金沢工業大学で世界標準に準拠した「KITコーオプ 教育プログラム」がスタート

金沢工業大学で世界標準に準拠した「KITコーオプ 教育プログラム」がスタート

AI、IoT、ビッグデータ、ロボット技術などの先端技術が取り入れられた新たな社会「Society5.0」をリードする人材育成を目指して、「世代・分野・文化を超えた共創教育」を進める金沢工業大学。
今年度からは問題発見解決型教育の発展形として「KITコーオプ教育プログラム」が開始される。
どのような教育が展開されるのか、その内容をいち早くお届けする。

新たな正課プログラムとして「KITコーオプ教育プログラム」を開始

金沢工業大学(KIT)は2020年春、新たな正課プログラムとして「KITコーオプ教育プログラム」を開始する。コーオプ教育(※1)とは米国が発祥の産学協同教育のことで、「大学のカリキュラム」と、高レベルの教育価値を持つ「就業体験」を融合させたプログラムとなっている。理論と実践の両面を効率的に学べるのが一番の特徴だ。

コーオプ教育はインターンシップなどとは異なり正課教育として実施されるため、そのプログラムは企業との緊密な連携のもと、大学が主体となって作成する。学生はプログラムの枠組みの中で実際に企業に出向き、自らの専門に関連した実務に長期間従事することになる。専門分野の知識や理論を実社会の中で活用してみる経験となるうえ、就業期間中は企業から給与を受け取ることもできる。

コーオプ教育は欧米諸国の高等教育機関を中心に広がりを見せていて、世界52カ国、約1000の教育機関・企業・団体が加盟する世界産学連携教育協会(WACE)が、世界標準コーオプ教育(CWIE)として標準化している。KITはこのWACEに加盟しており、「KITコーオプ教育プログラム」はCWIEに準拠した国内初の試みとなる。

データ解析の実例に触れ課題解決プロセスを学ぶ

KITでは、学生自らが社会的価値を持つ研究課題に対し解決策を提案していく理工系PBL「プロジェクトデザイン教育」を、1995年度より全国に先駆けてカリキュラムの柱に据えて、世界のイノベーションをリードする人材育成に取り組んできた。KITにおけるコーオプ教育プログラムは「プロジェクトデザイン教育」による問題発見解決能力を基盤としつつ、協力企業の技術者が「実務家教員」として実施する講義形式の事前学習と、実践としてのコーオプ教育の組み合わせで構成される。

20年度はデータサイエンティスト(※2)の養成を目指し、大手情報通信会社と協定を締結。事前学習として5月〜7月に開講される全8回の寄付講座「ICT×データサイエンス」では、第一線で活動するデータサイエンティストが教壇に立ち、データ分析の事例や、製造現場や観光業に向けたデジタルデータビジネスの実例を紹介しながら、課題解決のプロセスを講義と演習を通して学んでいく。

その後、企業側が受講者の中から最大2人の学生を選抜。大学と企業が学生の専門力を考慮しながら打ち合わせを行い、具体的な業務内容を決定していく。20年度の参加学生は、AI技術を用いた音声認識システムによりテキスト化された顧客の声を分析し、戦略立案に生かすためのコンサルティングを実施する専門施設において、8月〜12月まで約4カ月間の業務に従事する予定。学生にとってはAI音声認識技術やデータ解析技術を活用した「分析・コンサルティングビジネス」を実践的に学ぶ機会となる。

活動後の教育評価についても参加学生の指導教員と企業担当者が連携して、総合的な評価を行う。なお、本コーオプ教育での活動は、大学院科目「コーオプ教育プログラム」(4単位)の単位、または学部の卒業研究に相当する「プロジェクトデザインⅢ」の一環として認められるという。

産業界との共創により次世代のリーダーを育成

新しい価値を生み出すことができるイノベーション人材が広く社会で求められる中、KITはこのコーオプ教育を核とする「新たな産学協同のプラットフォーム」を通して、日本の産業界と大学との協同による人材育成システムの構築を目指している。

Society5.0社会やSDGsを推進していくためには、「テクノロジー」「マネジメント」「イノベーション」という視点から、「好奇心」「多様性」「共感」「デザイン・アート」をキーワードに、「どのような未来を描けるのか」を提案できる人材が欠かせない。KITは企業の現場で活躍する技術者に「実務家教員」として学生の研究指導を担当してもらうなど、産学連携を深めていくほか、革新的イノベーションを生み出してきたSRIインターナショナル(旧スタンフォード研究所)など国際的な研究機関との連携も充実させることで、豊かな人間中心の社会を創造できる、Society5.0をリードする人材の育成を加速していく。

※1 コーオプ教育…Cooperative Education、COOP教育

※2 データサイエンティスト…データを用いて価値を創出し、企業や社会の課題に答えを出す人材

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