この10年で入社が難しくなった企業はここ

この10年で入社が難しくなった企業はここ

大学生の人気企業は時代の移り変わりとともに変化する。企業の盛衰も移り変わり、大きく業績が上がる企業があれば、反対に落ち込む企業もある。そこで、企業入社難易度を使って、2021年と2011年の間で、入社が難しくなった企業を検証してみた。

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■企業就職難易度2022 この10年で入社が難しくなった企業はここ

「企業入社難易度」は、大学通信が大学へのアンケート調査で収集している企業別就職者数と、大学入学時の偏差値を組み合わせて算出した。大学入学時の偏差値が高い、つまり地頭がよい学生が、就活でどのような企業を志望し、就職しているか、また企業がどのようなレベルの大学をターゲットとして採用活動を行い、実際にどんな学生を採用しているかを知るための指標となっている。

調査対象企業は、日経平均株価指数の採用銘柄や、会社規模、知名度、大学生の人気企業ランキングなどを参考に選んだ424社。医学部と歯学部の単科大学を除いて、すべての大学を対象に毎年、就職者数をアンケート調査している。大学の偏差値は、駿台予備学校の模試の難易度を使用し、医学部と歯学部を除いた学部の難易度の平均値を取った。

「企業入社難易度」は次の方法で算出した。例えば、ある企業が東京大(難易度70.0)から3人、早稲田大(64.8)から6人、青山学院大(58.4)から3人を採用したとすると、「企業入社難易度」は、(東京大70.0×3人+早稲田大64.8×6人+青山学院大58.4×3人)÷合計採用者数12人=64.5になる。この10年の間に、合併・統合したり、企業名が変わったりした企業もある。その場合は、母体になった企業のデータを用いて、なるべく入れるようにした。

この企業入社難易度を20年卒と10年卒で比較した。掲載した企業は、入社難易度がこの10年間で0.2ポイント以上上昇し、入るのが難しくなった企業だ。いずれかの年の採用数が10人未満の企業や、10年前に比べて採用数が半分以下に減った企業は除いた。

難関大生の不動産人気が高まる

最も入社難易度が上がったのは6.4ポイントアップの住友不動産で、総合順位でも11年の294位から20年は30位に大幅アップ。大学難易度50未満の大学が10大学から3大学に減少する一方、早稲田大や東京大などの難関大が増えた影響で入社が大幅に難しくなった。不動産では大京グループが18位、東急不動産が26位に入った。

2位は帝国ホテル。3位のP&Gジャパンは、住友不動産と同様に総合順位が126位から12位に大きく上がった。化学では、旭化成グループ(17位)も180位から69位と順位を大幅に上げている。

4位はAIG損害保険。生損保では東京海上日動(30位)、損害保険ジャパン(39位)、三井住友海上火災保険(60位)、日本生命保険(70位)の就職難易度が上がっている。

生損保以外の金融の動きを見ると、銀行でトップは三井住友銀行(8位)で、176位から48位と10年間で順位を大きく上げている。採用者は140人減少しているが、11年と比べて採用者数トップの慶應義塾大が16人増えて70人となるなど、難関大からの採用が微増もしくは横ばいとなる中、大学難易度が55を下回る大学は、69大学から15大学に激減。その結果入社難易度は2.5ポイントアップとなった。3大メガバンクの他の2行は、「10年前に比べて採用数が半分以上に減った企業は除く」という今回の掲載基準に沿って載っていないが、参考までに上昇度を紹介すると、三菱UFJ銀行が0.8ポイント、みずほFGは1.6ポイントと、三井住友銀行ほど入行のハードルは上がっていない。

その他金融では、ジェーシービー(10位)とオリックスグループ(38位)。証券ではSMBC日興証券(19位)、大和証券グループ(47位)、岡三証券(58位)などがランクインしている。

ランキングに戻ると、5位は日本水産で6位は森永製菓となった。食品は難化する企業が多く、サッポロビール(9位)、伊藤ハム(22位)、ニチレイグループ(25位)、日本ハム(27位)、森永乳業(32位)、江崎グリコ(33位)、味の素(35位)、キッコーマン(36位)など、数多くランクインしている。

2011年比 この10年で 「入社が難しくなった企業」ランキング

企業入社難易度の算出方法
◆就職者数は、各大学へのアンケート調査と企業からのデータを使用した。未回答の大学は掲載していない。また、一部の大学は大学院修了者の人数を含んでいる。主要424社は、日経平均株価指数の採用銘柄に加え、会社規模や知名度、大学生の人気企業ランキングなどを参考に大学通信が選定した。
◆難易度は、駿台予備学校・共通テスト模試(合格可能性80%)を使用した。全データから、2部・夜間主コース、医学部医学科、歯学部歯学科、私立大共通テスト利用入試を除いた難易度の平均を学部平均難易度とし、その平均値を各大学の平均難易度とした。ただし、共通テスト利用入試のみの私立大は共通テスト利用入試のデータを使用した。
◆企業難易度は、大学の平均難易度×その大学からの就職者数を企業ごとに合計し、その企業の就職者数の合計で割り算した。同じ難易度で順位が異なるのは、小数点第2位以下の違いによる。就職者判明数が9人以下の企業は掲載していない。

表の見方
◆表は企業入社難易度を21年卒と11年卒で比較し、入るのが難しくなった企業を業種別にまとめたもの。いずれかの年の採用数が10人未満の企業や、10年前に比べて採用数が半分以下に減った企業は除いた。
◆この10年の間に、合併・統合や企業名の変更等があった場合は、母体になった企業のデータを使用している。
◆11年と21年を比較すると、学部学科の新設や募集単位の変更などにより、大学の入試難易度が下がった影響で、調査対象とした主要企業の入社難易度の平均値が0.7ポイント下がっているので、入試難易度の変動分を考慮し、両年の就職偏差値差に0.7ポイント加えた修正値でランキングを作成した。

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