外部と連携したPBLで自己をアップデートする実学を包摂した未来志向型リベラルアーツ―フェリス女学院大学

外部と連携したPBLで自己をアップデートする実学を包摂した未来志向型リベラルアーツ―フェリス女学院大学

<PR>

「For Others(他者のために)」という教育理念のもと、伝統の少人数制リベラルアーツ教育を実践してきたフェリス女学院大学。一方、同大は毎年主要400社への実就職率などでも上位ランク入りするなどいわゆる就職に強い大学としても知られている。その理由をひもとくと、PBL型(Project Based Learning)カリキュラム「FERRIS+(フェリスプラス)実践教養探求課程」など社会と連携し実学をリベラルアーツへ巧みに取り込んだ仕組みづくりが見えてきた。

取材 井沢 秀(大学通信)

女子大が秘めたポテンシャル

フェリス女学院大学学長
荒井 真(Makoto Arai)
上智大学法学部法律学科卒業。上智大学大学院法学研究科修了。
国際交流学部教授を経て学長。専門は比較法、ヨーロッパ法史、ヨーロッパ大学史。

日本で最初のキリスト教に基づく近代的女子教育機関として創立されたフェリス女学院。近年は女子大の人気低下傾向が指摘されているが、同大学では新たなカリキュラム策定や学びの課程を設置するなど、積極的な変革に取り組むことで首都圏を中心に受験生の期待に応えている。

「女子大に対する„良妻賢母„といった旧いイメージはいまだに残っていますが、学生たちのポテンシャルは非常に高い。学内のあらゆる行事を女性だけで進めていくので、一人ひとりが組織運営や業務マネジメントなどに携わる機会が多く、リーダーシップを発揮しやすい。その成果もあってか、ほとんどの学生が卒業後、総合職に就いており、なかには自分で起業したいという学生も増えてきています」

そう語るのは同大学の荒井真学長だ。フェリスの学生がのびのびと自由闊達に意見を述べたり議論を交わす様子を何年も見守ってきた立場から、女子大特有のポテンシャルをさらに強化し、社会的にも認知を高めていきたいと考えている。そんなフェリス女学院大学の姿勢が色濃く反映されているのが、2017年に設立されたCLAだ。これは「Center for the Liberal Arts(全学教養教育機構)」の略で、教養教育を全学的に運営・推進するとともに、多彩な教養科目を分野ごとに体系化したカリキュラムを提供している。

教養と実学は矛盾しない

同大学では近年注目を集めているリベラルアーツ教育を創立時から重視してきた。文学部・国際交流学部・音楽学部の各専門分野を学部横断的に学べるのはもちろんのこと、情報科学分野まで網羅した幅広い教養科目を展開している。CLAではそれらをキリスト教科目、語学科目、知のフロンティア科目、実践教養科目、フェリス教養講義科目:For Others、健康・スポーツ科目、留学生科目の7つの科目群に編成し、学びの方向性を選択できるようになっている。

さらに「FERRIS+(フェリスプラス)実践教養探求課程」では、2年次前期に、実社会と結びついた課題の解決に取り組むプロジェクト演習科目を必須化。この科目はPBL型の授業で、地元の企業・自治体を巻き込んだ実学的な内容になっている。たとえば「山梨県道志村(※)の魅力の再発見と環境保全活動」というテーマの授業では横浜市水道局と提携したり、「百人一首の普及プロジェクト」のテーマでは横浜市内の和菓子店やシンガポールの紅茶生産メーカー等と協力し、学生主体で商品の企画・開発に携わった。なかには荒井学長自ら担当する「フェリス女学院大学の広報戦略を考える」という珍しいテーマの授業も展開。マーケティングやブランディングの基礎を学んだのちにグループワークでプランを策定し、それを同大学の企画・広報課職員の前でプレゼンテーションを実施するという。こうした先駆的な取り組みとしてFERRIS+を導入した背景には、大学の学びを自己完結させてはいけないという強い思いがあったと荒井学長は語る。

「これからの大学の学びは、キャンパスを飛び越えて外部と連携しながら新しいものを創出することが重要になります。我々が考える教養とは単に知識を獲得することではなく、幅広い学問を通じて時代の変化にあわせて必要な能力を身に付けられる、つまりは自分自身をアップデートできる力と考えます。また社会とは自分一人で物事を動かすのではなく、他者と協働して生きていく場でもあります。FERRIS+を通じて、学生には実践的にその力を身に付けてほしいと思います」

※フェリス女学院大学が所在する横浜市の水源地

面談と細やかな支援体制

具体的な社会課題を扱うFERRIS+では、1クラスにつき概ね10名前後の少人数制でPBL型の授業を行っている。実際に外部の人と意見を交わしたり作業を行う過程では、学生が自分たちの考えの足りない部分に気がつく場面も多いのだという。時にそうした失敗や再チャレンジも含めた体験は、座学では得られない大きな学びを学生にもたらしている。そのようなプロジェクト演習を経てカリキュラムを修了すると大学から修了証が発行されるのだが、その際に行われるのがCLA機構長と就職課との修了面談だ。これはインプットした知識やスキル等といった学びの成果を第三者に伝えられるよう、学生にアウトプットする機会として設けられたグループ面談。就職活動が本格化する前というタイミングでもあり、CLA機構長と就職課のフィードバックやアドバイスを受けることができる貴重な機会になっている。学生一人ひとりにこれほどきめ細かなサポートを提供するのは、小規模大学といってもなかなか簡単にできることではない。

「自分が大学の4年間で何を学びどう成長したのかをしっかり社会に発信できる学生になってほしいですね。この面談が就職活動の面接対策に役立つのはもちろんですが、さらに学生と就職課が早期につながって、就職課を活用しやすくし、学生に継続的な就職支援を提供する有効な機会ともなっています」

教養と実学の両輪で学ぶ

FERRIS+が導入されて6年目を迎えた現在、その成果を荒井学長はこのように語っている。

「学生は自身のスキルを分析・評価してレーダーチャートで可視化するのですが、受講の前後で多くの学生のチャートがどんどん高まっていくのです。これはスキルとともに自己肯定感も向上していると捉えています。また実際の授業ではグループ内での意見の衝突や、締切までにプロジェクトを完成させるプレッシャーがあったりと、想定外の困難に見舞われます。それらを乗り越えて来た経験からでしょうか、FERRIS+を受講した学生には“やり切った自信”が感じられますね。責任感が身に付き、視野も大きく広がって、まるで留学から帰ってきた学生のように人間としてひと回り大きく成長しています」

受講を修了した卒業生はまだ社会に出始めたばかり。今後の彼女たちの活躍や経験が大学に還元されていくことで、FERRIS+はさらに内容が充実していきそうだ。

「コロナ禍の影響もあり、FERRIS+の受講者は1学年に50名程度の規模で実施してきました。今後は人数枠を拡大したり、ほかにもPBL型の学びを全学的に展開したりと実学的・実践的な学びを強化していく予定です。これは教養教育がベースにある本学だから成しうる変革だと考えています。ChatGPTをはじめ人工知能がどんどん進化している時代に、実学だけの学びではいずれスキルの賞味期限が切れてしまいます。これからの学生には「学び方を学んで」、時代や社会の変化にあわせて自分自身をアップデートしていくという、一生もののスキルを身に付けてほしい。それがフェリスの実践している教養と実学という両輪での教育なのです」

<関連記事>
海外で学ぶ喜びを、より多くの学生に知ってほしい

ユニヴプレスMAGカテゴリの最新記事

ユニヴプレス