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さまざまな一般選抜の入試制度を整え、受験生に大学への入学の機会を提供している法政大学。その入試方式はどんなものなのだろうか。2023年度の入試の変更点は何か。受験生の人気も高く志願者数も増加している中で、受験対策はどうしたらいいかというアドバイスをはじめ、長引くコロナへの対応、そして入試の将来展望などについて、副学長の佐野哲経営学部教授に聞いた。
取材 松平信恭(大学通信)
2023年度入試の主な変更点について
―法政大学における多様な一般選抜に対する基本的な考え方お聞かせください。
法政大学では、学生の受入方針として4つの項目から成る「アドミッションポリシー」を掲げています。その最初に記している「入学後の修学に必要な基礎学力を有する者」を受け入れるというのが根本姿勢です。2つ目から4つ目で謳っている「思考力、判断力、表現力や能動的な姿勢、グローバルな視野」なども大切ですが、出題の中心は基礎学力を問うという点については変わることはありません。
―さまざまな入試方式の特徴と来年度入試で変更点がありましたらお教えください。
T日程入試(統一日程)、英語外部試験利用入試、A方式入試(個別日程)、大学入学共通テスト利用入試のB方式(3教科型)、C方式(5教科6科目型)を用意しており、その基本的枠組みは変わっていません。ただし、実施学部などについて若干の変更があります。
まずA方式入試は①英語、②国語(文系学部)もしくは数学(理系学部)、③選択科目の3教科の合計点で合否を判定します。T日程入試は2科目型で全員が英語を受験し、もう1科目は国語か数学を受験します(ただし、文学部の日本文学科と地理学科は別パターンでの受験)。そのT日程と同日に行う「英語外部試験利用入試」は、実施学部が指定する英語外部試験のスコアをクリアしていれば英語の個別試験は免除するというもので、国語または数学の1科目のみで合否判定が行われます(GIS=グローバル教養学部=のみ英語外部試験のスコアを英語の得点に換算して国語または数学との2科目合計で合否判定)。2023年度入試から経営学部が新たに英語外部試験利用入試を導入するので、全15学部で実施されることになります。
大学入学共通テスト利用の方式のうち、3教科型のB方式は学部によって指定している科目が異なっているのが特徴で、各学部が求める学生像に合わせて試験科目を設定しています。一方、C方式は、今年度から新たにスポーツ健康学部が導入することになり、国際文化学部とGIS以外の13学部で実施することになります。
―そのC方式の特徴はどのようなものでしょうか。
C方式は、5教科6科目型ですので、国公立大学との併願が非常にしやすくなっています。試験は学部学科ごとで変化はなく、全学部共通となっているのが特徴です。また入学金の納入手続きの締切が、国公立大学の後期試験の合格発表後(3/24)となっています。
―この他、入試制度で変更点がありましたらお教えください。
総合型選抜では法学部国際政治学科で、「英語外部試験利用自己推薦入試」を導入しました。これは、英語外部試験において学部で定める基準を満たしたものを対象にした入試で、地球規模の問題やアジア地域の諸問題の解決に関心と意欲をもった多様な背景を持つ学生に入学して欲しいという観点から行うものです。
さらに、人間環境学部では、自己推薦入試を「専願」に変更しました。人間環境学部を第一志望とし、「合格した場合は入学を確約できる者」を出願資格とするというものです。これに伴い、従来実施していた追加合格発表は廃止します。
―こうした多様な入試方式を揃えた法政大学を目指す受験生の受験対策はどのようにすればよいでしょうか。また、コロナウイルス感染がなかなか終息しませんが、その対策についてもお教えください。
これまで述べたように、学部により新たな方式を導入するなど若干の変更がありますが、試験科目や試験の内容の傾向は変わりません。基礎学力の確認に重点を置いており、必然的に奇問難問の出題はありません。このため、高校のすべての科目についてまんべんなく勉強しておくことが大切です。そして、教科書や参考書で高校での学習内容をしっかり理解して、得点を取れるようにしてください。過去問題を勉強し利用するのも有効です。
コロナ対策では2023年度入試でも、昨年度と同様な特別措置を取ります。安全に受験してもらえるように文部科学省のガイドラインに沿って万全の体制をとって実施します。コロナウイルスの影響で受験できなかった場合ですが、代替措置として共通テスト利用のB方式への振替をご案内することになります。ですから、万が一のことを考慮して、大学入学共通テストを受けておくことをアドバイスしたいと思います。
多彩な一般選抜を維持し多様性にチャレンジ
―新たに英語外部試験利用入試やC方式を導入する学部が増えましたが、これからの入試はどのように変わっていくのか、あるいはどう改革しようとしているのでしょうか。
受験生に分かりやすいということが第一義的にあります。近年の大学入試では、総合型選抜や学校推薦型選抜が伸びています。総合型選抜や学校推薦型選抜で入学してくる学生は、割と真面目で、均一、同一な印象があります。一方で、一般選抜で入学してくる学生には、集中力、突破力といったバイタリティを感じます。
したがって、本学では今後も多様な能力を持った学生を受け入れることを目的として、各選抜のバランスが重要であり、各選抜の比率を大きく変えることは考えていません。
海外からの留学生を受け入れるための入試もしっかりとやりたいと思っています。安全で経済的な留学ができることをアピールし、国内で日本人学生の国際化教育に資するような環境を作ることも不可欠です。
―最後に受験生に向けたメッセージをお願いします。
一般選抜においては複数の方式を設けており、自分に合ったものというものが必ず見つかると思います。どんなに受験生が増えてもあなたの合格のチャンスは必ずあります。
また、本学では各学部の学びやキャンパスの魅力を、オープンキャンパスや高校での進学相談会などを通じて伝えています。現在は、対面のみならずオンラインシステムを活用した個別相談や英語対策講座を実施している他、YouTubeなどのSNSを通して情報発信にも特に力を入れています。ぜひご覧いただきたいと思います。
多様な受験機会を設け、可能な限りウィングを広げて入学の可能性を高めるようにしたいと考えていますので、本学を志望する受験生をお待ちしています。