「女子大学にできること」を追究した昭和女子大学の多彩な取り組みに迫る―金尾朗新学長 インタビュー

「女子大学にできること」を追究した昭和女子大学の多彩な取り組みに迫る―金尾朗新学長 インタビュー

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昭和女子大学では、先進的なグローバル教育が注目される一方、課題解決型の「プロジェクト型学修」や実就職率12年連続女子大No.1※の実績を誇るキャリア教育、2022年度からスタートした「データサイエンス副専攻プログラム」など文理融合教育にも力を入れている。これらの取り組みを推進する意義や、期待される学生の成長などについて、2023年4月に第11代学長に就任した金尾朗学長に話を伺った。

※卒業生数1000人以上の大学。大学通信調べ

聞き手 松平信恭(大学通信)

女子学生のニーズをつかみ、女子大学の強みに変換する

昭和女子大学 学長
金尾 朗
東京大学工学部建築学科卒業後、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程修了。工学博士、一級建築士。1992年に昭和女子大学に着任し、2007年に教授。アドミッション部長、副学長、環境デザイン学部長を歴任し、2023年4月より現職。専門は建築計画・都市計画で、環境デザイン学科では建築のデザイン教育とともにデザイン・プロデュースを担当。近年は、新潟県村上市での竹燈籠祭りへの参加等、まちづくり関連の活動を行う。

―これからの女子大学像や貴学の展望をお聞かせください。

以前から女子大学のニーズが下降傾向であることは多方面から指摘があり、少子化の影響で運営が厳しくなることも予想されてきました。ただし、男女格差の指標として世界経済フォーラムが発表するジェンダー・ギャップ指数を見れば、日本はいまだ低水準にあり、女子大学へのニーズは依然としてあるはずです。そのため、私たちには“女子大学にできること”を見極めて実行していくことが求められていると考えています。

学生と接していると、使う言葉から情報収集の仕方、思い描く将来像まで、その変化の激しさを強く感じます。私は約30年前から本学で建築を教えていますが、着任当初はどんなに優秀な学生でも、卒業後に建築家を目指すことはレアケースでした。しかし、近年は建築の世界で働き続けようとする意欲の強い学生が増え、社会との関わり方への意識も大きく変化しています。

だからこそ重視するのは、大学での学びを将来につなげる道筋を描けるような教育プログラムを設計することです。今後も時代の変化や社会的なニーズ、そして学生のニーズに合わせた指導が何よりも重要であり、その具体策がグローバル教育やプロジェクト型学修、さらにはデータサイエンス教育や文理融合教育といった本学が推進している教育プログラムなのです。

所属学科や専門分野に応じたデータリテラシーを修得

―「データサイエンス副専攻プログラム」についてお教えください。

全学に提供しているプログラムで、初年次に概要を学んだあと、Excelなどを用いた簡単な演習科目に移行し、さらなるスキルアップに向けてプログラミングやビッグデータの解析といった専門的な演習科目に発展させていく設計です。ただし、2022年度から高校で情報科目が必修になりましたので、今後の入学生に合わせて指導内容を柔軟に更新していく考えです。

また、例えば「AI(人工知能)の理解が重要」とはいっても、社会での活用方法はさまざまです。ビッグデータの解析にしても、データの特性を理解するには文系的、社会科学的な思考プロセスも必要です。AIやビッグデータを社会の課題解決に役立てる際には、いわゆる情報系・工学系のスキルだけでなく、社会学的な視点やビジネス的な視点をもって活用方法を模索する必要があるでしょう。ですから、学生には所属学科や専門的に学ぶ内容に応じたデータリテラシーを身につけてほしいと考えています。

―「プロジェクト型学修」についてはいかがでしょうか。

プロジェクト型学修でのプレゼンテーション

教室での学びと実社会での学びを融合させる取り組みとして、学科ごとに各年次で多様なプロジェクトを進めています。例えば環境デザイン学科では、2年次後期に水族館や博物館などの施設で独自の企画デザインプロジェクトによるグループワークを行います。大切なのは、学生が提案先で実際にヒアリングをした上で、自分たちの企画を練り上げること。インターネットからの情報収集だけではなく、現場で生の声を聞くことで気づきを得て、自分たちにできることを考え抜くことです。2022年度は、コロナ禍にもかかわらず、大手鉄道会社の施設に企画を提案し、実現させたグループもありました。

今後は歴史や文学など、従来は講義型の科目が中心だった学科でもプロジェクト型学修を活発化させていくほか、「現代ビジネス研究所」が中心となって学部横断的なプロジェクトの拡充・開発も進めていく予定です。

―文理融合教育についてもお聞かせください。

文理融合は日本独特の概念であり、ヨーロッパではそもそも文理が分かれている感覚はありません。実際に本学でも日本文学や歴史を学びながらプログラミングに強い興味を示す学生がいます。まずは先入観を捨てた上で実態を把握し、全学的な流れへと発展させる仕掛けを検討していく方針です。

また、学内だけでなく学外との“融合”も有益です。例えば環境デザイン学科では、他大学との連携も進めています。課題に対するアプローチの違いを実感することもあり、学生が外部から刺激を受けながら学びを深められる絶好の機会となっています。

挑戦し続ける大学が学生の挑戦意欲を掻き立てる

―高大連携への展望についてお聞かせください。

本学の附属高校とのつながりに加えて、提携校とも夏季休暇中に特別授業を実施するなど、拡充を進めています。高校生には大学の魅力を感じながら、自分自身の視野の広がりを実感してほしいですし、大学としては高校生が何を学びたいのかを知るチャンスになりますので、次なるプログラムの設計につなげることもできます。

また、高校での探究型学習が知識の獲得や理解の促進など、教育という枠組みの中での完結を目指しているとすれば、本学における探究型学習といえる「プロジェクト型学修」は、実社会に役立つ価値を提案することを目指しています。同じ探究型の学びでも中身が異なりますので、高校生にはぜひ期待して入学してほしいですね。

―最後に、貴学の魅力についてあらためてお聞かせください。

本学の魅力は、グローバル教育やプロジェクト型学修、データサイエンス教育など、新たな取り組みに挑戦し続ける姿勢にあります。それに応えるように、例えば海外留学やダブル・ディグリー・プログラムに挑戦した学生は積極性や行動力が向上し、帰国後には活発な発言などによって授業の活性化にも貢献してくれています。

また、私のゼミでは、私が学長に就任したからといって過度に身構えることもなく、フレンドリーな態度で接する学生もいます。教員や学生同士のフラットな関係性やアットホームな雰囲気もまた本学の魅力であり、こうした“距離の近さ”は先輩や卒業生、職員との関係にも当てはまります。キャリア支援では、担当する職員が一人ひとりに合わせて進路選択や就職活動をサポートします。各学科によるコース別の「OG懇談会」などを通して、目指したい、見習いたいと思う多様なロールモデルに出会えることも強みです。

このように、本学には教職員や卒業生など、学生を応援する人々との一体感に包まれながら過ごせる環境があります。この大きな安心感に支えられて学生は果敢に挑戦し、成長することができる。この好循環が本学の一番の魅力だと思います。

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