなタンパク質とどんな薬ならば結合し、効果を発揮しやすいのか。それぞれ数ナノメートルの世界で目には見えませんが、地形のように複雑な構造をしているそれらが結合しやすいか判定する手法を開発するという役割で、青木先生とともに創薬の研究に参加しています。

青木 とても簡略化してご説明すると、薬と細胞による3次元のジグソーパズルのようなイメージです。そのような立体構造の研究をしている方はいないかと探していたところ、谷口先生が東京理科大学にいらっしゃったのは幸運な出会いでした。

薬学部のキャンパス移転でもたらされるメリット

葛飾キャンパス

―薬学部のキャンパス移転で、今後どのような効果が生まれると期待していますか。

青木 ここまで話してきたように、今までも学部を超えた連携は活発に行われてきました。これからは距離という壁がなくなることで、ますます連携がしやすくなると期待しています。特に本学は工学系の教育・研究が充実していますから、薬学部としては助けていただくことが多いのではないでしょうか。
相川 従来はどうしても距離に阻まれて、オンラインでのやりとりが主となっていました。これからはやりとりできる頻度が上がりますし、先ほどの話にあった画像処理や立体構造などを例にとっても、対面で実物を目の前に置いて話ができるのは、有意義な情報交換となりそうです。

谷口 工学部情報工学科には統計やデータサイエンスを専門にしている先生が何人もいます。これらは薬学部の学生にとっても重要な科目ですよね。本学では全学的に「データサイエンス教育プログラム」を実施しており、学部に拘わらず履修できるようになっています。葛飾キャンパスに来たことで、さらに履修がしやすくなるのではないでしょうか。修了要件を満たすことでレベル毎にオープンバッジ(※)が獲得できるので、ぜひ積極的に履修してほしいです。

※獲得した知識やスキルを証明する国際技術標準規格のデジタル証明書

青木 都心に近い葛飾という地に来ること自体のメリットもあります。都内の病院や薬局で実習をするときや、就職活動の際のアクセスの良さなどです。また、本学では薬学部を卒業し、主に薬剤師として勤務している方々を対象に、卒後教育として定期的に研修会を実施しています。薬学は日々進歩し続けていますから、医療の現場で働く方々と我々アカデミックの人間で、ともに学んでいこうという趣旨のものです。多忙な現役薬剤師の方でも、都内の葛飾キャンパスであれば集まりやすくなるのではないでしょうか。

―最後に、読者である進路指導教諭の方々へのメッセージをお願いします。

青木 本日お話ししたことからも感じていただけたと思いますが、本学の薬学部ではみなさんが思っている以上に広い分野を扱っています。いろいろなことに興味がある受験生や、「将来これを学びたい」というものが決まっていない受験生にこそ、本学の薬学部をお勧めしたいです。さまざまな選択肢を用意して待っていますので、学生自身が何を学びたいのか、入学後にじっくりと考えることができます。
相川 先進工学部も同様で、いろいろなことに興味を持っている受験生を送り出していただけると幸いです。学生の興味や関心を受け止め、満たせるだけのキャパシティを本学は十分に持っていると思います。

谷口 キャンパスアメニティが充実した環境で、多様な専門の優秀な学生が多く学んでいます。連携もしやすく、学びやすい環境で、理系科目の好きな学生ならば、この葛飾キャンパスは楽しく過ごせると思います。

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