文 井沢 秀(大学通信)
幅広い領域をカバーするグローバル系学部
ミスマッチ防止のために知っておきたい学問分野や授業形態、留学制度
人文系や社会科学系、理工系、学際系―。グローバルという文脈には多彩な学問分野が包摂されている。コロナ禍でいったん停滞したグローバル系学部人気は回復し、多くの大学で志願者が増えている。多様なグローバル系学部の中から、生徒に適した学部を選ぶポイントについて、入学時に求められる語学力や留学制度などと併せて見ていこう。
グローバル系学部は潜在的に人気が高い。コロナ禍で志願者が大きく減少したが、2024年度入試では人気が回復。志願者が増加する外国語学部や国際系学部が数多く見られた。
ロシアのウクライナ侵攻に端を発した世界情勢の混乱を持ち出すまでもなく、世界の国々は緊密につながっている。これからの時代を生きる高校生には、グローバル化がもたらす様々な課題を解決するための能力獲得がこれまで以上に求められている。こうした状況を背景として、グローバル人材を育成する場であるグローバル系学部にかかる期待は大きい。
多様なグローバル系は学部内容の十分な精査が求められる
グローバル系といっても、教学内容は千差万別で、生徒に適した学部を選ぶのは難しい。専門分野が多岐にわたっており、学部名だけで教学内容を判断しにくいケースが多いからだ。そこで、「主な国際・外国語系学部」(A)では、「人文学系」「人文・社会科学系」「学際系」に分類してそれぞれの主な学部を掲載した。
A. 主な国際・外国語系学部
学部系統 | 地域 | 大学〈学部・学群〉 |
---|---|---|
人文学系 | 関東 | 獨協大〈外国語〉〈国際教養〉城西国際大〈国際人文〉麗澤大〈外国語〉東京外国語大〈言語文化〉杏林大〈外国語〉上智大〈外国語〉昭和女子大〈国際〉大東文化大〈外国語〉拓殖大〈外国語〉帝京大〈外国語〉東京成徳大〈国際〉目白大〈外国語〉神奈川大〈外国語〉関東学院大〈国際文化〉 |
北陸・甲信越 | 北陸大〈国際コミュニケーション〉 | |
東海 | 岐阜聖徳学園大〈外国語〉聖隷クリストファー大〈国際教育〉常葉大〈外国語〉愛知県立大〈外国語〉椙山女学園大〈外国語〉名古屋外国語大〈外国語〉〈世界教養〉南山大〈外国語〉名城大〈外国語〉 | |
近畿 | 京都外国語大〈外国語〉京都産業大〈外国語〉京都ノートルダム女子大〈国際言語文化〉同志社大〈グローバル・コミュニケーション〉〈グローバル地域文化〉大阪大〈外国語〉大阪学院大〈外国語〉大阪産業大〈国際〉関西大〈外国語〉桃山学院大〈国際教養〉神戸市外国語大〈外国語〉大手前大〈国際日本〉神戸学院大〈グローバル・コミュニケーション〉 | |
中国・四国 | 吉備国際大〈外国語〉 | |
九州・沖縄 | 九州産業大〈国際文化〉西南学院大〈国際文化〉〈外国語〉長崎外国語大〈外国語〉熊本学園大〈外国語〉宮崎国際大〈国際教養〉鹿児島国際大〈国際文化〉 | |
人文・ 社会科学系 |
北海道・東北 | 北洋大〈国際文化〉北海道文教大〈国際〉東北学院大〈国際〉国際教養大〈国際教養〉 |
関東 | 筑波大〈社会・国際〉宇都宮大〈国際〉群馬県立女子大〈国際コミュニケーション〉共愛学園前橋国際大〈国際社会〉共栄大〈国際経営〉東京国際大〈言語コミュニケーション〉〈国際関係〉武蔵野学院大〈国際コミュニケーション〉開智国際大〈国際教養〉神田外語大〈外国語〉〈グローバル・リベラルアーツ〉敬愛大〈国際〉秀明大〈グローバルマネジメント※〉明海大〈外国語〉麗澤大〈国際〉和洋女子大〈国際〉東京外国語大〈国際社会〉〈国際日本〉青山学院大〈国際政治経済〉〈地球社会共生〉亜細亜大〈国際関係〉桜美林大〈グローバル・コミュニケーション〉大妻女子大〈比較文化〉学習院大〈国際社会科〉学習院女子大〈国際文化交流〉共立女子大〈国際〉国士舘大〈21世紀アジア〉駒澤大〈グローバル・メディア・スタディーズ〉実践女子大〈国際〉順天堂大〈国際教養〉上智大〈総合グローバル〉〈国際教養〉昭和女子大〈グローバルビジネス〉専修大〈国際コミュニケーション〉創価大〈国際教養〉大東文化大〈国際関係〉拓殖大〈国際〉多摩大〈グローバルスタディーズ〉中央大〈国際経営〉東海大〈国際〉東京経済大〈コミュニケーション〉東洋大〈国際〉〈国際観光〉東洋学園大〈グローバル・コミュニケーション〉二松学舎大〈国際政治経済〉日本大〈国際関係〉日本女子大〈国際文化〉文化学園大〈国際文化〉文教大〈国際〉文京学院大〈外国語〉法政大〈国際文化〉〈GIS(グローバル教養)〉武蔵大〈国際教養〉武蔵野大〈グローバル〉明治大〈国際日本〉明治学院大〈国際〉立教大〈異文化コミュニケーション〉〈GLAP〉横浜市立大〈国際教養〉〈国際商〉神奈川大〈国際日本〉東洋英和女学院大〈国際社会〉フェリス女学院大〈グローバル教養※〉グローバルBiz専門職大〈グローバルビジネス〉 | |
北陸・甲信越 | 新潟県立大〈国際地域〉〈国際経済〉新潟国際情報大〈国際〉公立小松大〈国際文化交流〉金沢星稜大〈人文〉山梨県立大〈国際政策〉長野県立大〈グローバルマネジメント〉 | |
東海 | 静岡県立大〈国際関係〉愛知大〈現代中国〉〈国際コミュニケーション〉愛知淑徳大〈グローバル・コミュニケーション〉桜花学園大〈国際〉金城学院大〈国際情報〉中京大〈国際〉中部大〈国際関係〉名古屋外国語大〈現代国際〉名古屋学院大〈外国語〉〈国際文化〉名古屋商科大〈国際〉南山大〈国際教養〉日本福祉大〈国際〉鈴鹿大〈国際地域〉 | |
近畿 | 大谷大〈国際〉京都外国語大〈国際貢献〉京都産業大〈国際関係〉京都精華大〈国際文化〉京都橘大〈国際英語〉平安女学院大〈国際観光〉立命館大〈国際関係〉〈グローバル教養〉龍谷大〈国際〉追手門学院大〈国際〉大阪学院大〈国際〉大阪経済大〈国際共創〉大阪経済法科大〈国際〉大阪国際大〈国際教養〉大阪女学院大〈国際・英語〉大阪成蹊大〈国際観光〉関西外国語大〈英語キャリア〉〈英語国際〉〈外国語〉〈国際共生〉近畿大〈国際〉摂南大〈国際〉阪南大〈国際〉兵庫県立大〈国際商経〉関西国際大〈グローバル※〉関西学院大〈国際〉甲南大〈グローバル教養学環〉甲南女子大〈国際〉神戸女学院大〈国際〉天理大〈国際〉 | |
中国・四国 | 島根県立大〈国際関係〉中国学園大〈国際教養〉ノートルダム清心女子大〈国際文化〉広島市立大〈国際〉広島修道大〈国際コミュニティ〉山口県立大〈国際文化〉梅光学院大〈国際〉 | |
九州・沖縄 | 北九州市立大〈外国語〉福岡女学院大〈国際キャリア〉長崎県立大〈国際社会〉活水女子大〈国際文化〉別府大〈国際経営〉立命館アジア太平洋大〈アジア太平洋〉〈国際経営〉琉球大〈国際地域創造〉名桜大〈国際〉 | |
学際系 | 北海道・東北 | 秋田大〈国際資源〉 |
関東 | 千葉大〈国際教養〉国際基督教大〈教養〉中央大〈国際情報〉東海大〈国際文化〉東京農業大〈国際食料情報〉早稲田大〈国際教養〉 | |
北陸・甲信越 | 福井大〈国際地域〉山梨学院大〈国際リベラルアーツ〉 | |
東海 | 静岡大〈グローバル共創科〉 | |
近畿 | 神戸大〈国際人間科〉大手前大〈国際看護〉 | |
中国・四国 | 山口大〈国際総合科〉 | |
九州・沖縄 | 九州大〈共創〉福岡女子大〈国際文理〉 |
注)学部系統は各学部のカリキュラム等を参照して編集部が独自に分類
注)学問領域を横断することが多いため、異なる系統の学問を学ぶこともある
注)地域は大学本部所在地で分類。学部所在地と異なることがある
注)※は2025年4月新設予定
「人文学系」は、国公立大では東京外国語大や大阪大。私立大では、獨協大、上智大、拓殖大、神奈川大、岐阜聖徳学園大、椙山女学園大、名古屋外国語大、京都外国語大、西南学院大、熊本学園大などがある。外国語系の学部が多く、語学力を全面に打ち出したグローバル人材の養成が大きな特徴で、教学内容が比較的わかりやすい。
「人文・社会科学系」を見ると、国公立大では、筑波大の社会・国際、宇都宮大・国際、東京外国語大の国際社会と国際日本、新潟県立大・国際地域などがある。
私立大を東日本から見ると、東北学院大・国際、青山学院大の国際政治経済と地球社会共生、学習院大・国際社会科、実践女子大・国際、上智大の総合グローバルと国際教養、昭和女子大・グローバルビジネス、中央大・国際経営、日本女子大・国際文化、武蔵大・国際教養など。
北陸では国際英語学科を新設する金沢星稜大・人文。西日本では、愛知大の現代中国と国際コミュニケーション、南山大・国際教養、京都橘大・国際英語、立命館大の国際関係とグローバル教養、龍谷大・国際、追手門学院大・国際、大阪経済大・国際共創、関西外国語大・国際共生、近畿大・国際、関西学院大・国際、甲南大・グローバル教養、神戸女学院大・国際、ノートルダム清心女子大・国際文化、立命館アジア太平洋大学(APU)のアジア太平洋と国際経営などがある。
「人文・社会学系」のうち、武蔵大・国際教養の経済経営学専攻(EM専攻)には、日本にいながら武蔵大とロンドン大の学位が取得できる「パラレル・ディグリー・プログラム(PDP)」がある。他にも昭和女子大には、上海交通大(中国)、淑明女子大(韓国)、ソウル女子大(韓国)、テンプル大ジャパンキャンパス(米国)、クイーンズランド大(豪州)とのダブル・ディグリー・プログラムがあり、立命館大・グローバル教養は、全員が立命館大とオーストラリア国立大の学位取得を目指すなど、海外大学と自大学の複数の学位を取得できる学部もあるので、生徒の希望に応じた指導をしたい。
「学際系」は、カバーする分野が広く、文系と理系はもちろん、大学によっては芸術系までフォローする学部もある。
この系統の草分けは国際基督教大。単科大学ながら30を超えるメジャー(専修分野)があり、多様な科目を履修し関心がある分野を見極めた上、3年次になる前の段階でメジャーを選択する。その際、一つのメジャーに集中するほかに、二つのメジャーを同じ比率で履修するダブルメジャー、比率を変えて履修するメジャー・マイナーの3種類の選択方法がある。「学際系」を持つ私立大には、中央大・国際情報や早稲田大・国際教養などがある。
国立大では、千葉大に文理融合型で留学を重視する国際教養がある。同大は、20年度の入学者から、全学部生の海外留学を必須としている。神戸大・国際人間科は、グローバル社会で起こりうる災害や民族対立、経済格差などの課題を解決できる人材を養成。九州大・共創は、文理の枠を超え共に構想して新たなものを創造することから名付けられた学部だ。
全て英語で行われる授業に耐えられるのか見極めが大切
B. オールイングリッシュで授業を行う主な国際・外国語系学部
大学 | 学部 | 内容 |
---|---|---|
秋田大 | 国際資源 | 語学、2年次以降の専門科目 |
国際教養大 | 国際教養 | 全授業 |
学習院大 | 国際社会科 | 3年次以降・専門科目 |
学習院女子大 | 国際文化交流 | 英語コミュニケーション学科の専門演習科目群 |
上智大 | 国際教養 | 全授業 |
創価大 | 国際教養 | 専門科目 |
中央大 | 国際経営 | 設置科目の7割以上 |
東洋大 | 国際 | グローバル・イノベーション学科の全授業 |
法政大 | GIS(グローバル教養) | 全授業 |
武蔵野大 | グローバル | グローバルビジネス学科の全授業 |
明治大 | 国際日本 | English Trackの全授業 |
明治学院大 | 国際 | 国際キャリア学科の全授業 |
立教大 | GLAP(Global Liberal Arts Program) | 全授業 |
早稲田大 | 国際教養 | 全授業 |
愛知淑徳大 | グローバル・コミュニケーション | 専門科目 |
名城大 | 外国語 | 語学 |
立命館大 | 国際関係 | 国際関係学専攻を除く全授業 |
グローバル教養 | 全授業 | |
関西外国語大 | 国際共生 | 全授業 |
兵庫県立大 | 国際商経 | グローバルビジネスコースの全授業 |
神戸女学院大 | 国際 | 全授業の99% |
グローバル系学部を志望する上で、次に押さえておくべきなのは、英語による授業の比率。「オールイングリッシュで授業を行う主な国際・外国語系学部」(B)を見てほしい。全ての授業をオールイングリッシュで展開する大学には、国際教養大や上智大・国際教養、法政大・グローバル教養、明治大・国際日本(English Track)、早稲田大・国際教養、立命館大の国際関係(国際関係学専攻を除く)、関西外国語大・国際共生などがある。
一般的な日本の高校を卒業した学生にとって、全ての授業が英語というのは大きな負担となる。そこで、低学年次に徹底的に英語を学び、徐々に英語中心の授業にシフトする学習院大・国際社会科のように、国際的な活躍を望みながらも英語の能力が追いつかない学生の語学力を伸ばした上で、専門性を身に着けたグローバル人材を養成するケースもある。
愛知淑徳大のグローバル・コミュニケーションも低学年時に英語力を育成した上で専門科日を英語で行うなど、英語による授業の実施状況は大学によって異なる。オールイングリッシュの授業頻度と語学力向上プログラムのバランスを見ながら、授業についていけるのか判断した上で志望校を選択したい。
期間、内容、奨学金制度 ー 大学によって異なる留学制度
グローバル社会で活躍することを前提としたグローバル系学部は、語学力と共に専門性や多様な価値観を理解するために海外留学が大きなウエートを占めるが、各大学によって留学の時期や期間などは異なる。
C. 留学が必須となっている主な国際・外国語系学部
大学 | 学部 | 留学必須の対象 | 期間 |
---|---|---|---|
秋田大 | 国際資源 | 全学生 | 約4週間 |
国際教養大 | 国際教養 | 全学生 | 1年 |
千葉大 | 国際教養 | 全学生 | 2週間~1年 |
秀明大 | グローバルマネジメント※ | 英語キャリアコース | 5カ月 |
青山学院大 | 地球社会共生 | 全学生 | 半期 |
亜細亜大 | 国際関係 | 国際関係学科 | 5カ月が基本 |
桜美林大 | グローバル・コミュニケーション | 全学生 | 1学期 |
学習院大 | 国際社会科 | 全学生 | 4週間以上 |
学習院女子大 | 国際文化交流 | 英語コミュニケーション学科 | 半年 |
実践女子大 | 国際 | 全学生 | 3~6カ月 |
昭和女子大 | 国際 | 全学生 | 1学期以上 |
専修大 | 国際コミュニケーション | 異文化コミュニケーション学科 | 半期 |
創価大 | 国際教養 | 全学生 | 半期(1セメスター) |
帝京大 | 外国語 | 全学生 | 1学期 |
東京成徳大 | 国際 | 全学生 | 1年 |
東洋大 | 国際 | グローバル・イノベーション学科 | 半年~1年 |
国際地域学科国際地域専攻 | 1クォーターなど(原則一度の海外研修) | ||
日本女子大 | 国際文化 | 全学生 | 2週間 |
法政大 | 国際文化 | 全学生 | 1学期 |
武蔵野大 | グローバル | グローバルコミュニケーション学科 | 5カ月 |
目白大 | 外国語 | 全学生(日本語・日本語教育学科を除く) | 1カ月~1年 |
立教大 | 異文化コミュニケーション | 全学生 | 1学期~1年 |
GLAP(Global Liberal Arts Program) | 全学生 | 1年 | |
早稲田大 | 国際教養 | 母語が日本語の学生 | 1年 |
山梨学院大 | 国際リベラルアーツ | 全学生(留学生除く) | 1年 |
愛知淑徳大 | グローバル・コミュニケーション | 全学生 | 6~10週間 |
桜花学園大 | 国際 | 全学生 | 未公表 |
金城学院大 | 国際情報 | 全学生 | 未公表 |
中京大 | 国際 | 全学生(GLS専攻除く) | 1学期 |
名古屋商科大 | 国際 | 全学生 | 定めなし(最低一度の海外研修) |
日本福祉大 | 国際 | 全学生 | 約2週間 |
京都産業大 | 国際関係 | 全学生 | 約3週間 |
京都橘大 | 国際英語 | 全学生 | 1年 |
京都ノートルダム女子大 | 国際言語文化 | 英語英文学科 Global Liberal Arts Course | 半年 |
同志社大 | グローバル・コミュニケーション | 英語コース、中国語コース | 1年 |
立命館大 | グローバル教養 | 全学生 | 1年 |
龍谷大 | 国際 | グローバルスタディーズ学科 | 1セメスター以上 |
大阪経済大 | 国際共創 | 全学生 | 3週間 |
大阪経済法科大 | 国際 | 全学生 | 約1週間~約1カ月 |
関西大 | 外国語 | 全学生 | 1年 |
関西外国語大 | 英語キャリア | 全学生(小学校教員コース除く) | 1年 |
英語国際 | 全学生 | 1学期 | |
近畿大 | 国際 | 全学生 | 1年 |
関西学院大 | 国際 | 全学生 | 約2週間~1年 |
甲南大 | グローバル教養学環 | 全学生 | 2週間~半年以上、2カ国以上 |
神戸学院大 | グローバル・コミュニケーション | 英語コース、中国語コース | 半期 |
吉備国際大 | 外国語 | 全学生 | 6週間~2カ月 |
山口大 | 国際総合科 | 全学生 | 1年 |
梅光学院大 | 国際 | 全学生(国際ビジネスコミュニケーション専攻を除く) | 半年~1年 |
九州大 | 共創 | 全学生 | 8日~1年以内 |
注)※は2025年4月新設予定
「留学が必須となっている主な国際・外国語系学部」(C)の留学期間を見ると、国際教養大や東洋大・国際(グローバル・イノベーション学科)、立教大・GLAP、早稲田大・国際教養、京都橘大・国際英語、同志社大のグローバル・コミュニケーション、関西大・外国語、近畿大・国際など、1年間が多くを占める。
これらの大学の中で留学時期に特徴があるのは近畿大。一般的な大学では、語学力や一般教養を修得した後、2年次以降に留学をするケースが多いが、同大は1年次後期から留学に送り出す。2年次前期までの1年間をかけて語学やコミュニケーション、文化について学び、国際的なビジネス社会で通用する人材育成を行う。
留学期間以外にも、語学留学なのか深く専門分野を学ぶのか。また、留学費用に対する奨学金支給対象者の人数や支給額など、大学によって留学制度は千差万別なので、志望校の状況を押さえておきたい。
留学で気になるのは単位不足による留年だが、多くの大学は単位の読み替えにより4年間で卒業が可能だ。さらに、就活も気になるところ。3年次に1年間留学すると、就活スケジュールに乗り遅れることを危惧する生徒もいるだろう。しかし、留学経験者を対象に選考する企業は数多くあるので、留学がデメリットになることはない。むしろ、企業は留学経験者を求めているほどだ。
日本語禁止の学内留学施設でコミュニケーションカを磨く
D. 主な学内留学施設
大学 | 学内留学施設 |
---|---|
北海道文教大 | GCC(Global Community Center) |
秋田大 | 多文化交流ラウンジ |
筑波大 | スチューデント・コモンズ |
流通経済大 | International Community Plaza (ICP) |
千葉大 | イングリッシュ・ハウス |
神田外語大 | ELI(English Language Institute) |
青山学院大 | International Commons |
桜美林大 | Brown Bag Café |
成城大 | 成城グローバルラウンジ |
創価大 | SPACe(Student Performance Acceleration Center) |
中央大 | 異文化交流ラウンジ「Gスクエア」 |
帝京大 | OUCHI COMMONS |
東京理科大 | インターナショナルラウンジ |
東洋大 | ECZ(English Community Zone) |
東洋学園大 | Global Lounge |
文教大 | Language Garden |
文京学院大 | チャットラウンジ、ランゲージサロン |
法政大 | Gラウンジ(Global Lounge) |
武蔵大 | Musashi Communication Village(MCV) |
明治大 | 国際交流ラウンジ、ラーニング・ラウンジ |
立教大 | グローバルラウンジ |
早稲田大 | ICCラウンジ(Intercultural Communication Center) |
横浜市立大 | Practical English Center |
神奈川大 | English Lounge |
北陸大 | Communication Oasis MOGUMOGU |
山梨大 | グローバル共創学習室「G-フィロス」 |
岐阜聖徳学園大 | 外国語ラウンジ「Lounge MELT」 |
静岡大 | 国際交流ラウンジ |
愛知大 | Global Lounge |
愛知淑徳大 | Global Lounge |
名古屋学院大 | インターナショナル・ラウンジ(i-Lounge) |
南山大 | World Plaza、多文化交流ラウンジ「Stella」 |
日本福祉大 | Global Lounge、English Lounge |
名城大 | グローバルプラザ |
京都産業大 | グローバルコモンズ |
同志社大 | 国際交流ラウンジ |
立命館大 | Beyond Borders Plaza (BBP) |
龍谷大 | グローバルラウンジ、マルチリンガルスタジオ |
大阪公立大 | Global Village、I-wingなかもずGlobal commons |
追手門学院大 | English Café at Otemon(E-CO) |
関西大 | Mi-Room (Multilingual Immersion Room) |
近畿大 | 英語村E³[e-cube] |
関西学院大 | フジタ・グローバルラウンジ |
甲南大 | グローバルゾーン「Porte」 |
立命館アジア太平洋大 | SALC(Self-Access Learning Center)〈言語自主学習センター〉 |
授業や留学以外に、グローバル人材を養成する環境整備に力を入れている大学もあるので注目したい。そうした大学をまとめたのが「主な学内留学施設」(D)。大半の施設が日本語禁止で、外国人留学生やネイティブ教員と一緒に語学力やコミュニケーション能力を養う。東洋大のECZも英語が公用語で日本語は禁止。読書や昼食、テレビ・DVD鑑賞などを留学生とともに楽しむことができる。様々なイベントの他に、毎日決まった時間に交換留学生が英会話スタッフとして常駐しているので、英会話力に磨きをかけることができる。
学内留学施設は、全ての学生が異文化コミュニケーション能力を鍛えられる場であり、オールイングリッシュの授業についていけるよう、学生を個別にフォローするスペースとして活用する大学もある。こうした施設は、秋田大や千葉大、成城大、東京理科大、法政大、明治大、岐阜聖徳学園大、立命館大、龍谷大、関西学院大、甲南大など数多くの大学が用意している。
留学生と一緒に寮生活をすることで、多様な文化背景の人とのコミュニケーション能力を身につける大学も増えてきた。APUは半数が海外からの留学生。キャンパスライフが留学と同じ効果を生むと同時に、1年次に敷地内の学生寮(APハウス)で留学生と同室の寮生活も可能なことが、異文化理解力を深める。学生寮を留学生との交流の場として積極的に活用する大学には、国際教養大や早稲田大、国際基督教大、流通科学大などがある。
コロナ禍で志願者が減少したグローバル系学部の人気は戻っているが、コロナ禍前の状況まで回復しておらず、25年度入試でも倍率面からは入り易い状況が続くと見られている。 将来を見据えた時、グローバル系学部を目指す意義は大きい。学問分野や授業形態、留学制度など、各大学の教育環境を十分に理解した上で、最適な志望校を選びたい。