就職に強い大学
10年で就職偏差値があがり有名企業に入りやすくなった大学

就職に強い大学<br>10年で就職偏差値があがり有名企業に入りやすくなった大学

主要企業に対する大学の就職力を可視化する数値として、「大学の就職偏差値」を算出した。
この数値を2022年と2012年で比較することで、10年間の就職偏差値の変化を算出した。
この間、就職力が高まった大学はどこなのか。検証してみよう。

文 雫 純平(大学通信)

10年で就職偏差値があがり有名企業に入りやすくなった大学

大学の就職偏差値は、主要企業の就職者数の規模などを勘案して、主要企業就職者が200人以上、100人以上200人未満、30人以上100人未満の3つのグループに分けてランキングした。

主要企業の就職者が200人以上のグループの1位は、就職偏差値が1.0ポイントアップした一橋大だ。22年の調査対象の主要427社への実就職率※は、50.8%で全国1位だ。大学院進学者を除いた全卒業生のうち、半数以上が主要企業に就職している計算になる。

22年の就職者が多い企業は、楽天グループ(30人)、みずほFG、三菱UFJ銀行、PwCコンサルティング(各15人)、野村證券(13人)など。12年は、三菱東京UFJ銀行(27人)、第一生命保険(17人)、みずほFG(14人)、三井物産、三井住友銀行(各13人)など。金融が上位に入っているのは変わらないが、22年は楽天グループや外資系コンサルが登場している。

2位は慶應義塾大。22年の就職者が多い企業は、アクセンチュア(88人)、PwCコンサルティング(83人)、楽天グループ(76人)、三菱UFJ銀行(69人)、NTTデータ(58人)など。12年は、三菱東京UFJ銀行(124人)、みずほFG(84人)、富士通(65人)、三井住友銀行(57人)、野村證券(52人)など。12年は銀行、22年は外資系コンサルが上位を占めており、就職先の変化が明確になっている。

3位は東京大だ。22年の就職偏差値は60.7で、主要企業に10人以上の就職者がいる大学の中で最も高い。22年の就職者数が多い企業は、アクセンチュア(53人)、ソニーグループ(50人)、楽天グループ(47人)、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インコーポレイテッド・ジャパン(40人)、日立製作所(39人)など。12年の就職者が多い企業は、日立製作所(56人)、三菱商事(39人)、三菱東京UFJ銀行(37人)、東芝(34人)、富士通(28人)などだ。

※実就職率=就職者数÷(卒業生数-大学院進学者数)×100で算出

グローバル企業への就職に強い大学も

次に、主要企業への就職者が100人以上200人未満の大学を見てみよう。

1位は国際基督教大。就職偏差値は1.1ポイント上がった。リベラルアーツ教育が特徴で、4年間を通して幅広い分野を学ぶ。留学プログラムが充実しており、約6割の学生が海外留学を経験する。就職者が多い企業は、アクセンチュア、楽天グループ(各15人)、日本IBM、ソフトバンク(各5人)、三井住友銀行、東京海上日動火災保険、PwCコンサルティング(各4人)など。その他、アマゾンジャパン(3人)やファーストリテイリンググループ(2人)など、グローバル企業への就職が目立つ。

2位は昭和女子大。主要企業に限らない全企業や官公庁等への実就職率は94.5%で、卒業生数1000人以上の女子大では12年連続で全国トップとなっている。就職者が多い企業はトランスコスモス(16人)、パナソニック(9人)、三菱UFJ銀行(7人)、清水建設、住友生命保険、明治安田生命保険(各5人)など。

最後に、主要企業の就職者30人以上100人未満の大学を見てみよう。

1位は山梨学院大。複数の就職者がいた企業は、トヨタ自動車(3人)、日産自動車、ホンダ、マツダ、住友生命保険(各2人)。いすゞ自動車とスズキにも1人ずつ就職者がおり、自動車への就職に強さを発揮している。

2位は愛知工業大。就職者が多い企業は、スズキ、メイテック(各5人)、清水建設、JR東海(各4人)、五洋建設、大和ハウス工業(各3人)など。主要企業への就職者数は43人で、10年前の21人から倍増している。

2012年比「就職偏差値が上がった大学」ランキング

大学就職偏差値の算出方法
◆2022年と2012年の就職偏差値を比較し、数値が変動した大学を2022年主要企業就職人数から3つのグループに分けて掲載した。
◆就職偏差値は、駿台予備学校の大学入試難易度と主要企業への就職者数から企業入社難易度を求め、その企業入社難易度をもとに算出した。企業入社難易度の算出は、大学の平均難易度×その大学からの就職者数を企業ごとに合計し、その企業の就職者数の合計で割り算した。同様に、企業入社難易度と大学からの就職者数を加重平均し各大学の就職偏差値とした。同じ値で順位が異なるのは、小数点第2位以下の違いによる。
◆ただし、以下の条件の大学は掲載していない。2022年または2012年に主要企業への就職者判明数が9人以下の大学。2012年の回答に大学院修了者を含まず、2022年に含んだ人数で回答した大学。2022年の主要企業への就職者数が2012年に比べ、以下の割合以上に減っている大学。◇就職者数200人以上の大学=1割以上、◇就職者数100人以上、200人未満の大学=2割以上◇就職者数30人以上、100人未満の大学=2割以上。
◆就職者数は、各大学へのアンケート調査と企業からのデータを使用した。未回答の大学は掲載していない。また、一部の大学は大学院修了者の人数を含んでいる。主要企業(2022年は427社、2012年は402社)は、日経平均株価指数の採用銘柄に加え、会社規模や知名度、大学生の人気企業ランキングなどを参考に大学通信が選定した。
◆入試難易度は、駿台予備学校・共通テスト模試(2012年は全国マーク模試)、合格可能性80%を使用した。全データから、2部・夜間主コース、医学部医学科、歯学部歯学科、私立大共通テスト利用入試を除いた難易度の平均を学部平均難易度とし、その平均値を各大学の平均難易度とした。ただし、共通テスト利用入試のみの私立大は共通テスト利用入試のデータを使用した。
◆入試難易度の変動により、2022年の入試難易度が2012年に比べて全体的に下がった結果、主要企業の入社難易度の平均が2022年は2012年より0.6ポイント下がったため、企業入社難易度の変動分を考慮し、0.6ポイントを加えて修正値とした。
◆大学名の※は国立、◎は私立、無印は公立を示す。

主要企業就職者数 200人以上

順位 大学 就職偏差値上昇(修正値) 2022 2012 就職偏差値差
就職偏差値 主要企業就職人数 就職偏差値 主要企業就職人数
1 一橋大 1.0 60.5 476 60.2 490 0.4
2 慶應義塾大 0.9 60.4 2655 60.1 2816 0.3
3 東京大 0.8 60.7 1560 60.5 1524 0.2
4 立教大 0.8 58.5 819 58.3 890 0.2
5 青山学院大 0.7 58.3 743 58.2 750 0.1
6 早稲田大 0.5 59.6 3099 59.7 3270 −0.1
7 上智大 0.5 59.4 854 59.4 746 −0.1
8 千葉大 0.5 58.7 433 58.8 401 −0.1
9 芝浦工業大 0.4 56.7 425 56.8 346 −0.2
10 明治大 0.4 58.1 1516 58.3 1276 −0.2
11 東京理科大 0.4 58.7 1079 58.8 853 −0.2
12 北海道大 0.4 59.2 721 59.4 644 −0.2
13 京都大 0.4 59.9 1180 60.1 1293 −0.2
14 大阪大 0.3 59.4 1515 59.7 1402 −0.3
15 関西学院大 0.3 57.8 1084 58.1 905 −0.3
16 法政大 0.3 57.4 1076 57.7 870 −0.3
17 東京工業大 0.2 59.7 883 60.1 851 −0.4
18 筑波大 0.2 59.0 529 59.4 561 −0.4
19 中央大 0.2 57.7 1051 58.1 1005 −0.4
20 新潟大 0.1 56.9 221 57.4 185 −0.5
21 神戸大 0.1 59.1 852 59.5 863 −0.5
22 広島大 0.1 58.1 352 58.6 358 −0.5
23 東洋大 0.1 54.9 374 55.4 264 −0.5
24 東北大 0.0 59.0 862 59.6 900 −0.6
25 同志社大 0.0 58.1 1602 58.7 1371 −0.6
26 岡山大 0.0 58.1 271 58.7 300 −0.6
27 大阪府立大 0.0 58.4 317 59.1 302 −0.6
28 近畿大 −0.1 54.9 527 55.6 338 −0.7
29 名古屋大 −0.1 58.9 819 59.6 796 −0.7
30 電気通信大 −0.1 58.4 242 59.2 253 −0.7
31 日本大 −0.1 55.4 949 56.1 1006 −0.7
32 東京電機大 −0.3 56.3 276 57.2 182 −0.9
33 立命館大 −0.3 57.4 1221 58.3 1354 −0.9
34 九州大 −0.3 58.8 878 59.7 885 −0.9

主要企業就職者数 100人以上200人未満

順位 大学 就職偏差値上昇(修正値) 2022 2012 就職偏差値差
就職偏差値 主要企業就職人数 就職偏差値 主要企業就職人数
1 国際基督教大 1.1 60.1 143 59.6 140 0.5
2 昭和女子大 1.0 55.7 157 55.3 125 0.4
3 横浜市立大 0.7 58.3 146 58.2 144 0.1
4 創価大 0.5 57.0 125 57.0 143 −0.1
5 大阪工業大 0.5 55.1 149 55.2 96 −0.1
6 名城大 0.4 55.0 184 55.2 111 −0.2
7 金沢工業大 0.4 55.2 153 55.4 108 −0.2
8 津田塾大 0.3 58.5 124 58.8 153 −0.3
9 和歌山大 0.0 57.0 111 57.6 97 −0.6
10 國學院大 0.0 55.3 145 55.9 102 −0.6
11 駒澤大 −0.1 55.0 135 55.6 159 −0.7
12 工学院大 −0.2 55.6 195 56.4 82 −0.8
13 長岡技術科学大 −0.3 56.8 105 57.7 85 −0.9

主要企業就職者数 30人以上100人未満

順位 大学 就職偏差値上昇(修正値) 2022 2012 就職偏差値差
就職偏差値 主要企業就職人数 就職偏差値 主要企業就職人数
1 山梨学院大 1.3 56.3 36 55.6 24 0.7
2 愛知工業大 0.4 54.3 43 54.5 21 −0.2
3 亜細亜大 0.4 54.9 65 55.1 39 −0.2
4 大東文化大 0.4 54.6 45 54.7 54 −0.2
5 滋賀大 0.3 57.8 93 58.1 82 −0.3
6 北九州市立大 0.3 55.9 53 56.2 66 −0.3
7 宇都宮大 0.3 57.0 94 57.3 104 −0.3
8 神戸市外国語大 0.1 57.0 48 57.5 56 −0.5
9 広島工業大 0.1 54.4 58 55.0 23 −0.5
10 立正大 0.0 54.0 42 54.6 48 −0.6
11 北星学園大 0.0 54.5 42 55.2 52 −0.6
12 福岡工業大 0.0 54.5 39 55.1 17 −0.6
13 多摩美術大 −0.1 58.5 38 59.2 44 −0.7
14 愛媛大 −0.1 56.2 75 56.9 68 −0.7
15 佐賀大 −0.2 56.9 87 57.7 79 −0.8
16 武蔵野美術大 −0.2 58.5 51 59.3 29 −0.8
17 聖心女子大 −0.2 57.1 81 58.0 100 −0.8
18 桜美林大 −0.2 54.1 61 54.9 56 −0.8
19 拓殖大 −0.3 54.2 59 55.1 55 −0.9
20 高知工科大 −0.3 56.1 42 57.0 17 −0.9

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