<PR>
師走の声も聞こえつつもまだ暖かかったある日。編集部は古都鎌倉にある男子校 鎌倉学園中高の入試説明会に行ってきました。そこで目にしたのは通常の学校説明会とは異なり校風を一から真摯に伝えようとする姿でした。
突然ですが私立中学校の説明会ってどんなイメージがありますか。進学校は海外大、東大京大、医学部をPR。あるいはキャリアや職業意識をいかにして刺激しているか、啓蒙めいたプログラムをこれでもかと紹介。設備や体制の紹介。こんな立派な体育館がある。校地がこれだけある。外国人教員率何パーセント。オールイングリッシュの授業がどのくらいある等々。すこし食傷気味なところがありましたが、カマガクの説明会に来てみてその潔さにすっきりしました。
校長先生のご挨拶
松下新校長のご挨拶。いわゆるトップによる「開会のご挨拶」ではなく学校のコンセプトを紹介する学校説明でした。聞いているとなぜ男子校なのか。なぜ私立に行くのかがよくわかる内容でした。
・なぜ私学なのか、私学に行かせる意味は
・学校と子どもがマッチしているか
・ロケーションや豪華な施設に頼ってしまっていないか。
と問いかけた上で
・自然と街や文化が一体化した鎌倉で落ち着いた学生生活を送りませんか。
・男の子に必要なのはなによりも人としてきちんとしていること。
(質実剛健な子どもを育てます)
と訥々と語ります。
決して学校を立派に見せようとか周囲の学校との並びを気にしながらのトークではなく自分たちがどういう教育をしたいのか。それに合っているひとはぜひ来てほしい。
まさに私学の基本です。
続いて内部の体制の説明もあり
・文理選択は高校2年
・特進クラスがないこと
(フラットな感覚を持つ大人になってほしい)
・教え合い、助け合いの文化を醸成している
(クラス専用の数学ノートの存在)
・部によっては中1から夏季冬季には宿泊を伴う合宿も
(一生モノの仲間と6年間どっぷり苦楽を共にする)
他人に流されず自分をきちんと見つめて一生歩んでいけるブレない男の子が育つ学校にしていきたいという想いがひしひしと伝わりました。
エピソードの中で有名な「ハーバード大での80年間724人追跡調査」についても触れられていたのも印象的でした。(地位・名誉・財力といったものではなく家族や友人と言った人間関係の充実が幸せを決める大きな要素である)
人間として充実していてほしい、周りのひとを大切にできる人間に成ってほしい、というメッセージがよく伝わりました。
カマガク生の一日
ある生徒の1日というものが趣味重視、部活重視、自分の研究重視などいろんな生徒のバージョンで紹介されていました。
どの生徒も学校でも勉強、部活、趣味をバランスよく追及しているさまがよく表れていてモットーである文武両道を体現していました。
一生を生きていくとはそういうものだと思います。○○だけ、をし続けるわけにはいきません。その時その時で受験や就職、転居などイベントはありますが人の生活は勉強だけ、スポーツだけ、仕事だけ、とどこかに資源を一点投下すればいいものではないのです。
学びや進路実績について
様々な部活の紹介をするとともに部活ごとの進学実績の紹介もありました。
今となっては中学受験界隈でよく例示されることも多いこの部活動ごとの合格実績の表ですが。学生生活を男の子らしくとにかく楽しんでほしいというメッセージだと思います。
次年度入試について
大きな変更点として2月1日(水)の第1回入試に募集枠が大きく振り分けられています。
これは「第一志望の生徒にぜひめざしてほしい」という学校の意思表示そのものです。
素直に受け取り志望度が高い方はこの回を受験されるのがよいと思います。
感想
徹底的にカマガクが理想とする男子教育を追求します、そんなすがすがしい内容でした。
ともすると私立中学校の選択は難易度や近隣のライバル校との長所短所の比較に引っ張られがちです。今回は(おそらく一度も)、他学の名前が出ないよい意味で個性的な説明会でした。この厳しい競争社会。勉強にしてもスポーツにしても「どれだけ優秀な母集団に入れるか」ということに親も子も傾倒しがちです。もちろんそれ自体が悪いとは言いません。しかし一番大切なことは自分がどのような人間になりたいか。そのためにはどんな生活を送りたいかだと思います。とにかく1ポイントでも優秀な集団に混ざりたい、くっついていきたいというよりも自分が得意な部分、強い部分を存分に活かして周り仲間も一緒に引き上げる。そういう鶏口牛後の精神をもった生徒さんたちにめざしてほしい学校です。