企業就職難易度2022
この10年で入社が難しくなった企業はここ

企業就職難易度2022<br>この10年で入社が難しくなった企業はここ

大学生の人気企業は、時代の移り変わりとともに変化する。
企業の盛衰も移り変わり、大きく業績が上がる企業があれば、反対に落ち込む企業もある。
そこで、企業入社難易度を使って、2022年と2012年の間で、入社が難しくなった企業を検証してみた。

文 雫 純平(大学通信)

企業就職難易度2022

「企業入社難易度」は、大学通信が大学へのアンケート調査で収集している企業別就職者数と、大学の入試難易度を組み合わせて算出している。難関大学に入学した、つまり地頭がよい学生が、就活でどのような企業を志望し、就職しているか、また企業がどのようなレベルの大学をターゲットとして採用活動を行い、実際にどんな学生を採用しているかを知るための指標となっている。

調査対象にしている企業は、日経平均株価指数の採用銘柄や、会社規模、知名度、大学生の人気企業ランキングなどを参考に選んだ427社。医学部と歯学部の単科大学を除いて、すべての大学を対象に毎年、就職者数をアンケート調査している。大学の入試難易度は、駿台予備学校の模試の難易度を使用し、医学部と歯学部を除いた学部の難易度の平均値を採った。

「企業入社難易度」は次の方法で算出した。難易度70.0の東京大から3人、同64.8の早稲田大から6人、同58.2の青山学院大から3人を採用したとすると、「企業入社難易度」は、(東京大70.0×3人+早稲田大64.8×6人+青山学院大58.2×3人)÷合計採用者数12人=64.5になる。この10年の間に、合併・統合したり、企業名が変わったりした企業もある。その場合は、母体になった企業のデータを用いて、なるべく入れるようにした。

この企業入社難易度を22年卒と12年卒で比較した。入社難易度がこの10年間で上昇し、入るのが難しくなった企業を業種別に掲載している。いずれかの年の採用数が10人未満の企業や、10年前に比べて採用判明数が半数未満に減った企業は除いた。22年と12年の大学入試難易度を比較すると、学部学科の新設や募集単位の変更などにより、22年の平均値が0.5ポイント下がっている。入試難易度の変動分を考慮し、両年の入社難易度差に0.5ポイント加えた修正値でランキングを作成した。

業種別に最も入社が難しくなった企業は

メーカー編のトップは、化粧品大手のコーセー。全体の採用判明数が41人から26人と減っているが、入試難易度60以上の難関大学からの採用に限れば12人から16人と増加している。以下、大正製薬、アドバンテスト、中外製薬、淀川製鋼所などが続く。

商社・コンサル・金融・不動産編のトップはオリックスだ。入社難易度の上がり幅は、全業種で最大となる6.1ポイント。採用者の出身大学のうち、入試難易度55未満の大学が19大学から3大学に大きく減少する一方、12年には1人もいなかった東京大、京都大から22年は計5人を採用し、入社難易度を高めている。以下、住友不動産、アコム、SMBC日興証券、三井住友銀行など。

マスコミ・通信・サービス編のトップは、コナミデジタルエンタテインメント。採用判明数が39人から112人に大幅に増えており、内訳を見ると東京大1人→5人、早稲田大1人→14人、慶應義塾大1人→6人など最難関大からの採用が特に増えていることが分かる。以下、集英社、日立システムズ、ソフトバンク、講談社など。

その他の業種のトップは日本航空。10年1月に会社更生法を申請した直後ということもあり、12年は7大学から11人を採用するにとどまった。新型コロナ禍の影響で21年卒からキャビンアテンダントや事務系職員の採用を見送り(23年卒から再開)、パイロットなど一部職種のみの採用ではあるが、22年は東京大、京都大を含む29大学から70人を採用し入社難易度を上げている。以下、川崎汽船、東武鉄道、丸井グループ、竹中工務店などが上位に来ている。

この10年で「入社が難しくなった企業」ランキング 2012年比

企業入社難易度の算出方法
◆就職者数は、各大学へのアンケート調査と企業からのデータを使用した。未回答の大学は掲載していない。また、一部の大学は大学院修了者の人数を含んでいる。主要427社は、日経平均株価指数の採用銘柄に加え、会社規模や知名度、大学生の人気企業ランキングなどを参考に大学通信が選定した。
◆難易度は、駿台予備学校・共通テスト模試(合格可能性80%)を使用した。全データから、2部・夜間主コース、医学部医学科、歯学部歯学科、私立大共通テスト利用入試を除いた難易度の平均を学部平均難易度とし、その平均値を各大学の平均難易度とした。ただし、共通テスト利用入試のみの私立大は共通テスト利用入試のデータを使用した。
◆企業入社難易度は、大学の平均難易度×その大学からの就職者数を企業ごとに合計し、その企業の就職者数の合計で割り算した。同じ難易度で順位が異なるのは、小数点第2位以下の違いによる。就職者判明数が9人以下の企業は掲載していない。

表の見方
◆表は企業入社難易度を22年卒と12年卒で比較し、入るのが難しくなった企業を業種別にまとめたもの。いずれかの年の採用数が10人未満の企業や、10年前に比べて採用数が半分未満に減った企業は除いた。
◆この10年の間に、合併・統合や企業名の変更等があった場合は、母体になった企業のデータを使用している場合がある。
◆12年と22年を比較すると、学部学科の新設や募集単位の変更などにより、大学の入試難易度の平均値が0.5ポイント下がっている。入試難易度の変動分を考慮し、両年の入試難易度差に0.5ポイント加えた修正値でランキングを作成した。

メーカー

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                             
順位企業名入社難易度上昇(修正値)20222012入社難易度差
人数入社難易度総合順位人数入社難易度総合順位
1コーセー3.92660.31024156.92713.4
2大正製薬3.34660.21076457.42552.8
3アドバンテスト3.13457.62272455.03242.6
4中外製薬3.012961.46112358.82022.5
5淀川製鋼所2.91756.22871853.73442.4
6ファイザー2.91560.21052357.82422.4
7アステラス製薬2.47261.36311259.51651.9
8エーザイ2.25361.5592359.81471.7
9第一三共2.18562.0376160.41081.6
10富士フイルム2.010064.3514062.8241.5
11江崎グリコ1.92961.7481560.31121.4
12住友ファーマ1.85960.3999959.11871.3
13P&Gジャパン1.76063.8105662.5301.2
14日本食研1.74554.23407753.03561.2
15協和キリン1.57659.31537558.22271.0
16横河電機1.42358.81783357.92380.9
17アサヒビール1.34560.6914859.81480.8
18三井金属鉱業1.33358.22053257.42560.8
19コマツ1.314359.8125160591890.8
20オムロン1.24758.12086657.42590.7

商社・コンサル・金融・不動産

                                                                       
順位企業名入社難易度上昇(修正値)20222012入社難易度差
人数入社難易度総合順位人数入社難易度総合順位
1 オリックス 6.1 43 61.7 50 78 56.1 297 5.6
2 住友不動産 5.3 28 60.7 87 34 55.9 302 4.8
3 アコム 5.2 60 56.1 290 16 51.4 373 4.7
4 SMBC日興証券 3.2 208 61.9 41 351 59.2 176 2.7
5 三井住友銀行 3.0 459 61.6 55 782 59.1 182 2.5
6 三菱UFJニコス 2.9 53 59.3 151 46 56.9 273 2.4
7 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 2.6 78 61.0 77 42 58.9 198 2.1
8 大和証券グループ 2.3 361 61.7 47 346 60.0 134 1.8
9 三井住友海上火災保険 1.7 196 59.4 142 344 58.2 230 1.2
10 東京海上日動火災保険 1.5 480 59.9 118 467 58.9 194 1.0
11 野村総合研究所 1.4 373 62.5 31 256 61.6 59 0.9
12 ジェーシービー 1.4 117 59.6 131 92 58.8 204 0.9
13 三井不動産 1.3 51 63.8 9 35 63.0 21 0.8
14 損害保険ジャパン 1.3 168 59.6 133 232 58.8 203 0.8
15 りそなグループ 1.1 316 59.3 150 585 58.7 205 0.6
16 商工組合中央金庫 1.1 78 60.2 108 123 59.6 158 0.6
17 住友商事 1.0 94 64.4 4 179 63.9 6 0.5
18 三菱UFJ信託銀行 1.0 122 62.3 35 190 61.8 51 0.5
19 アフラック生命保険 0.8 66 59.9 123 130 59.6 159 0.3
20 明治安田生命保険 0.7 608 54.6 332 552 54.4 331 0.2

マスコミ・通信・サービス

                                                                       
順位企業名入社難易度上昇(修正値)20222012入社難易度差
人数入社難易度総合順位人数入社難易度総合順位
1 コナミデジタルエンタテインメント 3.7 112 58.5 187 39 55.4 314 3.2
2 集英社 3.4 23 62.3 33 11 59.4 169 2.9
3 日立システムズ 2.8 206 57.4 238 88 55.1 321 2.3
4 ソフトバンク 2.7 542 59.0 166 399 56.7 276 2.2
5 講談社 2.3 24 63.5 13 11 61.6 53 1.8
6 博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ 2.2 128 63.7 11 84 62.0 43 1.7
7 スミセイ情報システム 1.8 48 57.3 241 25 56.0 299 1.3
8 東宝 1.8 10 62.9 23 13 61.6 56 1.3
9 富士通エフサス 1.4 60 54.2 339 88 53.3 352 0.9
10 NECソリューションイノベータ 1.3 444 56.7 261 78 56.0 300 0.8
11 テレビ東京 1.3 19 62.4 32 14 61.6 57 0.8
12 NTT(持株会社) 1.2 84 60.5 93 113 59.8 149 0.7
13 オービック 1.2 138 59.5 137 66 58.9 199 0.7
14 ヤフー 1.1 222 59.6 132 269 59.1 185 0.6
15 NTTデータ 1.1 518 61.4 60 467 60.8 84 0.6
16 大塚商会 1.0 271 53.2 367 149 52.7 358 0.5
17 メイテック 1.0 460 51.5 387 194 51.0 375 0.5
18 日本テレビ放送網 0.9 28 62.9 25 19 62.5 32 0.4
19 富士ソフト 0.9 560 52.4 382 18 52.0 366 0.4
20 KDDI 0.9 226 60.7 84 221 60.3 111 0.4

その他の業種

                                                                       
順位企業名入社難易度上昇(修正値)20222012入社難易度差
人数入社難易度総合順位人数入社難易度総合順位
1 日本航空 5.2 70 60.1 111 11 55.4 312 4.7
2 川崎汽船 3.5 32 63.0 21 28 60.0 131 3.0
3 東武鉄道 3.2 11 58.9 174 15 56.1 294 2.7
4 丸井グループ 2.1 43 58.3 200 64 56.7 277 1.6
5 竹中工務店 1.9 182 58.0 212 113 56.6 282 1.4
6 安藤ハザマ 1.8 66 53.4 360 21 52.1 363 1.3
7 良品計画 1.8 113 53.2 368 22 51.9 370 1.3
8 西松建設 1.5 98 52.9 374 54 51.9 368 1.0
9 ミキハウス 1.4 17 55.5 307 34 54.6 326 0.9
10 日本郵船 1.3 48 62.7 29 57 61.8 49 0.8
11 清水建設 1.3 327 56.7 264 203 55.9 303 0.8
12 住友林業 1.2 130 55.3 315 104 54.5 327 0.7
13 パリミキ 1.2 52 50.3 396 20 49.6 379 0.7
14 熊谷組 1.2 90 52.6 379 31 51.9 367 0.7
15 日本中央競馬会 1.0 44 58.9 173 40 58.4 218 0.5
16 大阪ガス 1.0 80 60.8 81 85 60.4 110 0.5
17 大林組 0.5 279 56.4 278 167 56.4 285 0.0
18 東京ガス 0.3 94 63.1 20 100 63.2 16 −0.2
19 ファーストリテイリンググループ 0.2 246 55.3 314 134 55.6 308 −0.3
20 日本通運 0.2 281 53.6 354 192 53.9 341 −0.3

特集カテゴリの最新記事

ユニヴプレス