データサイエンス教育を先駆的に導入
未来の医療人を育成するー北海道医療大学

データサイエンス教育を先駆的に導入<br>未来の医療人を育成するー北海道医療大学

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北海道医療大学は、「知育」「徳育」「体育」の三位一体による「医療人としての全人格の完成」を建学の理念として1974年に創立。薬学部を皮切りに、歯学部、看護福祉学部、心理科学部、リハビリテーション科学部を開設し、2019年には医療技術学部が新設された。現在は6学部9学科を擁する医療系総合大学であり、2024年には開学50周年を迎える北海道医療大学の魅力や今後の展望について浅香正博学長にお話をうかがった。

構成 東久世克樹(大学通信)

多職種連携に必要な協働意識と実践力を磨く

浅香正博学長
1972年北海道大学医学部卒業。北海道大学大学院医学研究科消化器内科教授や、同研究科がん予防内科学講座特任教授、北海道大学病院院長などを歴任した後、2015年10月に副学長として北海道医療大学に着任し、2016年4月より学長。

―北海道医療大学の教育理念や学びの特徴を教えてください。

本学は「保健と医療と福祉の連携・統合をめざす創造的な教育の推進」を理念・目的として掲げ、地域医療に貢献する専門職業人の育成を社会的使命とする医療系総合大学です。「新医療人育成の北の拠点」としての自負のもとで多彩な教育プログラムを展開し、特に意識しているのが、専門性の異なる医療職がチームで対応する「多職種連携」です。診療には医師を中心に、看護師や薬剤師などで構成される医療チームが不可欠。チームワークが崩れると医療の質にも影響しますが、チームワークで患者さんにご満足いただける医療を提供できれば、病院運営も円滑に進むものです。

その点、本学には歯科医師や看護師、薬剤師、そして理学療法士、作業療法士、臨床検査技師などを目標とする学生が集結しており、日頃から他職種の存在を意識し、連携・協働の重要性を感じながら学生生活を送ることができます。

全国の医療系大学に先駆けてデータサイエンス教育を導入

―データサイエンス教育に注力された背景を教えてください。

「Society 5.0」と呼ばれる超スマート社会では、現実空間から得られた膨大なデータを人工知能(AI)が解析し、付加価値の高い新たな情報となってフィードバックされます。ビッグデータやAIの活用は、医療現場における課題解決にも寄与するものです。ただ、そこで必要なのが「データサイエンス」のスキルであり、未来の医療人にとっても必須の資質です。だからこそ本学では、全学部で1年次からデータサイエンス科目を履修する「プロジェクトAI」が2020年度にスタート。翌2021年度には、データサイエンスに関わる知識や技術を体系的に教育できる大学などを「数理・データサイエンス・AI教育プログラム(リテラシーレベル)」の認定校として文部科学省が選定した78の教育機関のひとつに選ばれました。しかも本学は、先導的で独自の工夫・特色があると認められ、「リテラシーレベルプラス選定校」にも入りました。全国11校のうち、北海道内では本学と北海道大学の2校のみ。医療系大学では国内唯一です。

―データサイエンスの大切さは、学生も理解していますか。

薬学部と親和性の高い領域では、化合物のデータから目的に合った組み合わせが導き出され、新薬開発の期間を短縮することができます。歯学部や看護福祉学部、医療技術学部に関わる分野では、レントゲンなどの検査による画像データの解析でもAIが活躍し、スピーディーな病気の検出が期待できます。看護福祉学部や心理科学部、リハビリテーション科学部との関わりでは、データをもとに、患者さんに合ったコミュニケーションやリハビリなどに活かすことも可能です。学生は熱心にデータサイエンスを学んでくれていますし、こうした可能性を感じているからこそだと思います。

授業運営や学生サポートにもAI技術を有効活用

―データサイエンス教育の流れを教えてください。

まずは社会で実用化されている事例に触れ、AIを身近に感じられる機会を設けます。また、データには多種多様な形態があるため、解決すべき課題に対してどのようなデータをどのように活用すべきかという手順を学びます。

さらに学びを深めたい学生には、医療現場でAI技術を活用する際に留意すべき倫理的な問題などを学ぶ科目や、プログラミング言語を活用する科目も用意しています。

また、学びのプロセスについてですが、チーム医療は人と向き合うことが大前提なので、データサイエンスを駆使するにあたり、本学ではAIの知識だけでなく、仲間との学び合いも重視しています。さらに、学生一人ひとりの習熟度や目標に合わせて最適な学びを提供するために、学修支援に特化したAIを独自に開発しました。今後も体制を強化し、新しいチーム医療を実践できる人材の育成に注力していきます。

―最後に高校生や高校教員にメッセージをお願いします。

本学の学生は、各学部学科で国家試験合格を目指し、安定した高い合格率を維持しています。就職率も学部を問わず高水準です。北海道外からの入学者も少なくないため、充実した設備の専用寮も用意してあり、未来の医療人を目指す仲間同士で支え合い、高め合う環境が整っています。

また、全学部・学科で初年度授業料の半額を免除する「夢つなぎ入試」や、入試での成績優秀者を対象とする特待奨学生制度も充実しています。特に特待奨学生制度は、2023年度から全学部・学科を対象に大幅に拡充しますので、ぜひチャレンジしてみてください。

学生生活の中心となるキャンパスは、札幌中心部から北に約25キロメートルの当別キャンパスをメインに、札幌市北区には札幌あいの里キャンパスがあります。利便性の高い札幌駅前にはサテライトキャンパスもあり、社会人大学院生や公開講座を受講する一般の方にも好評です。

また、本学では高校での出前授業を積極的に行っています。SDGs関連のテーマをはじめ、各学部学科での学びとも関わる100を超えるテーマを用意していますので、お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

2024年に創立50周年を迎える本学では、さまざまな記念事業も計画しておりますので、こちらもどうぞご期待ください。

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